レビュー:宮城峡12年 夏の日に、トンネルに入った・・・

宮城峡12年(Miyagikyo 12yo)を飲んだ。85点。
杜の都・仙台の蒸溜所から届けられるこの銘柄は、評価の割に知られていない。10年に引き続き、12年をレビュー。その香味はいかに。

宮城峡12年熟成

【評価】
グラスに鼻を近づけそっと息を吸込めば、穏やかな表情をした人が、ペンキで花の絵を描いている。少しシンナーの香り。色とりどりの花を、コンクリートの壁に。ベリーをつまみながら。
グラスを傾け口に含めば、夏の木陰で休む画家。腕をまくって、額の汗をぬぐう。時折吹く風が涼しい。灼けたアスファルト。
夏の日に、トンネルに入ったときの体で感じるひんやり感。夏の葉。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:宮城峡12年(Miyagikyo 12yo)
地域:Japan, 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

堂々としているがどこか素朴な味わいの「宮城峡」の書


夏の木陰で休む画家。腕をまくって、額の汗をぬぐう。



レビュー:宮城峡10年 花束を抱えた誰か・・・

宮城峡10年(Miyagikyo 10yo)を飲んだ。85点。
宮城峡(みやぎきょう)は日本を代表するシングルモルト・ウィスキーのひとつと言われるが、山崎や白州、そして余市などと比較するとあまり知られていない。ブレンデッド・モルトの「竹鶴」という銘柄があるが、これは余市と宮城峡のブレンドである。宮城峡は知らなくても竹鶴は知っている、という人なら多いかもしれない。
(参考:シングルモルトと、ブレンデッドウィスキーの違いとは?

さて、その香味やいかに。

宮城峡10年

【評価】
グラスから立ち上る香りは、ぬっとりとした麦の香りの奥に、花束を抱えた誰かがいるように感じられる。顔は見えないが花をこちらに向けてくれている。情熱を秘めているのに甘く華やか。
グラスを傾け口に含めば、軽くてしっとり。だが長い余韻が爽やかで、幅広く、力強く続く。
それはまるで夏のようであり冬のようであり、春のようであり秋のようである。さまざまな表情を持った秀逸な一杯。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:宮城峡10年(Miyagikyo 10yo)
地域:Japan, 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

シングルモルト・ウィスキー

「宮城峡」の書

花束を抱えた誰かがいるように感じられる


杜の都、仙台市に位置する「宮城峡蒸溜所」の場所を地図で確かめてほしい。





レビュー:グレンモーレンジ コンパンタ 赤紫色の世界

Glenmorangie COMPANTA(グレンモーレンジ コンパンタ)を飲んだ。87点。
このウィスキーは、グレンモーレンジが意味深な名前をつけてリリースするシリーズの第5弾だ(過去にはエランタなどがある)。コンパンタとはゲール語で「友情」だそうだ。蒸溜所の責任者であるビル・ラムズデン博士が「理想の樽」を追い求める旅で出会った人との友情が、このウィスキーの誕生にかかわっているという。

さて、その香味やいかに。

グレンモーレンジ コンパンタ


【評価】
グラスから立ち上る香りは、うっとりする花の蜜。白と赤紫の混じった花びらが群生している。小さな舟でゆっくり進む水の上。華やかなのにヘビーな重低音も感じる。
口に含めば、驚くほど穏やか。ベリーの甘み。シルクのテクスチュア。赤紫色の世界に誘惑され、引き込まれるが、爽やかさすら感じる。後に、心地の良いヘビーさが続く。喉の奥で感じるスパイス。
奥行きのある空間の広がりを感じる一杯。

【Kawasaki Point】
87point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Glenmorangie COMPANTA(グレンモーレンジ コンパンタ)
地域:Highland, ハイランド
樽:American Oak, Clos de Tart,  Côtes du Rhône アメリカンオーク、クロ・ドゥ・タール、コート・デュ・ローヌ
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル



モーレンジのロゴ

コンパンタ プライベートエディションの第5弾

ベリーの甘み。シルクのテクスチュア。

奥行きのある空間の広がりを感じる一杯




レビュー:カバラン ソリスト バーボン ハチミツとバラの・・・

KAVALAN Solist Bourbon(カバラン ソリスト バーボン)を飲んだ。86点。
ウィスキーインポーターのエマナックの田中様よりご提供御礼。
(ところで書評ブログへの本の提供はよく見かけるが、ウィスキーブログへのウィスキーの提供はまだまだこれから、といったところで、比較的新しい動きではないだろうか。当ブログではよくもわるくも自由に表現させていただく前提で、ありがたく頂戴しております)

さて、その香味やいかに。

カバラン ソリスト バーボン樽 ご提供用のミニサイズ

【評価】
グラスから立ち上る香りは、生ぬるいハチミツ。ジンジャーとスパイス。濃厚。花の蜜が幾重にも重なったような。
口に含めば、ハチミツとバラの花びらがとろける。濃厚なバニラのような。
アジアの高層ビルから見下ろす夜景。

※非常にこってりとしているが、下品にならないバランスの取り方がカバランらしい。

【Kawasaki Point】
86point

【基本データ】
銘柄:KAVALAN Solist Bourbon(カバラン ソリスト バーボン)
地域:Taiwan 台湾
樽: Oak,   オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル



ハチミツとバラの花びらがとろける。