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レビュー:厚岸2018 New born bourbon barrel 重く決まる左ストレート

厚岸 Single Malt Spirit 2018 Bourbon Barrel Non Peated(AKKESHI 2018 New born )を飲んだ。88点。

ニューボーンのウィスキーは、なぜこうワクワクするのだろうか。それが日本国内の生まれたばかりの蒸留所であればなおさらだ。厚岸(あっけし)蒸留所は、北海道の東、通称・道東(どうとう)と呼ばれる地域にある。(北海道はとても広い土地なので、本州の感覚で「同じ都道府県内」という感じではない。例えば札幌から厚岸までは車で5時間、350km。実に東京から名古屋までの距離に匹敵する!)
美しい自然と大きな海。牡蠣と湿原。長閑(のどか)な場所でのウィスキーづくり。ロマンティックだ。

同時に、怖くもある。ほかのウィスキーと同様に、フラットに接したいとも思う。だが表面的にどんなに否定しても、期待をして、そしてガッカリするのが怖くもある。

しかしそんなことを思っても思わなくても、グラスを手に取れば、香りが漂い、思考するより速いスピードで嗅覚は反応して、印象は決まってしまう。

さあ、グラスを手に取ってみよう。

厚岸シングルモルトスピリット 2018

【評価】
グラスから立ち上る香りは、堅い木の皮を装ったチョコレート。シュガーパウダーが、雪を表現しているのか。本物と見紛うパティシエの仕事。
口に含むと、熱いブランデーの焔が上がる。まるで若いボクサーのような真っ直ぐな眼差し。
重く決まる左ストレート。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄: 厚岸 Single Malt Spirit 2018 Non Peated(AKKESHI Single Malt Spirit 2018)
地域:北海道(Hokkaido)
樽: Bourbon(バーボン)
ボトル:Distillery Bottle (オフィシャル)

厚岸という地名はアイヌ語で「オヒョウニレの樹皮をはがすところ」

2018年1月にボトリング

まだフレッシュなシングルモルトは60度である

ノンピーティッド




レビュー:ザ・ラッキーキャット サン 猫のウィスキー

The Lucky Cat "Sun" by Mars(マルスウィスキーのザ・ラッキーキャット サン)を飲んだ。86点。
マルスウィスキーから、変わったラベルの一本。写真の猫は、オーナーの愛猫だそうだ。これなら、ウィスキーファンと、猫ファンの両方にアピールできるだろう。
中身は、モルト原酒の熟成の仕上げに、ポートとマディラ、ふたつの酒精強化ワインの樽で熟成させたもの。

どのような香味をみせてくれるのだろうか。

ザ・ラッキーキャット “サン”

【評価】
グラスを傾け、鼻に近づけそっと息を吸う。赤いクレヨン。土、ポピー。深い陶酔。
口に含んで転がす。絨毯の上で伸びをする猫。やわらかく、なめらか。しなやかなあくび。
野味溢れる、ゆったりとした一杯。

【Kawasaki Point】
86point

【基本データ】
銘柄:The Lucky Cat Sun(ザ・ラッキーキャット サン)
地域:信州、Shinshu
樽:Oak, Port Wine,  Madeira Wine, オーク、ポート、マデイラ
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


オーナーの愛猫。なかなかの美猫である。

説明ノート

深い陶酔。やわらかく、なめらか。









レビュー:ASAMA(軽井沢) 2000 12年 けだるい午後を・・・

ASAMA(軽井沢) 1999/2000 12年熟成(ASAMA by Karuizawa 1999/2000 12yo)を飲んだ。89点。
軽井沢蒸溜所といえば、2000年に蒸留を終え、2012年に完全閉鎖した蒸溜所だ。蔦(ツタ)で覆われた蔵で原酒を熟成していた、なんとも情緒ある蒸溜所であったらしい。
このボトルは最後の蒸留年2000年と、その前年の1999年の原酒を用いていて、英国に本拠地を置くナンバーワンドリンクスというボトラーがリリースしたもの。需要と供給の関係はいつも皮肉なもので、閉鎖した蒸溜所の「もう手に入らない」ウィスキーほど、高価になるようだ。

