レビュー:ダルモア シガーモルト 葉巻とのマリアージュ

DALMORE CIGAR MALT(ダルモア シガーモルト)を飲んだ。56点。
ブレンダーはリチャード・パターソン。
シガー(葉巻)とご一緒にどうぞ、的なウィスキーだ。今回はたまたまパルタガスという種類の小さな葉巻(シガリロという)を吸っていたので、こちらとマリアージュ。

パルタガスとダルモア シガーモルトを合わせる(マリアージュ)

【評価】
グラスに鼻を近づければ、甘くふくよかで深みがある。そしてスパイシー。落ち着いた木の香り。今、まさに絞った果汁。
口に含めば、ゆっくり入ってきて、おお、スモーキー!深くシェリー樽に沈み込むかのよう。ピートというより葉巻のそれに近い。
葉巻好きにはお勧めできるが、一般的でない、そこが良いウィスキー。

(リチャード・パターソンの趣味的なウィスキーだ)

【Kawasaki Point】
56point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:DALMORE CIGAR MALT(ダルモア シガーモルト)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Bourbon オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


この鹿のマークは、かつてダルモア蒸留所を所有していた一族の家紋に由来しているそうな

ここにも鹿






おお、スモーキー!

鹿のハンティングで有名なダルモア蒸留所の地域をマップで確かめて。
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レビュー:バルベニー 15年熟成 シングル・バレル 端正な顔をした青年のような

BALVENIE 15yo SINGLE BARREL(バルベニー 15年熟成 シングル・バレル)を飲んだ。86点。
「シングル・バレル」なので、バレル(樽)から取り出したままのウィスキーだ。
(参考:ウィスキーの「シングルカスク」とは何か?

ザ・バルベニー15年熟成
【評価】
グラスから立ち上る、酸味の鮮やかなリンゴ酢、風に揺れる麦、白い雲が空に浮かんで、夏の風に流されている。樽のスパイスが散りばめられている。
口に含めば、鋭く尖った主張、リンゴの蜜、華やかなスパイスが、長く余韻として続く。
爽やかで、甘酸っぱくて、尖った主張もあって、これはまるで闊達で端正な顔をした青年のようなウィスキー。

【Kawasaki Point】
86point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:BALVENIE 15yo SINGLE BARREL(バルベニー 15年熟成 シングル・バレル)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Bourbon オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル




このボトルは樽ナンバー3574のもの



爽やかで、甘酸っぱくて、尖った主張もあって

バルベニー蒸留所はグレンフィディック蒸留所と同じ敷地。

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レビュー:カリラ22年 ケイデンヘッド 石の寡黙さ

WILLIAM CADENHEADのCAOL ILA 22yo(ウィリアム・ケイデンヘッドのカリラ22年熟成)を飲んだ。87点。
ケイデンヘッドは老舗のボトラー。

アイラ島のカリラ、どのような表情を見せてくれるのか。

【評価】
グラスから立ち上る香りは、雨上がりのウッドデッキ、線香と灰。灰の向こうに複数の果物。ライトアップされた橋。暗闇の中で最低限のラインが浮かび上がっていて、海からの潮風が髪をそよぐ。
口に含んだ印象は、冷たい御影石の上に手をおいて、果物を眺めながら葉巻に火をつけようとしている。木の椅子に座っている。
フルーティな余韻を残しながら、石のような寡黙さ。花のようであり、石のようであるウィスキー。

【Kawasaki Point】
87point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄: CAOL ILA 22yo(カリラ22年熟成)
地域:Islay (アイラ)
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:WILLIAM CADENHEAD, ウィリアム・ケイデンヘッド

長熟(22年)のカリラはどこかフルーティ
ライトアップされた夜の橋のような、潮風を感じる香り
フルーティな余韻を残しながらも、
石のような寡黙さも持っている

カリラ蒸留所は海峡に位置している。「Caol Ila」とはゲール語で「アイラ海峡」のこと。

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レビュー:バランタイン12年 特級 オールドゴージャスの深み

