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レビュー:響 12年 小川を流れる桜の・・・

響12年熟成(Hibiki 12yo)を飲んだ。76点。

「響(ひびき)」といえば、日本を代表するブレンデッド・ウィスキーの銘柄だ。2009年に発売された12年がそのディフュージョンラインとしての役割も担っていたが、今年あらたに年数表記のない「JAPANESE HARMONY」がリリースされ、ポジションをより明確にしている。このリリースに伴い、12年には終売の噂がある。

昨今のウィスキーブームの原酒不足により、各社がラインナップの再編をおこなっている今、新たに生まれるウィスキーもあれば、去っていくウィスキーもあるようだ。

さて、響12年はどのような香味だろうか。


【評価】
グラスを傾け、そっと鼻から息を吸い込む。草とさくらんぼ。野焼き。小川を流れる桜の花びら。うぐいす。
口に含めば、しっとりと熱い。炎を見つめる。舟を漕ぐ。通奏低音としての千歳飴のような甘み。
苦みと渋みと甘みが入り混じる。

【Kawasaki Point】
76point

【基本データ】
銘柄:響12年熟成(Hibiki 12yo)
地域:Japan, 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ボトルキャップも『響』

これ以外にはない特徴的なボトル

ブランドにかける意気込みが伝わるエチケット

24面カットのボトル

小川を流れる桜の花びら

通奏低音としての千歳飴のような甘み







レビュー:ラフロイグ 1999 14yo A.D Rattray 長い夜を・・・

Laphroaig 1999 14yo Cask CollectionA.D Rattray(ラフロイグ1999 14年熟成 デュワ・ラトレー社のカスクコレクションシリーズ)を飲んだ。89点。
小ぶりのグラスに注がれたラフロイグは、どのような香味で愉しませてくれるだろうか。

ラフロイグ1999年蒸留 14年熟成 デュワ・ラトレー

【評価】
グラスに鼻を近づければ、甘みの中の豊潤な煙。やわらかく鋭い。木苺。流木。波の音。
グラスを傾けそっと口に含む。舌の先が熱くあまくとろける。構造的な甘みの上にやわらかくふかふかのクッションが敷かれている。
長い夜を静かに明かす際にはこのウィスキーをお供にしたい。

【Kawasaki Point】
89point

【基本データ】
銘柄:Laphroaig 1999 14yo(ラフロイグ1999 14年熟成)
地域:Islay, アイラ島
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:A.D Rattray, デュワ・ラトレー社

やわらかく鋭い。

Cask Collectionのシリーズは、カスクストレングス=樽出しそのまま、である。

14年の夢を見てきたラフロイグ

1999年蒸留 2013年ボトリング

長い夜を静かに明かす際には・・・










レビュー:アードベッグ10年 釣り竿の先を・・・

Ardbeg TEN(アードベッグ 10年)を飲んだ。87点。
アードベッグは、ウィスキーの聖地とも言われるアイラ島にある8つの蒸溜所の内のひとつだ。(アイラ島はスコットランド本島の西にある、淡路島程度の大きさの島)
さて、このボトルの香味はどのようなものだろうか?

アードベッグ10年熟成

【評価】
グラスを傾け鼻を近づければ、風に吹かれて少し飛んだ灰、備長炭。イチゴ、オレンジの葉、海岸の波に濡れた砂。こってりとした青い空。
口に含めば、釣り船に乗って波に揺られる。細い糸を垂らして、釣竿の先を眺める。兆しはあるだろうか。小さなまな板でリンゴを切って、皮つきでかじる。
小さな島のある日の午後。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:Ardbeg TEN(アードベッグ 10年)
地域:Islay, アイラ島
樽:oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


アードベッグの「A」のロゴ。渦巻き文様はケルト文化由来かな?


