カクテル:スコッチキルト Skye's 楽しい夜は・・

ウィスキーベースのカクテルは、その酒の歩んできた歴史にも興味を持たせてくれる。

「スコッチ・キルト」は、スコッチ・ウィスキー(スコットランドのウィスキー)と、ドランブイというリキュールをベースにしたカクテルだ。この「ドランブイ」、満足させる酒、という意味なのだけど、その誕生ストーリーも満足に値するものだ。
その昔、王の座をかけた戦いに敗れ、スカイ島に逃げ落ちたプリンス・チャールズ。彼の首には多額の賞金がかかっていたのだけど、敗れた彼を裏切らず、フランスに亡命させたのがマッキノン家。これに恩義を感じたプリンス・チャールズは、王家に伝わる「ドランブイ」のレシピを、マッキノン家に明かしたとな・・・。

今回はスコッチ・キルトを作るにあたって、そんなドランブイのゆかりの地、スカイ島でつくられる「タリスカー」というウィスキーがチョイスされた。

シェーカーにタリスカーとドランブイを・・・

そしてオレンジビターズ・・・

氷を入れて・・

シェイクされる直前のシェーカーを覗くと・・

シェイクが始まった

後もう少し・・・

シェイクがおわり・・

スコッチ・キルトが注がれた

オレンジピールをツイストして・・

スコッチ・キルトの完成


 【評価】
グラスに鼻をやれば、葉巻の煙が重厚な甘みと混じる。
口に含めば、少し背筋を伸ばして、お店の音楽に浸りたくなる。よく冷えており、棒アイスのような清涼感。
重厚でありながら、お菓子のようなチャーミングな甘み。楽しい夜にどうぞ。

【Kawasaki Point】
-
(カクテルには点数をつけない)

【基本データ】
カクテル名:「スコッチ・キルト Skye's」 ※私が勝手に名づけた
ベース銘柄:タリスカー10年、ドランブイ
Bartender:倉橋裕 (Kurahashi Yuh)


このスコッチ・キルト、一般的なレシピでは、シェイカーを振らない。グラスの中でステアするだけ。今回はタリスカーとドランブイというふたつのスカイ島生まれの酒をより調和させるため、シェイクされた。それが功を奏して、よい冷たさにつながっていた。


それにしてもウィスキーベースのカクテルには、さまざまなエピソードが隠されている・・。
ウィスキーを愉しむときには、その隠されたエピソードにも注目してほしい。きっと楽しい夜になるはずだ。


カクテル:ニューヨーク 甘い誘惑のオレンジ色

お洒落なカクテルは、ウィスキーを親しみやすい存在にしてくれる。
スタンダードカクテルの「ニューヨーク」といえば、あのオレンジ色が人気。大都会の朝日なのか夕日なのか、甘い誘惑なのか凛とした主張なのか・・。仕事帰りの女性が背筋を伸ばして飲んでいたなら、オッと目を引く、そんなイメージのカクテルだ。

癒しを求めたくなるオレンジの色合い

 【評価】
グラスに鼻をやれば、薬草の香りと、火薬、バラのエッセンス、ミント。
口に含み飲み込めば、ノドは熱く、口の中は冷たい。口に残るレモングラスの香り。

【Kawasaki Point】
-
(カクテルには点数をつけない)

【基本データ】
カクテル名:「ニューヨーク」
ベース銘柄:ワイルドターキー8年、カネマラ
Bartender:小嶋修 (Osamu Kojima)


ニューヨークという名前だけに、アメリカ・ウィスキー(バーボン)のワイルドターキーを使用している。それから今回は、アイリッシュのカネマラも使用。


大都会の朝日なのか夕日なのか、甘い誘惑なのか凛とした主張なのか・・

ノドは熱く、口の中は冷たい。口に残るレモングラスの香り。

カクテルの面白さは、癒しでありインスピレーションであるところだろう。
また、ウィスキーの別の魅力をぐっと引き立てること。

今夜も、よいウィスキーライフを。


カクテル:白州12年の粋な水割り OK Twist

ウィスキーを飲むならストレートを推奨している私だが(参考記事)、初めてウィスキーを飲むには、ウィスキーベースのカクテルが取っ掛かりやすいかもしれない。

今回紹介するのは、「白州の水割り」。

え、水割りってカクテル?と思うかもしれないけれど、水割りも、奥が深い。
その作り方ひとつで「すごいカクテル・・」となる。

オレンジピール(皮)をバーナーで炙って、香りを引き立て・・

叩いたミントの葉を乗せて、グラスをかぶせる



香りが移ったグラスに、白州12年を注ぐ・・・

軟水を注いで・・・
白州12年の水割り OK Twistの完成。


 【評価】
グラスに鼻をやれば、木の葉のうまみを感じる。乾燥したまつぼっくり。濡れた腐葉土。焼いたオレンジの苦味。
口に含めば、ほろ苦さを感じさせながら森の水、ごくっと飲み込めば、樽の木の香りをほわっと残す。第一印象からノドごしまで、苦味が温かく、爽やかにまとまりながらも、飲みごたえ充分。
都会的な苦味を加えた白州の水割りである。水割りだから、喉ごしまで愉しめる。