Ballantine's 12yo '70~80 (バランタイン12年熟成 特級表示)を飲んだ。89点。
おそらく70~80年代のボトルだろう、今回未開封のこのボトルを開けることにした。
かなり個性的で、キャップの部分がゴージャスなのだ。

特級表示のBallantine's12yo オールドゴージャス


【評価】
グラスから立ち上るのは、ミツバチの飛ぶ花畑。香りは生きている。木の板に擦り付けたハチミツ。リンゴ。おだやかで、とげのない酸味。
口に含めば、木の苦味を感じながらゆっくりと物語が始まる。暑い夏の日、秋の紅葉、落ち葉を踏みしめる、冬の窓辺、春の日の午後。モルトとグレーンの融合。オールドボトルだからこんなに融合しているのか、はたまた以前のバランタインはこうであったのか。
四季の思いをめぐらすに値する、その深みを湛えたウィスキー。

現行のバランタインは輪郭がハッキリしているが、このボトルは輪郭が曖昧だ。しかし香味の主張は決して曖昧でなく、バランスを保っている。

【Kawasaki Point】
89point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Ballantine's 12yo '70~80 (バランタイン12年熟成 特級表示)
地域:Islands, Highland, アイランズ、ハイランド など
樽:Oak, オーク
ボトル:Blended, ブレンデッド

この佇まい

オールドゴージャスなキャップ

印象的な「12」のフォント

中は空洞のようだ

VERY OLD SCOTCH WHISKY

ジョージ・バランタイン&サン

ノスタルジックな「ウイスキー特級」表示

ゆっくりと傾けていくと・・・

トクトクトク・・・

キャップの中にウィスキーが入り、倒立する。


キャップの仕掛けはこうなっていた
このプラスチックの芯のおかげで、
コルクがボロボロにならず、保存状態は極めてよかった。

ミツバチの飛ぶ花畑。香りは生きている。

思いをめぐらすに値する、その深みを湛えたウィスキー


レビュー:余市15年 目覚めをもたらす

余市15年熟成(Yoichi 15yo)を飲んだ。89点。

シングルモルト余市15年熟成


【評価】
目を閉じ、グラスから立ち上る香りをかげば、、白い花に鼻を近づけている、ふっと顔を上げて見れば、同じ白い花が群生している。うっすらとハチミツが香り、スパイスが軽やかに調和する。木の板に耳をくっつけて、その歴史を聞いているかのよう。
ウィスキーを口に含めば、素晴らしい勢いで、群生する花々、スパイスの数々が通り過ぎる。鮮やかなスパイスの残像に、ほのかにリンゴが香る。
うっとりさせない、目覚めをもたらすウィスキー。

【Kawasaki Point】
89point

【基本データ】
銘柄:余市15年熟成(Yoichi 15yo)
地域:余市、北海道、Yoichi, Hokkaido
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

15yo

少し色あせた演出

素晴らしい勢いで、群生する花々、スパイスの数々が通り過ぎる

うっとりさせない、目覚めをもたらすウィスキー

余市蒸留所は海の近くにある。ズームアップして場所を確かめてみて。

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レビュー:余市12年 時間をかけて愉しむ

余市12年熟成(Yoichi 12yo)を飲んだ。83点。

シングルモルト、余市12年

【評価】
グラスに鼻を近づければ、すっきりとした樽の香り、スパイシー、潮、少しだけ焦がした麦。
冬の土の香り。奥深い。湿布。
口に含めば、温かく、燃えるようなアルコール、焦がした麦、あと一歩でもっと奥深い。
ライトさもあるが、ゆっくりと温かさを残す。
時間をかけて愉しむタイプのウィスキー。

【Kawasaki Point】
83point

【基本データ】
銘柄:余市12年熟成(Yoichi 12yo)
地域:余市、北海道、Yoichi, Hokkaido
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ジャパニーズウィスキーは大体墨字、余市も例外でない

すっきりとした樽の香り、スパイシー、潮、少しだけ焦がした麦。

ライトさもあるが、ゆっくりと温かさを残す

北海道は余市蒸留所の場所を、地図の「+」ボタンを押して確かめてみて。

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