このデザインのパターンにも伝統を感じる

釣り船に乗って波に揺られる

小さなまな板でリンゴを切って、皮つきでかじる



アードベッグ蒸溜所はスコットランド本島の西に位置する。アードベッグとは、ゲール語で「小さな岬」。もし地図を拡大すれば海岸線まで確かめられる。






レビュー:グレンゴイン 10年 画家が手を止めて・・・

GLENGOYNE 10yo(グレンゴイン 10年熟成)を飲んだ。88点。
グレンゴインは、スコットランドの中でもとても美しい風景の中にある蒸溜所として有名だ(ウィスキー映画『天使の分け前』のロケ地でもある)。その酒がどんな場所で作られたかなど、口の中に入れてしまえば関係ない・・・そういう見方もできるだろうし、その酒にまつわるすべての風景、人々、物語がおもしろい・・・そういう見方もできる。あなたはそのどちらだろうか。
さて、このウィスキーの香味を確かめよう。

グレンゴイン10年熟成

【評価】
グラスから立ち上るアロマに鼻を近づける。むせるほどの麦の生命感。穏やかな甘みを幾重にも重ねてできる透明感。パステルの黄色が広がる。
ひとたび口に含めば、あっさりと進み、アフターテイストとして上がってくる甘みの充実感。すっきりと透明でガラス細工のように繊細だが、力強い後味。その後味にじっくり付き合えば、暗く深い影も持っていることがわかる。
カンバスに向かう画家が手を止めて、思わず風景に見とれてしまう圧倒的風景の美しさ。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄:GLENGOYNE 10yo(グレンゴイン10年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Sherry オーク、シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


蒸溜所の設立は1833年

2匹のガチョウが向き合うエンブレム

10年熟成

穏やかな甘みを幾重にも重ねてできる透明感

カンバスに向かう画家が手を止めて・・・



よく出来た蒸溜所ムービー。旅情をかきたてる。





レビュー:ボウモア2000 13年 ハートブラザーズ ガラス細工の・・・

BOWMORE 2000 13yo Heart Brothers(ボウモア 2000 13年熟成 ハートブラザーズ for 信濃屋)を飲んだ。83点。
このボトルのアロマやいかに。

ボウモア 2000年蒸留 13年熟成

【評価】
グラスに充満する香りを吸い込めば、イタリアンパセリごしのイチゴ。燃え尽きた炭。ナイフを入れたマンゴー。
目を瞑って口に流し込めば、温かく柔らかい、だがすっきりとまとまったガラス細工のよう。そのつるんとした表面に水が流れていく。だが灼熱の後味。
フレンドリーだが決して近寄り過ぎない、凛とした輝きを持つウィスキー。

【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄: BOWMORE 2000 13yo (ボウモア 2000 13年熟成)
地域:Islay (アイラ)
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:Heart Brothers for Shinanoya ハートブラザーズ for 信濃屋

ボトラーはハートブラザーズ

信濃屋は日本の酒屋

灼熱の後味








レビュー:グレンリベット15年 野原を進む・・・

The Glenlivet 15yo(グレンリベット 15年熟成)を飲んだ。87点。
グレンリベットはスコットランドの政府公認蒸溜所第一号で長い歴史を誇っている。ちなみに、わざわざ公認を名乗るその背景には、いわずもがな政府“非”公認の蒸溜所があったことを指し示している。実はもともとグレンリベットもそのひとつで、名の知れた密造酒であった。しかし時の権力者キングジョージ4世に気に入られ、蒸溜所は政府公認となる。
ところで、蒸溜所のオーナーであるジョージ・スミスは「イチ抜けた」の状態となり他の密造業者から妬まれたため、常に2丁の拳銃を護身用に持ち歩いていた(そして実際に発砲していた)・・・というのはまた別のお話。

さて、現在のこのボトルの香味はどのようなものだろうか?

ザ・グレンリベット 15年

【評価】
グラスから立ち上る香りにそっと近づく。色とりどりのポピーやスイートピーが群生している。淡い色合いに心が癒される。
口に含めば、長い月日で柔らかくなった枕木を踏みしめながら、野原を進む。ここは高地だろうか。空気が澄んでいる。美しい音楽が流れている。やがて夜になり、星が綺麗だ。
人を静かで穏やかにさせるウィスキー。

【Kawasaki Point】
87point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:The Glenlivet 12yo(グレンリベット 12年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ジョージ&ジョン・ゴードン・スミス
蒸溜所の初代オーナーとその息子の名だ

グレンリベットおなじみの「1824」のエンブレム(創設年)

15年熟成

色とりどりのポピーやスイートピー

人を静かで穏やかにさせるウィスキー



グレンリベット蒸溜所はだいたいこのあたり。地図で確かめてみて。グレンリベットの意味はゲール語で「スムースな流れの谷」。よくウィスキーでは「グレン~~」とあるが、グレンは「谷」を意味している。