【Kawasaki Point】
-
(カクテルには点数をつけない)

【基本データ】
カクテル名:「白州の水割り OK Twist」
ベース銘柄:白州12年熟成 (HAKUSHU 12yo)
Bartender:小嶋修 (Osamu Kojima)

 ※今回のカクテルの名前は私がつけた。
単に「水割りです」と出されたが、勝手に、
「白州12年の水割り OK Twist (≒オサム・コジマ創作)」
と呼ぶことにした。


ウィスキーでカクテルを愉しむのも、また、良し。
そのウィスキーの魅力に気がついたなら、他のカクテルや、ぜひストレートでも味わってほしい。
きっとさらに愉しみが広がるだろう。

次回はよりクラシックなカクテルの「ニューヨーク」を取り上げる。女性ファンも多いお洒落なカクテルだ。お楽しみに。


レビュー:カリラ12年 心を溶かすウィスキー

CAOL ILA 12yo (カリラ12年熟成)を飲んだ。89点。
ゆっくり時間をかけ、味わって飲んでほしいウィスキーのひとつ。


【評価】
グラスを傾け、鼻を近づければ、スモーキーな塩。甘い柑橘の香り。いぶした鮭の皮。黄色のマーガレット。ざらつきやトゲを感じるものの、甘さが調和し、心地よい。
口に含めば、煙突の煙が広がる。そのすぐあとに広がる花のうまみが滑らかで、このギャップにより魂がほだされる。
煙たさと滑らかさ、熱さと冷たさのギャップを包含している、心を溶かすウィスキー。

【Kawasaki Point】
89point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:CAOL ILA 12yo (カリラ12年熟成)
地域:Islay, アイラ
樽:Oak, Bourbon,  オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ウィスキーを飲むときはチェイサー(水)を忘れずに。
このカリラはあともう少し・・・

CAOLILAを注ぐ・・

スモーキーな塩。甘い柑橘の香り。

煙のすぐあとに広がる花のうまみが滑らか

心を溶かすウィスキー

イギリスはアイラ島とジュラ島の間の「アイラ海峡」に位置するカリラ蒸留所。
カリラからただよう潮の香りはこの海の香りだ。

大きな地図で見る


レビュー:SMWS 春の試飲会 ~12本のレビューを一挙掲載~

スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティの春の試飲会に行ってきた。(The Scotch Malt Whisky Society Spring Bottles Sampling)
分かりやすく言うと「5,000円で12種類のウィスキーが飲み放題」、という大変お得な会だ。まぁご想像の通り、アルコール度数の高いウィスキーをガバガバ呑めはしないのだけれども。春夏秋冬の季節ごと、全国で年4回開催されている、通称「おとなの飲み放題」だ。(開催情報はこちら

スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティは、ボトラーズ。いろんな蒸留所から樽を買って、いい感じの時に瓶詰めして販売する。このボトラーズの特徴は、会員しか買うことが出来ないという点だ。(実際には会員に買ってもらったものを譲り受けたりすれば、会員じゃなくても手に入れられるけど)また、このボトルを入れているバーもちらほらある。

SMWS 2013年 春のボトルサンプリング会


今回は2013年春に発表された12種類のボトルのテイスティング・レビューを掲載する。
12位から1位までを一挙公開。
(ウィスキーの名前の冒頭についている数字は、SMWS独自の蒸留所と樽コード)


12位

R 1.4 PORTMORRANT1991 21yo (ポートモーラント1991 21年熟成)

【Kawasaki Point】
53point
【評価】
香りは、ミントキャンディ。古い木の棚。口に含めば、まとまった味わいだが、紹興酒。
ソサエティから出るラムとしてはハッキリ言って期待はずれ。前回のラム(R5.2)は良かったのに・・。


11位

33.128 ARDBEG 2005 7yo (アードベッグ 2005 7年熟成)

【Kawasaki Point】
68yo
【評価】
グラスに鼻を近づければ、炭の香りが強く主張する、青々とした茎の太い草を感じる。
口に含めば、煙が上がってくるが、同時に青臭い。


10位

37.53 CRAGGANMORE 1985 27yo (クラガンモア 1985 27年熟成)

【Kawasaki Point】
68point
【評価】
香りは甘くスパイシー。スパイスの上に柑橘のピール(皮)が乗る。アルコール感は強め。
口に含めば、刺激が小さく弾ける。アルコールに乗ってバーボン樽。肉汁、コンソメ、ブラックペッパー。香りの奥行きを感じる。
早めの時間に一杯飲みたい。



