レビュー:竹鶴21年 少し不思議な物語を・・・

竹鶴21年(TAKETSURU 21yo)を飲んだ。88点。
海外での受賞暦のわりに国内ではまだまだ知名度の低いウィスキーといえるだろう。

「ピュアモルト」の代名詞。竹鶴


【評価】
グラスに鼻を近づければ、その香りは強く主張しない。おだやかで上品な香りが横たわる。その香りに手を伸ばせば、感じられる酸味、い草の香り。オレンジの白皮、スモークしたイチジク。
口に含めば、おだやかでふくよか。森の洞窟に入り、見上げればかなり高い頭上の岩の間から、光が注いでいる。湿った空気の漂う洞窟内の、水滴の音に耳をすませる。足元をみると、なぜこんなところに木の舟が。かなりボロボロである。くたびれた木の香り。長く愉しめる余韻。舌の中心にほのかに甘みを残す。
おだやかで少し不思議な物語を飲んでいるかのよう。

【Kawasaki Point】
88point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:竹鶴21年(TAKETSURU 21yo)
地域:Japan, 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


12年、17年、そして21年


い草の香り。オレンジの白皮、スモークしたイチジク。

おだやかで少し不思議な物語を飲んでいるかのよう



レビュー:竹鶴17年 水彩の風景画のような・・

竹鶴17年(TAKETSURU 17yo)を飲んだ。88点。

竹鶴というのは、山崎蒸留所の初代工場長で、ニッカウィスキーの創設者の竹鶴政孝(たけつるまさたか)のこと。ジャパニーズウィスキーの父と呼ばれている。その竹鶴の作ったふたつの蒸留所(余市、宮城峡)のウィスキーをブレンドしたのが「竹鶴」というピュアモルトだ。
(ピュアモルトが何であるかについては竹鶴12年のレビューに書いた)

ジャパニーズウィスキーの父「竹鶴」の名を冠したウィスキー


【評価】
グラスに鼻を近づければ、甘い樽の香り。甘さの向こう、もわっとした煙を抜けて、スイカ、イチジク、ざら目の砂糖。深みを感じる香りを放つ。無骨で、仕事にまじめな男が目の前に立って、まっすぐこっちを見つめているかのような印象を受ける。
口に含めば、山間を走るSLに乗って、風を感じているかのよう。煙と、山の木をたしかに感じるが、しかし風が吹き抜けているのでしつこくならず。足元の木の床、リズミカルになる金属の音、近くの座席の誰かの塩むすびの香り。
ここにあるのはノスタルジー、水彩の風景画。素朴だが情緒豊かなウィスキー。

【Kawasaki Point】
88point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:竹鶴17年(TAKETSURU 17yo)
地域:Japan, 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


山間を走るSLに乗って、風を感じているかのよう。

ノスタルジー、水彩の風景画。素朴だが情緒豊かなウィスキー。


レビュー:竹鶴12年 香りのバリエーション

竹鶴12年(TAKETSURU 12yo)を飲んだ。85点。
竹鶴は、ピュアモルトだ。

ちょっと解説。
“シングルモルト”は単一の蒸留所でつくられたウィスキー。“ピュアモルト”は、複数の蒸留所でつくられたモルトウィスキーをブレンドしたもの。ちなみに“ブレンデッドウィスキー”は、モルト(麦芽)だけでなく、他の穀物からつくるグレーンウィスキーを混ぜ合わせたもの。

竹鶴は、北海道は余市蒸留所と、宮城県は宮城峡蒸留所のウィスキーをブレンドしたもの。

竹鶴12年。最低でも12年以上熟成された
余市と宮城峡からできている。

【評価】
グラスに鼻を近づければ、あまいイチジク、杏子、竹墨、清涼感のあるハーブが木のお皿に盛られている。一筋、芯が通っているのに、堅苦しくならず華やかさをまとっている。おっと、少し飲んでごらんよ、と誘われる。
口に含めば、初夏の苔むす森の滝に打たれるかのよう。苔、花、岩、草。爽やかな香りたちがすっと通り過ぎていく。最後にもう一度思い出すかのように、同じ香りがリフレインする。
味の分かりやすさと、香りのバリエーションが素晴らしい一杯。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:竹鶴12年(TAKETSURU 12yo)
地域:Japan, 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


ラベルには、少し見づらいけれど、
日本のウィスキーの父である竹鶴政孝の肖像が。


味の分かりやすさと、香りのバリエーションが素晴らしい一杯。





レビュー番外編:トレヴュー ヴィエーユ ド コニャック およそ百年の時を経て・・・

COGNAC TRES VIEILLE RESERVE Lafite Rothschild (コニャック トレヴュー ヴィエーユ  シャトー・ラフィット・ロートシルト)を飲んだ。88点。
コニャックはブドウからつくる蒸留酒。ウィスキーは大麦からつくる蒸留酒。大雑把に言えば、ワインを蒸留するとブランデーになり、ビールを蒸留するとウィスキーになる。ブランデーの中でも、フランスのコニャック地方のものを「コニャック」と呼んでいる。

このコニャックに出会えるとは。


ワインにお詳しい方なら、5大シャトーのひとつである「シャトー・ラフィット・ロートシルト」に「おっ」と思うかもしれない。世界でも最高のテロワール(土壌)をもつと言われている。
このシャトーがつくるブランデー。今回たまたま開ける機会があったので、レビュー番外編としてUPする。使われている原酒はなんと1900年のものがあるのだとか。というと・・・100年以上の時を経て口に運ばれるわけだ。

もはや味として成立するのか?いかに最高のテロワールで、蒸留酒であっても、1世紀以上もの歳月に耐えうるのだろうか?

この木箱に入っていた。ドメインはロートシルト男爵。


【評価】
おそるおそるグラスに鼻を近づければ、ブドウの木を連想させる、小粒で色の濃いブドウ、イチゴのショートケーキ、吸い込んでもツンとしない気品のあるアルコール。香りは、生きている。
目をとじて、口に含めば、ふくよかである。主張はしすぎず、しかし充分に豊か!香りのバリエーションが豊富なのに、口中に静かに充満する。
リッチで、おだやかな気分になるブランデー。

長熟でかなり歳月の経ったブランデーだけあって、かつて放っていた輝きは失っているであろうに、別の輝きを感じずにはいられなかった。
しかしそれは決してノスタルジーではない。現役の酒の中に混じって戦えるかといえば、戦える実力を持ったブランデーだ。

【Kawasaki Point】
88point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:COGNAC TRES VIEILLE RESERVE Lafite Rothschild (コニャック トレヴュー ヴィエーユ  シャトー・ラフィット・ロートシルト)
地域:Borderie, ボリドリ地区
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル



瓶の中のこの色!
蝋結されたコルクを苦労して開けたあと、2回濾した。
さすがにコルクが古かったのでボロボロであった。
魅惑の色
小粒で色の濃いブドウ、イチゴのショートケーキ、気品のあるアルコール
かつて放っていた輝きは失っているであろうに、
別の輝きを感じるブランデーである

銘シャトーのラフィット・ロートシルトの場所を地図で確かめて。ロートシルトは、ロスチャイルド。

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