レビュー:ラガヴーリン1998 18yo 200th記念ボトル ピンクグレープフルーツの果肉に・・・

LAGAVULIN 1998 18yo 200th anniversary bottle for Feis Ile 2016(ラガヴーリン1998 18年熟成 アイラフェス向け200周年記念ボトル)を飲んだ。87点。

2016年はラガヴーリン200周年の年だった。200周年といえば、当たり前だが、200年経たないと来ないものであり、一度しか来ない、とても貴重なものだろう。マスターブレンダーはどのような気持ちで、原酒を選んだのだろうか。

さて、その香味はどのようなものだろう。

ラガヴーリン1998-2016 18年熟成 200周年記念ボトル

【評価】
グラスから立ち上る香りをそっと吸い込む。ああ、大玉のホワイトグレープフルーツの間に鼻を埋めている!そして、ブラックペッパー。ピンクグレープフルーツの果肉にかかる。
液体を口に含む。先程のホワイトグレープフルーツと同じプレートに、ピンクグレープフルーツ、ブラックペッパー、燻製のウズラ、カマンベール。
しっとりとした、豊かなニュアンス。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄: Lagavulin (ラガヴーリン)
地域:Islay (アイラ島)
樽: Oak, オーク 
ボトル:DistirallyDistillery Bottle, オフィシャルボトル



アイラフェス向けの1本

1816年創業のラガヴーリン蒸留所

樽情報(わりと詳しめ)

大玉のホワイトグレープフルーツ

燻製のウズラ、カマンベール

しっとりとした、豊かなニュアンス。







レビュー:カリラ1979 35yo ダグラスレイン 奥に秘めた、大人の情熱・・・

Caol Ila 1979 35yo by Douglas Laing Series "XOP"(ダグラスレイン社のXOPシリーズ、カリラ 1979年蒸留 35年熟成)を飲んだ。97点。

"XOP"は Extra Old Particularのことで、長熟の原酒をカスクストレングスで瓶詰したシリーズだ。35年もののカリラは見る機会が少なく、貴重だ。

さあ、どのような香味なのだろうか。

カリラ1979年蒸留2014年瓶詰 35年熟成

【評価】
グラスから立ち昇るその香りはまるで、ビロード、上質な絨毯。レンガ造りの古い建物だが、よく手入れが行き届いている。透明感のある眼差しの女性が、カウチに腰掛け、こちらに微笑む。それは、古くから知っているようで、新しくもある感覚。その家にある甕(かめ)に張った水の透明さに、思わず引き込まれそうになる。
グラスを傾け、少量を口に含む。・・・もし、奥に秘めた大人の情熱というものがあるならば、この液体がそれだろう。柔らかくて掴めないが、それでもたしかに感じる強さ。そうか、この大きな空間が暖かいのは、カウチの向こうのあの暖炉のせいか。
出るため息にすら感動する。

【Kawasaki Point】
97point

【基本データ】
銘柄: Caol Ila (カリラ)
地域:Islay (アイラ島)
樽: Bourbon(バーボン)
ボトル:Douglas Laing, Series "XOP", (ダグラスレイン社のXOPシリーズ)

35年熟成のXOP

47.1% 1979.2-2014.12 35yo


古くから知っているようで、新しくもある。

この大きな空間が暖かいのは、カウチの向こうのあの暖炉のせいか





クリスマス、とあるバーでは。

どこかにありそうなバーのお話。


街は早く暗くなり、旅人は雪の中を歩いておりました。道端の小さな看板の灯りが、旅人には少し暖かく感じられました。

旅人はいろんな街のバーに入ってきたので、彼が惹かれるバーが、自然と彼自身にはわかるのでした。

木製の少し重たい扉を開けると、そこにはカウンターだけのウィスキーバーがありました。


今宵、ウィスキーバーは、常連客によるパーティーをおこなっていました。ただし、このパーティー、他とちょっと違います。

あまり、皆、話さないのです。

バーカウンターには常連客の持ち寄ったボトルが並んでいました。客同士はときどき、会釈をして、グラスに静かにウィスキーを注ぐのでした。そして、旅人の観察によると、このバーでの静かな会話は、ウィスキーを飲んだ時の表情で成り立っていたのです。


そして旅人はすぐに理解しました。
ああ、他の人も旅人だったのだと。


その途端、旅人の耳には、にぎやかな話し声が聞こえてまいりました。


誰も知らない秘密の倉庫にボトルを数千本持っている人や、ウィスキーの歴史と共に歩んできた人や、ハンターのような人、それらの人を眺める人や、旅を始めようか悩んでいる人など、さまざまな旅のストーリーが、そこでは酌み交わされていたのです。


旅人がおどろいたのは、旅人のことを旅人以上に知っている、他の旅人がいたことでした。


じつは、旅人はときどき、大きな新聞に、小さな寄稿をしていたのです。

その分厚い新聞には、毎日、多くの情報が掲載されていて、1日かけてもその日の記事を全て読むことはできないぐらいでした。

だれが読むかどうかもわからない小さなスペースに、旅人は、旅とバーとウィスキーについて、数行の文章を綴っていました。

そして、どこから聞いたのか、別の旅人は、旅人のその小さな文章のことをよく知っていたのでした。


旅人は不思議に思って尋ねました。

「なぜ読んでくださっているのですか?」


すると別の旅人はこう答えました。

「じぶんの旅路と重ねているんです」



その晩、ウィスキーを好きな者にとってにぎやかに感じるそのバーでは、皆が笑顔でもう一杯を求め、何度も乾杯が繰り返されました。



街には雪が静かに降り積もっています。
道や看板や屋根にやわらかな雪が乗り、空には琥珀色の月が浮かんでいました。



おしまい









レビュー:ヘーゼルバーン バローロカスク 2007 9yo キャラメリゼした・・・

Hazelburn Barolo Cask Matured 2007 9yo(ヘーゼルバーン バローロ樽熟成 2007年蒸留 9年熟成)を飲んだ。85点。
ヘーゼルバーンといえば、ジャパニーズウィスキーの祖、竹鶴正孝が修行していた蒸留所の名前だ。現在はその蒸留所は閉じていて、スプリングバンク蒸留所がリリースするブランド名のひとつとなっている。当時の3回蒸留を再現しているようだ(多くのスコッチ・ウィスキーは2回蒸留)。

さて、どんな香味だろうか。

ヘーゼルバーン 2007 バローロ樽 9年熟成

【評価】
グラスから立ち上る香りは、キャラメリゼしたアーモンド。砂糖まみれ。黒砂糖のニュアンス。ディジュリドゥの音色。
口に含めば、アーモンドのケーキ。カリカリの表面。ねっとり柔らかなクリーム。少しのカカオ。
デザートにどうぞ。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄: Hazelburn (ヘーゼルバーン)
地域:Campbeltown(キャンベルタウン)
樽: Barolo Cask, バローロワイン樽
ボトル:DistirallyDistillery Bottle, オフィシャルボトル



10,800本ボトリングされているようなので比較的お目にかかりやすいかも

キャラメリゼしたアーモンド

デザートにどうぞ