レビュー:ヘーゼルバーン 12年 手づくりのパイ・・・

HAZELBURN 12yo(ヘーゼルバーン 12年熟成)を飲んだ。83点。
ヘーゼルバーン蒸溜所はイギリスはスコットランド、キャンベルタウンに存在した。かつて竹鶴政孝(ジャパニーズウィスキーの父)が修行した蒸溜所として知られるが、1926年に閉鎖している。
今ではこの「ヘーゼルバーン」ブランドは同じ街にあるスプリングバンク蒸溜所が手がけており、毎年数千本の限定的な生産だ。ちなみに同蒸溜所のメインブランドである「スプリングバンク」はライトピート(すこし煙の香りがする)で、「ヘーゼルバーン」はノンピート(煙の香りがするピートを使用していない)。

さて、このボトルの香味やいかに。

ヘーゼルバーン12年

【評価】
グラスを傾けその香りを辿れば、艶やかな着物、紅、金、優雅な白い線。ハチミツとレモンが絶妙なバランス。透き通っているがとても深い。
口に含めば、ゆっくりと印象を裏切る。手づくりのパイ。カステラ、大き目のアメ。
穏やかな気持ちにさせる素朴さと深み。

【Kawasaki Point】
83point

【基本データ】
銘柄:HAZELBURN 12yo(ヘーゼルバーン 12年熟成)
地域:Campbeltown, キャンベルタウン
樽:oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

スプリングバンク蒸溜所から

ヘーゼルバーン12年 すっきりとした香りの3回蒸留

紅、金、優雅な白い線

穏やかな気持ちにさせる素朴さと深み





レビュー:マスターブレンダーズブレンド 12年 赤い水彩絵の具・・・

Master Blender's Blended Whisky 12yo 70th Anniversary Selection(ニッカマスターブレンダーズブレンド 12年熟成)を飲んだ。87点。
いまからちょうど10年前の2004年、ニッカの創業70周年を記念したボトルがいくつかリリースされていた。写真は4本セットの箱入りのリリースで、今回取り上げるのはそのうちのひとつ。
マスターブレンダーというのはニッカのウィスキーづくりの総監督だが、実際にその方の手書きのサインが書かれた貴重なボトルだ。

マスターブレンダーズ・ブレンド ニッカ12年熟成

Master Blender's Blended Whisky 12 years old

【評価】
グラスから立ち上る香りは、花火終わりのクヌギの木。蜜の香りと、赤い水彩絵の具。夜の潮騒。
口に含めば、重たくて冷たい鉄の棒。土の香り。苔と苔の花。白くて小さい。
金属音みたいなジャズピアノを聴きたくなる一杯。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:Master Blender's Blended Whisky 12yo 70th Anniversary Selection(ニッカマスターブレンダーズブレンド 12年熟成)
地域:Japan
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

4本セットが木箱入りでリリースされた。
余市12年、宮城峡12年、カフェグレーン12年、
そして今回取り上げたマスターブレンダーズブレンド12年。

苔と苔の花。白くて小さい。






レビュー:余市1992 12年 ニッカ70周年記念ボトル ガラスにはめ込んで・・・

余市1992 12年熟成 ニッカ70周年記念ボトル(Yoichi 1992 12yo)を飲んだ。85点。
今年2014年はニッカの創業80周年でさまざまな記念ボトルがリリースされているが、丁度10年前の2004年にも記念ボトルがリリースされていたようだ。今回取り上げるのはニッカ創業70周年の記念ボトルのひとつで、マスタ-ブレンダーの佐藤茂生氏のサイン入りだ。

さて、どのような香味の世界なのか。




【評価】
グラスから立ち上る香りは、燃えている薪の香りを煙ごと四角いガラスにはめ込んで眺めているかのような。カカオの濃いチョコレートのかけら。生き物のようにダイナミックに変化する。
口に含めば、ろうそくの炎が熱く舌の上で燃えて、ロウが溶けていく。ロウが溶けるとチョコレートに変化する。
熱いが静かなウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:余市12年(Yoichi 12yo)
地域:Japan
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

こっちが余市12年

熱く舌の上で燃えて、ロウが溶けていく