2014年9月26日金曜日

レビュー:アップルブランデー リタ 30年熟成 だが骨格のしっかりとした・・・

APPLE BRANDY RITA 30yo(アップルブランデー リタ 30年熟成)を飲んだ。86点。
ニッカ80周年の記念ボトルのひとつ。
ジャパニーズ・ウィスキーの父、竹鶴政孝が夢を追いかけ、北海道は余市に蒸溜所をつくったとき、しばらくは売るものがなかった。ウィスキーの熟成には数年単位の時間が必要だからだ。その時には、余市の特産品であるリンゴを絞ってジュースを売っていたようだ。株式会社ニッカの原点は、「大日本果汁」、略して「日果(ニッカ)」である。
だから、ニッカのリリースする「アップル」ブランデーにはそれなりの思いが込められていることだろう。また、竹鶴政孝の最愛の人、妻リタの名前を冠しているブランデーでもある。
さて、その香味やいかに。

アップルブランデー“リタ” 
こんな商品がリリースされるなど“あの頃”には想像もできなかったのでは

【評価】
グラスから立ち上るその香りは、落ち着きしっとりとしたリンゴ水。焼き林檎の皮。使い込まれた樽。シナモン、少しスパイシー。コショウ。
口に含めば、滑らかだが、焼いたリンゴの蜜が、オーブンの重厚さを連想させる。
柔らかく豊かでしっとり、だが骨格のしっかりとしたブランデー。

【Kawasaki Point】
86point

【基本データ】
銘柄:APPLE BRANDY RITA 30yo(アップルブランデー リタ 30年熟成)
地域:Japanese, 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャル

RITA

リンゴはニッカの創業物語を支えている

リタ30年熟成

焼き林檎の皮。使い込まれた樽。シナモン、少しスパイシー。

柔らかく豊かでしっとり、だが骨格のしっかりとしたブランデー






2014年9月23日火曜日

レビュー:ブラック・グラウス 薄暗い早朝か・・・

THE BLACK GROUSE(ブラックグラウス)を飲んだ。88点。
1,000円台ウィスキーシリーズ
ブラックグラウスは、「フェイマスグラウス」シリーズで、スノウ・グラウスと対を成している。フェイマス・グラウスにアイラ島のモルトを加えているようだ。
さて、その香味やいかに。

ザ・ブラック・グラウス

【評価】
グラスから立ち上る香りを吸い込めば、うっそうとした暗い森。力強くふくよかで黒い土。野性味。
口に含めば、静寂な湖での釣り。静かな湖面。集中している。早朝か薄暮か。いずれにせよ垂れる糸に神経を研ぎ澄ませる。
程よいパンチとスムーズな静寂をもたらすウィスキー。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄:THE BLACK GROUSE(ブラックグラウス)
地域:Highland, ハイランド など
樽:Oak, オーク
ボトル:Blended, ブレンデッド



黒い雷鳥



程よいパンチとスムーズな静寂をもたらす



2014年9月22日月曜日

レビュー:スノウ・グラウス 真っ白な画用紙の・・・

The SNOW GROUSE(スノウグラウス)を飲んだ。86点。

スノウグラウスは、フェイマスグラウス(有名な雷鳥)シリーズのひとつだ。雷鳥はスコットランドの国鳥らしいが、「あの有名な雷鳥のマークのウィスキーくれ」などと言われていたため、ブランド名を「ザ・フェイマス・グラウス(あの有名な雷鳥)」にしたとのエピソードも。尚、このシリーズのウィスキーは「1,000円台ウィスキーシリーズ」だ。
このスノー・グラウスはボトルにも「冷やしてお召し上がりください」と書いてあるが、今回は常温ストレートでのレビューである。さて、その香味やいかに。

ザ・スノウ・グラウス

【評価】
グラスから立ち上る香りに意識を集中すれば、ふわふわのビーズクッション。やわらかいもみ殻。木の箱に入ったコンテパステル。完熟の柑橘。
グラスを傾け、口に含めば、イチゴのようでありマスカットのようであり、真っ白な画用紙のようである。さわやかで上質。
美しい雪のようなウィスキー。

