レビュー:アードベッグ パーペチューム さわやかなようで・・・

ARDBEG PERPETUUM(アードベッグ パーペチューム)を飲んだ。87点。
1815年創業のアードベッグは今年で200周年だそうだ。「パーペチューム」はラテン語で「永久」。200周年の節目に永い時に思いを馳せる・・・と言うのは蒸溜所側の意図だが、これまでのアードベッグのライトなネーミング(ダジャレのアードボッグとか、W杯に乗っかったオーリヴェルデとか)に比べてやや力が入った大げさなものに感じる。
さて、どんな香味なのだろうか。

アードベッグ パーペチューム

【評価】
グラスから立ち上る香りは、透き通る草をなぜた大量の風。若草であり、穏やかな海のきらめきであり、老木の静かなたたずまいである。さわやかなようで、ライトではない。
口に含む。若木の香りが輪廻を描いて、老木までの想像をさせる。フレッシュだが、落ち着きがある。若さ、情熱、落ち着き、熟練、それらが同居している。
熱いウィスキー。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:ARDBEG PERPETUUM(アードベッグ パーペチューム)
地域:Islay, アイラ島
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

1815-2015


ISLAY SINGLE MALT アイラ島のシングル・モルト

若草であり、穏やかな海のきらめきであり

200周年に永遠への願いを込めたのだろうか

若さ、情熱、落ち着き、熟練

熱いウィスキー。



イギリスはスコットランド西側に、淡路島程の大きさの島「アイラ島」がある。
アードベッグ蒸溜所はこの島にあり、この島で作られ、我々のBARまで運ばれてくる。




レビュー:ニッカ シングル・モルト・ウィスキー 23年 余市の行く末・・・

NIKKA SINGLE MALT WHISKY 23 YEARS OLD by Yoichi(ニッカ シングル・モルト・ウィスキー 23年熟成 余市蒸溜所)を飲んだ。88点。
このボトルは非売品で、中身は余市蒸溜所のもの。

“余市”といえば、原酒不足を理由として「余市」ブランドの刷新が図られるようだ。余市に限った話ではなく、世界的にNA(ノン・エイジ=熟成年数表記のない)ウィスキーが増加している。需要が供給を上回れば起こる現象のひとつだが、ファンは寂しい思いをするだろう。

NIKKA SINGLE MALT WHISKY 23yo

【評価】
グラスから立ち上る香りをかぐ。甘く香る潮騒。濡れた砂を踏みしめる。重厚な木のテーブル。厳しい冬を乗り越えた木立。少しふくよかで甘い。
グラスを傾け、口に含む。スイカのような清涼感。生木のやわらかさ。砂に染み込む。汗をかいた夏の夜に冷めやらぬ興奮。
濃密で強いウィスキー。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄:NIKKA SINGLE MALT WHISKY 23 YEARS OLD by Yoichi(ニッカ シングル・モルト・ウィスキー 23年熟成 余市蒸溜所)
地域:Yoichi, 余市町
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

NIKKA WHISKYの歴史は余市蒸溜所から始まった

甘く香る潮騒

これと同じボトルが旧竹鶴邸にも展示されていた

スイカのような清涼感

竹鶴政孝は余市ブランドの行く末をどのように見守るだろう








レビュー:グレンモーレンジィ トゥサイル 底つき感がない・・・

The Glenmorangie TUSAIL(グレンモーレンジィ トゥサイル)を飲んだ。86点。
モーレンジのリリースする「プライベート・エディション」から。過去にはエランタなどがある。
このシリーズはいつも聞き慣れないゲール語のタイトルが付いているが、今回のトゥサイルは「大麦」という意味だそう。なんでも1960年代に登場した大麦のマリス・オッター種が一度は絶滅の危機に瀕したものの、最近見直されて一部の高品質クラフトビールに使用されているようだ。
毎度、責任者のビル・ラムズデン博士のチャレンジには感心させられる。

さて、どのような香味なのだろうか。

グレンモーレンジィ トゥサイル

【評価】
グラスを傾ける、魅入ってしまう金色の輝き。
すこしグラスを揺らして香りが立てば、麦、りんご、その他の美しいスパイスの調和。ふくよかなのにきりりとしつつ、おだやかなのにクッキリとした主張。
口に含む。水飴の後の黒焦げの樽。初夏の水遊び。ふかふかの柔らかな麦のベッドは、底つき感がない。
さわやかで美しい酒。

【Kawasaki Point】
86point

【基本データ】
銘柄:The Glenmorangie TUSAIL(グレンモーレンジィ トゥサイル)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

Uはアキュートが付いている「Ú」

グレンモーレンジィのロゴは渦巻紋様

フロアモルティング製法

グラスを傾ける、魅入ってしまう金色の輝き。

麦、りんご、その他の美しいスパイスの調和

さわやかで美しい酒。









レビュー:グレンタレット20年 アップライトピアノの・・・

Glenturret 1994 20yo(グレンタレット 1994 20年熟成)を飲んだ。89点。
ウィスキー好きと猫好きには有名な蒸溜所、グレンタレット。

昔、ウィスキー蒸溜所では大麦を鳥やねずみから守るために猫を飼うことがあったそうだ。これをウィスキーキャットと呼んだ。グレンタレット蒸溜所が飼っていた三毛猫の「タウザー」ちゃん(1963-1987)は、通算で28,899匹のねずみを仕留めたとかで、ギネスブックにも載っているようだ。彼女は“ウィスキーキャット”として素晴らしい役割をはたしたので、銅像にもなっている。

グレンタレット1994 20年熟成 ラベルには「タウザー」

【評価】
グラスから立ち上るのは、さわやかで馥郁たる甘み。新緑に包まれて吹き抜ける風が涼しい。ツンとしたところがなく優しい。
口に含む。銅のやかんから、水蒸気がでる。アップライトピアノの楽しい伴奏と、ガラス窓を揺らす外の風。
軽快でこじんまりとしているが、楽しい。

【Kawasaki Point】
89point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Glenturret 1994 20yo(グレンタレット 1994 20年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ウィスキーキャットが描かれたラベル
実際のタウザーはふさふさした毛の三毛猫だったようだけど


新緑に包まれて吹き抜ける風が涼しい

軽快でこじんまりとしているが、楽しい



グレンタレット蒸溜所を地図でも確かめてみて。かなり寄りにしている。「+」や「-」で動かすことができ、クローズアップして空気の美味しそうなのどかな田舎の風景が見られたり、引きにしてイギリスのどのあたりに位置しているのかというのも見られる。