9位

93.54 GLENSCOTIA 2002 10yo (グレンスコシア 2002 10年熟成)

【Kawasaki Point】
71yo
【評価】
漂う香りは、清涼感のある、冬の生きている獣の毛の香り。
グラスを傾け一口含めば、鹿の毛を口に入れたかのよう。トウガラシパウダー。


8位

85.25 GLEN ELGIN 1999 13yo (グレンエルギン 1999 13年熟成)

【Kawasaki Point】
78yo
【評価】
グラスから立ち上る香りは、さわやかなぶどうとパイナップル、マスカットのミックスジュース。
口に含めば、少し煙たいバーベキューのほとりでかじった木の板。


7位

73.54 AULTMORE 1992 20yo (オルトモア 1992 20年熟成)

【Kawasaki Point】
80yo
【評価】
香りは、スイカ。ホースの水。陽炎と、山の上で突如吹く風の清涼感。
口に含めば、ヒレ肉、バターガーリック。木のうまみ。焦がした金網。


6位

29.128 LAPHROAIG 1990 21yo (ラフロイグ 1990 21年熟成)

【Kawasaki Point】
85yo
【評価】
薫るのは、燻製と、正露丸。少しのペッパー。
口に含めば、燻製したシャケトバ。囲炉裏の鉄瓶に垂らした醤油。
山荘にこもって書き物をしたくなるウィスキー。


5位

41.55 DAILUAINE 2004 8yo (ダルユーイン 2004 8年熟成)

【Kawasaki Point】
86yo
【評価】
グラスから薫るのは、花々がトラックの荷台に揺れて、麦畑を進む風景。
口に含めば、ゆっくりと分解されていく麦の味。まとまりと主張を感じる。


4位

64.42 MANNOCHMORE 1990 22yo (マノックモア 1990 22年熟成)

【Kawasaki Point】
86yo
【評価】
香りは、オレンジとグレープフルーツのかご。ガラスの中の煙。
口に含めば、シェリーの緩やかな香り。ぎゅっと詰まってはいない味。オレンジピールの苦味。
主張は強くはないが、何気ない午後に本を読みながら飲みたい。


3位

44.56 CRAIGELLACHIE 1989 23yo (クレイゲラヒ 1989 23年熟成)

【Kawasaki Point】
86yo
【評価】
グラスに鼻を近づければ、うっとりする畳の間の香り。バターの枯れた草。優雅。
ところが口に含むと、一転してスパイシー。花々の香り。うすくゆっくり二つ隣の席のドライフルーツを感じる。
香りと味に裏切りがあり、微笑をもたらすウィスキー。


2位

27.100 SPRINGBANK 2000 12yo (スプリングバンク 2000 12年熟成)

【Kawasaki Point】
87yo
【評価】
香りは、水仙のような華やかさ。鉄。水。
口に含んで舌でころがせば、華やかさは水に溶けて穏やかに香る。水苔。花弁を乾燥させた感じ
後味が鉄なのに、激しさではない。味わいを感じる。


1位

7.81 LONGMORN 1992 20yo (ロングモーン 1992 20年熟成)

【Kawasaki Point】
88yo
【評価】
香りは、缶詰のパイナップルの汁。湿度を感じる(ドライではない)。ホワイトペッパー。
口に含めば、ゆっくり滑らかなのに鋭くうまみ。ただし果実感ではない。
爽やかな夏の朝に、風でレースカーテンが揺れ、ゆっくり時間が流れるかのようなウィスキー。



今回のサンプリング会には、スコットランドはエディンバラから参加した人もいた。SMWSの会員で、日本旅行中にインターネットでサンプリング会があると知り参加したという、筋金入りのウィスキー好きだ。彼のお気に入りはオルトモアとラフロイグだった。ちなみに、グレンスコシアのスコシア(scotia)は、スコットランド(scotland)の古い言い方だ、というプチ情報もくれた。
また、参加者の中には私が11位にしたクラガンモアを1位に挙げる人もいた。また、6位のラフロイグは、「長熟の割りに期待を裏切られた」という声もあった。1位にしたロングモーンはやはり概ね評価が高かったようだ。

とにもかくにも春の宴は、さまざまの幸せそうな声で包まれていた。



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書き手はどんな人ですか?なぜ実名ですか?
書き手の私は普通のウィスキー好きです。ウィスキーといえば、「裕福そうな」「素敵なオジサマ」が飲んでいるイメージがありますが、残念ながら私はどちらのイメージにも当てはまりません。また、お酒に強いわけでもなく、たくさん飲むこともありません。家にウィスキーのボトルは2~3本しかありませんし、しかもプレゼントで貰ったものです。このブログに掲載しているウィスキーは、私一人、もしくは友人と連れ立って行ったバーで勧められたものです。頻度は週に1回か2回です。そういった飲み方をなさっている方は多いでしょう。ただ、私はあるときにふと「これを記録してみよう」と思い立ちました。
ブログを始めるにあたり、私の忌憚なき意見が読む方にストレートに伝わるよう、実名としました。

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