【Kawasaki Point】
86point

【基本データ】
銘柄:The SNOW GROUSE(スノウグラウス)
地域:Highland, ハイランド など
樽:Oak, オーク
ボトル:Blended, ブレンデッド

青いボトルキャップ

雪の中の雷鳥は美しいが、この画はかなりワイルド

家で冷たくして飲んで、というようなことが書いてある

ふわふわのビーズクッション。やわらかいもみ殻。

美しい雪のようなウィスキー





2014年9月20日土曜日

レビュー:SMWS 秋の試飲会 2014 ~13本のレビューを一挙掲載~

スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティの秋の試飲会に行ってきた。(The Scotch Malt Whisky Society Autumn Bottles Sampling)
この試飲会は、季節ごとに開催される、5,000円(会員4,000円)で12~13本のウィスキーがテイスティングできるおトクなイベントだ。

SMWS、スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティという長い名前は、世界最大のウィスキー愛好家団体のことをさしている。世界各地の樽を買い付け、よい頃合いに“樽出しそのまま”でリリースされるそのボトルは、会員でしか買えないが、バーなどではお目にかかることがある。

今回も13本のウィスキーのレビューを、ランキング形式で一挙掲載する。

同じボトルデザイン。ラベルだけが違うSMWSのボトル。

第13位
121.72 Isle of Arran 1998 15yo(アラン 1998 15年熟成)
【Kawasaki Point】
56point
【評価】
その香りは、松林、チョコレートの銀紙。
口に含めば、チョコレートケーキの欠片。
鳥が飛び去った後、羽音を思い出すような、一瞬の、あまり気に留めない出来事のような。


第12位
95.16 Auchroisk 1990 23yo(オスロスク 1990 23年熟成)
【Kawasaki Point】
68point
【評価】
香りは、カカオの多いチョコレート。カラメルを焦がす。
口に含めば、砂糖が弾けて、チョコレートブラウニーを食べる感じ。

 
同点第9位
1.181 Glenfarclas 2002 11yo(グレンファークラス 2002 11年熟成)
【Kawasaki Point】
76point
【評価】
香りは甘酸っぱい。使い込んだ木のデスク、インクが沁みている。校庭に現れた夏のカゲロウ。
口に含めば、その印象は攻撃的なようで、静かである。誰もいない図書室で読みふける本。


同点第9位
29.155 Laphroaig 1995 18yo(ラフロイグ 1995 18年熟成)
【Kawasaki Point】
76point
【評価】
グラスから立ち上る香りは、高音だけで奏でたヴァイオリン三重奏。厳しい冬の寒さと、その寒さのための心ばかりの一斗缶での焚き火。
口に含めば、上品な花の蜜を集め、灰を振りかけたようだ。


同点第9位
73.66 Aultmore 1989 24yo(オルトモア 1989 24年熟成)
【Kawasaki Point】
76point
【評価】
その香りは、古い屋敷のようであり、太い木の柱、石畳、ぽたっ、ぽたっ、と水の音が聞こえる。
口に含めば、すごく濃く、甘く煮たマスカットのよう。

あらかじめ注がれたウィスキー。さまざまな香りを放つ

第8位
53.209 Caol Ila 1995 15yo(カリラ 1995 18年熟成)
【Kawasaki Point】
78point
【評価】
グラスに鼻を近づければ、渋い香り。海辺の雑木林。オイルサーディンの缶詰を温めるための小さな焚き火。海の音。
口に含めば、潮、生牡蠣。海藻。
無愛想な男に黙って注がれたい。


第7位
117.4 Cooley 1991 22yo(クーリー 1991 22年熟成)
【Kawasaki Point】
79point
【評価】
香りは、花畑に水晶玉をかざして、凝縮した風景。グラスいっぱいに甘いガムを詰め込んだような。
口に含めば、そのガムを噛んだような甘みが広がる。


第6位
3.216 Bowmore 1995 18yo(ボウモア 1995 18年熟成)
【Kawasaki Point】
82point
【評価】
この香りの果汁感!スイカ、パイナップル、木苺、マンゴー。
口に含めば、そのまま舌の上でフルーツの幸福を分け与える。そして灰。
よくまとまったウィスキー。

