レビュー:トマーティン1977 30年 リンブルグ・ウィスキーフェア

Tomatin 1977 30yo Limburg Whisky Fair(トマーティン1977 30年熟成 リンブルグ・ウィスキーフェア)を飲んだ。85点。
ドイツ南部のリンブルグという町で年1回開かれるウィスキー・フェア。いろんなウィスキーが集まる世界的なイベントのようで(俺の町でもやってくれないかかな・・)。そのフェアの主催者が、毎年何種類か出すようですが、今回のトマーティンはその内の一本(世界で223本限定)。
(尚、国分300周年限定ボトルのトマーティン30年の記事はこちら

【評価】
グラスから立ち上るのは、深いぶどうと樽の香り。甘ったるくないのは、樽の熟成された渋みがバランスを取っているから。新緑の広葉樹の葉っぱ。
口に含めば、甘みが水平に広がる。木と葉の香りがふわっと芳ばしく、相応の深みがあり、瑞々しさがある。長熟にありがちな醤油の香りのえぐみがない。綺麗にニスが塗られた木の杖。
長熟なのに、若々しさの森につれてこられたかのよう。沈み込まないが、口の中で、そして鼻へ深さが広がる。
軽やかさをまとった長熟のまとまりを感じるウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Tomatin 1977 30yo  Limburg Whisky Fair(トマーティン1977 30年熟成 リンブルグ・ウィスキーフェア)
地域:Highland ハイランド
樽:Oak, Bourbon Hogshead, バーボン・ホグスヘッド
ボトル:LINBURUG Whisky Fair, リンブルグ・ウィスキー・フェア


深いぶどうと樽の香り

木と葉の香りがふわっと芳ばしく、
相応の深みがあり、瑞々しさがある

軽やかさをまとった長熟のまとまりを感じる


リンブルグ・ウィスキー・フェアの公式紹介動画。
う~ん、大勢の人々、さまざまな蒸留所、ボトラー、セミナーに料理教室・・
ドイツ語分かりませんが、とにかく幸せなフェスティバルのようですね。



レビュー:タムデュー アートに昇華された木のえぐみ

TAMDHU(タムデュー)を飲んだ。86点。
ブレンデッド・ウィスキーのフェイマスグラウスに使用されているキーモルトのひとつでもある。
蒸留所が閉鎖していたが経営が変わって、今年2013年5月に再開予定だそうだ。ウィスキーの蒸留所は経営が安定しないところが多い。酒を造ることと売ること、両方うまくいくのは幸運なケースなのだろう。


【評価】
グラスをまっすぐ持ち上げ、首を折って鼻を近づければ、草を燻した香り。ハーブの複合。正露丸だが、針葉樹の木の香り。初夏の小川の岩。
首を持ち上げ、グラスを傾け液体を口に流し込むと、なめらかさ、意図的に消された鋭さが、このウィスキーの個性を際立たせる。なめらかな海藻のような舌触りが基調となり、高音部分に木の香りが激しく主張する。木のえぐみがアートに昇華されている。
安い酒だと思って気軽にウッカリ飲むと、その良さに驚かされるウィスキー。

【Kawasaki Point】
86point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:TAMDHU(タムデュー)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


蒸留所は今年5月に再開予定のタムデュー
歴史は古く1897年からやってます。
ボトルの裏
なめらかな海藻のような舌触りが基調となり、
高音部分に木の香り
気軽にウッカリ飲むと、その良さに驚かされるウィスキー

TAMDHUの意味は、ゲール語で「薄暗い小さな丘」という意味だそうだ。
イギリスはハイランドにあるタムデュー蒸留所の位置を地図で確かめてみて。

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レビュー:ブラントン その馬のボトルキャップの愉しみ

Blanton's(ブラントン)を飲んだ。75点。
ブラントンはアメリカン・ウィスキーで、通称“バーボン”と呼ばれるケンタッキー州の酒だ。ケンタッキーダービーのサラブレッドがボトルキャップに使われていて、かなりインパクトが強い。
このバーボンが特徴的なのは、シングル・バレルということだ。(通常、さまざまな個性の樽の原酒を混ぜてボトリングするが、このブラントンは樽から出したまんまだ。だからボトルで個体差があるはず)


【評価】
グラスから上がる香りには、ねっとりした甘みの奥に竹と炭を感じる。バラの茎。ドライの木苺。
グラスを傾ければ、そのままの香りが口中に拡がる。焦がしと熱、そして甘みをじりじりと残しながら、ゆっくりと消えていく。
バランスは取れているが、味わいの幅は限定的なウィスキー。

【Kawasaki Point】
75point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Blanton's(ブラントン)
地域:アメリカ
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ねっとりした甘みの奥に竹と炭

バラの茎。ドライの木苺。

ボトルキャップは全部で8種類

B, L, A, N, T, O, N, S の8種類の馬の姿

ゴール!!


8種類のボトルキャップを集める愉しみもあるようで・・

甘みをじりじりと残しながら、ゆっくりと消えていく


ブラントンを瓶詰めする様子。作業している人、ぜったい酔っ払うよなぁ・・・。



バッファロートレース蒸留所は、ケンタッキー州にあり、ブラントンを作っている。

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レビュー:山崎ミズナラ 2012 爽やかなのに重みもある

山崎ミズナラ 2012(YAMAZAKI MIZUNARA 2012) を飲んだ。88点。
このボトルは限定1,000本で、人気の割りに希少だ。
ミズナラは木材のこと。普通ウィスキーの樽には、アメリカンオークやヨーロピアンオークを用いるが、ミズナラはジャパニーズオーク。このミズナラ、樽につかう木材としては、最悪だ。水が漏れやすいという欠点がある。戦後、ウィスキーに適したオークが手に入らなかったので、“仕方なく”欠点のあるミズナラを使ってみた。案の定、美味くなかった。ただ、しばらく放っておいたり、何度か使ってみたりするうちに「あれ、美味くなっているじゃないか!しかも独特のうまみだ!」という発見があった。誰も期待しなかったミズナラは、ジャパニーズ・ウィスキーのオリジナリティとなった。
山崎12年など、“山崎シリーズ”に使われている樽のひとつ(山崎として売り出しているシングル・モルトは、他にもシェリー樽やバーボン樽などのさまざまな原酒を合わせている)。
今回のボトルはミズナラ樽のみを使用している。


【評価】
グラスから立ち上る香りは爽やか、若さが瑞々しい。ほんのり焦がした香り。柔らかで芳ばしい樽香がうまみを伝える。新築の木の家。
グラスを傾け、口に流し込めば、爽やかで柔らかな口当たり。苦味がほんのりとうまみを引き立てる程度に抑えられている。そして通常は口全体で感じるモルトの重みがなく、なぜか舌の上だけに重みを残す。普通の樽ではありえない感覚。
爽やかなのに重みもある独特なウィスキー。

【Kawasaki Point】
88point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:山崎ミズナラ 2012(YAMAZAKI MIZUNARA 2012)
地域:山崎、大阪 YAMAZAKI, OSAKA
樽:MIZUNARA, ミズナラ
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


ミズナラは、ジャパニーズ・ウィスキーのオリジナリティ

若さが瑞々しい。ほんのり焦がした香り。

柔らかで芳ばしい樽香

爽やかなのに重みもある独特なウィスキー。

日本は大阪の山崎蒸留所の場所を地図で確かめてみて。
大事な勝負、という意味で使う「~~の天王山」という表現はこの地が由来。
昔、秀吉が光秀と戦った地であり、千利休が秀吉のために茶室をひらいた地でもあるのが山崎なのだ。

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