参加者は口々に感想を

第5位
9.92 Glen Grant 1990 23yo(グレングラント 1990 23年熟成)
【Kawasaki Point】
84point
【評価】
その香りの印象は、イタリアの婚礼音楽。カッチリした雰囲気もあるのにどこか陽気。
口に含めば、あっさりとしているのに力強い。

ボトルはどれも個性的


今回はなんと、同点1位が4つ。飛び抜けたものはなかった。


同点1位
50.57 Bladnoch 1990 23yo(ブラッドノック 1990 23年熟成)
【Kawasaki Point】
86point
【評価】
グラスに鼻を近づければ、乳酸。日にやけた木。旨味を感じる香り。
口に広がるのは、しめ鯖の寿司の旨味。


同点1位
39.102 Linkwood 1990 23yo(リンクウッド 1990 23年熟成)
【Kawasaki Point】
86point
【評価】
グラスから立ち上る香りは、クリーミーで、穏やかな詩を読んでいるような気持ち。香水としても成り立つ陶酔感。
口に含めば、スイカに生クリームを塗って食べた感じがする。


同点1位
2.86 Glenlivet 1992 22yo(グレンリベット 1992 22年熟成)
【Kawasaki Point】
86point
【評価】
魅惑の香り。
口に含む。あぁ、華やか。遠い憧憬を眺める、小春日和の午後。


同点1位
76.117 Mortlach 1988 25yo(モートラック 1988 25年熟成)
【Kawasaki Point】
86point
【評価】
グラスから立ち上る香りは、土に染み込んだセメダイン。野菜のタネ。夏野菜を水で洗う。
口に含めば、上質な和食を味わった後に感じるバランス感。



サンプリング会は終わり、肌寒い秋の夜に、参加者は散り散りになっていく。今回は突出したウィスキーはなかったように感じられた。それは多くの参加者の共通した意見だったが、われわれは単に贅沢なだけなのかもしれない。
ウィスキーという単なる液体に、ついドラマのような感動を求めてしまっているのだから。



2014年9月7日日曜日

レビュー:ラガブーリン 2010 12年 甘いイチゴのコンポートと・・・

Lagavulin 2010 12yo Limited(ラガブーリン 2010 12年熟成 限定)を飲んだ。87点。
アイラ島という小さな島にあるラガブーリン蒸溜所のシングルモルト、ラガブーリンは16年熟成がもっとも有名であるが、12年熟成のものは本数限定でリリースされている。
映画『天使の分け前』では「アイラ島のプリンス」とも表現されていたラガブーリン、はたして12年熟成はどのような香味だろうか?


【評価】
グラスに鼻を近づければ、白い薬袋、花畑、暖炉の灰。すぅーと甘い香りが立ち昇る。フレッシュな梨をすり潰して。
口に含めば、甘いイチゴのコンポートとバニラアイス。雨の日のアスファルト。そのまま、香りの中にある何かを追いかけるが甘く包まれ方向感覚を失う。
落ち着く香りと、雨の日の読書。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:Lagavulin 2010 12yo Limited(ラガブーリン 2010 12年熟成 限定)
地域:Islay, アイラ
樽:American Oak, アメリカンオーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


うっすらと舟が描かれている

ナチュラルカスクストレングス
加水していない、という意味

甘いイチゴのコンポートとバニラアイス

白い薬袋、花畑、暖炉の灰

落ち着く香りと、雨の日の読書。


ラガブーリン蒸溜所はアイラ島というイギリスの小さな島に位置している。地図を拡大してみて。



2014年9月6日土曜日

レビュー:バルブレア1989 まるで草原に吹く風を・・・

BALBLAIR 1989 24yo(バルブレア 1989 24年熟成)を飲んだ。93点。
バルブレアといえば、ブレンデッドウィスキーの「バランタイン」の原酒としても有名で、シングルモルトとしてはあまり馴染みがないかもしれない。最近では『天使の分け前』という映画のメインロケ地として注目された。
ところで、近ごろのバルブレアのオフィシャルボトルは箱のデザインのインテリア性の高さも注目に値すると思う(参照:オフィシャルページ)

さて、このウィスキーの香味やいかに。

バルブレア1989
パッケージとボトルデザインはシリーズ化されている

【評価】
グラスに鼻を近づければ、木のふしあなから覗く草原。樹齢の若い木。ただしそのシグネチャー(特徴のある形)はすでにはっきりとしている。夏のコテージ。
口に含めば、夏草。さわやかさと、くつろぎ。まるで草原に吹く風を両手を広げて感じているかのような。ほんのわずかなイチゴ。
牧歌的でありながら上品。幸せに包まれて生まれてきた子羊を見つめるあたたかな周囲の目のような。

【Kawasaki Point】
93point

【基本データ】
銘柄:BALBLAIR 1989 24yo(バルブレア 1989 24年熟成)
地域:Highlanda, ハイランド
樽:Oak, Bourbon,  オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

近ごろはパッケージデザインの美しいボトルが増えている

"B"


1989蒸留 2013瓶詰め


バルブレア蒸溜所の位置を地図で確かめてみて。



2014年9月1日月曜日

レビュー:カバラン ポーディアム ショートケーキの生クリームの濃度で・・・

KAVALAN Podium(カバラン ポーディアム)を飲んだ。88点。
ウィスキーといえば、イギリス、日本、アイルランド、アメリカ、カナダが有名だが、近頃はニューワールド・ウィスキーと呼ばれる比較的新規参入の国々のウィスキーも楽しまれている。
カバランは台湾のウィスキーで、暑い国なので熟成はかなり早く進むらしい。
この“ポディウム”はおそらくオーケストラの指揮台を指しているものと思われる。カバランの他のシリーズではコンダクター(頂極指揮)とか、ソリストなどの音楽に関係するタイトルがつけられているからだ。

さて、このウィスキーの香味やいかに。

カバラン ポディウム(ポーディアムとも)
ウィスキーインポーター田中様よりご提供御礼

【評価】
グラスにそっと鼻を近づければ、崇高なハチミツの香り。メリーゴーラウンドのキラキラした一瞬を切り取ったかのよう。そして、日本家屋の柱。
口に含めば、ライトで奥ゆかしい甘み。ショートケーキの生クリームの濃度で舌に襲ってくるが、すっと引いていく。木の渋みも味わわせるがあくまで穏やか。その様が面白く、もう一口、含みたくなる。
上品な甘みを味わいたければ、どうぞ。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄:KAVALAN Podium(カバラン ポーディアム)
地域:Taiwan 台湾
樽: American White Oak,   アメリカンホワイトオーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

くどくならない紫


崇高なハチミツの香り

もう一口、含みたくなる





レビュー:グレンドロナック バッチ3 甘くて少しミルキィな・・・

GLEN DRONACH CASK STRENGTH BATCH3(グレンドロナック カスクストレングス バッチ3)を飲んだ。85点。
同蒸留所のカスクストレングスシリーズの3番目のリリース(参考「カスクストレングスとは」)。グレンドロナックと言えば、シェリー樽が濃くでているイメージがある。ウィスキー原酒を「どんな樽で熟成させるか」は、そのウィスキーの個性を決定づけるが、一般にシェリー樽熟成させたウィスキーはチョコレートのようなキャラメルのような、その他のフルーツのような、「深い」甘みをかたちづくる。

さて、このボトルの香味やいかに。

グレンドロナック カスクストレングス バッチ3

【評価】
グラスから立ち上る香りは、スモークしたハチミツを木の器に入れて食卓に載せる。同じ食卓にグリルしたチキンがあり、ブラックペッパーが効いている。手前の左のハチミツ、右にチキン、そして奥の方にグレープフルーツ。
口に含めば、甘くて少しミルキィなキャラメル。焦がした木片。
おっとりとしているが深い。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:GLEN DRONACH CASK STRENGTH BATCH3(グレンドロナック カスクストレングス バッチ3)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Sherry, オーク、シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ボトルキャップには「グレンドロナック蒸溜所」とある

ジェームス・アラダイスが1826年に創業した
グレンドロナック蒸溜所

BATCH 3
しっかりと濃い色

ノンチルフィルタード=冷却濾過せず、樽のほぼ全成分をそのままに
ナチュラルカラー=色素を添加せず樽からだしたそのままの色


ミルキィなキャラメル。焦がした木片。

「グレンドロナック」は「クロイチゴの谷」、という意味。蒸溜所の場所を地図で確かめてみて。