さて、このウィスキーの由来も市場での価値も横において、目を閉じてただ味わってみよう。

ASAMA 50.5 軽井沢蒸溜所

【評価】
グラスを傾け、鼻に近づける。甘美で、薄く切ったオレンジピールを乗っけた生チョコような上品さ。洋々と、滔々と溢れ出る豊かな樽の香り。
口に含めば、完熟のオレンジの皮をつねったときに少しだけ散る果汁と、ダークチョコ。
籐のゆれる椅子にすわって、けだるい午後を過ごそう。

【Kawasaki Point】
89point

【基本データ】
銘柄:ASAMA(軽井沢) 1999/2000 12年熟成(ASAMA by Karuizawa 1999/2000 12yo)
地域:Japan, 日本
樽:Oak, Sherry, オーク、Sherry
ボトル:Number One Drinks ナンバーワンドリンクス

日本のウィスキーをヨーロッパに紹介するNumber One Drinks 「一番」のロゴ

浅間山のシエルエット、軽井沢蒸溜所


甘美で、薄く切ったオレンジピールを乗っけた生チョコ

滔々と溢れ出る豊かな樽の香り

籐のゆれる椅子にすわって、けだるい午後を過ごそう





レビュー:響 12年 小川を流れる桜の・・・

響12年熟成(Hibiki 12yo)を飲んだ。76点。

「響(ひびき)」といえば、日本を代表するブレンデッド・ウィスキーの銘柄だ。2009年に発売された12年がそのディフュージョンラインとしての役割も担っていたが、今年あらたに年数表記のない「JAPANESE HARMONY」がリリースされ、ポジションをより明確にしている。このリリースに伴い、12年には終売の噂がある。

昨今のウィスキーブームの原酒不足により、各社がラインナップの再編をおこなっている今、新たに生まれるウィスキーもあれば、去っていくウィスキーもあるようだ。

さて、響12年はどのような香味だろうか。


【評価】
グラスを傾け、そっと鼻から息を吸い込む。草とさくらんぼ。野焼き。小川を流れる桜の花びら。うぐいす。
口に含めば、しっとりと熱い。炎を見つめる。舟を漕ぐ。通奏低音としての千歳飴のような甘み。
苦みと渋みと甘みが入り混じる。

【Kawasaki Point】
76point

【基本データ】
銘柄:響12年熟成(Hibiki 12yo)
地域:Japan, 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ボトルキャップも『響』

これ以外にはない特徴的なボトル

ブランドにかける意気込みが伝わるエチケット

24面カットのボトル

小川を流れる桜の花びら

通奏低音としての千歳飴のような甘み







レビュー:ニッカ シングル・モルト・ウィスキー 23年 余市の行く末・・・

NIKKA SINGLE MALT WHISKY 23 YEARS OLD by Yoichi(ニッカ シングル・モルト・ウィスキー 23年熟成 余市蒸溜所)を飲んだ。88点。
このボトルは非売品で、中身は余市蒸溜所のもの。

“余市”といえば、原酒不足を理由として「余市」ブランドの刷新が図られるようだ。余市に限った話ではなく、世界的にNA(ノン・エイジ=熟成年数表記のない)ウィスキーが増加している。需要が供給を上回れば起こる現象のひとつだが、ファンは寂しい思いをするだろう。

NIKKA SINGLE MALT WHISKY 23yo

【評価】
グラスから立ち上る香りをかぐ。甘く香る潮騒。濡れた砂を踏みしめる。重厚な木のテーブル。厳しい冬を乗り越えた木立。少しふくよかで甘い。
グラスを傾け、口に含む。スイカのような清涼感。生木のやわらかさ。砂に染み込む。汗をかいた夏の夜に冷めやらぬ興奮。
濃密で強いウィスキー。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄:NIKKA SINGLE MALT WHISKY 23 YEARS OLD by Yoichi(ニッカ シングル・モルト・ウィスキー 23年熟成 余市蒸溜所)
地域:Yoichi, 余市町
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

NIKKA WHISKYの歴史は余市蒸溜所から始まった

甘く香る潮騒

これと同じボトルが旧竹鶴邸にも展示されていた

スイカのような清涼感

竹鶴政孝は余市ブランドの行く末をどのように見守るだろう








レビュー:響17年 工芸品のようでありながらも・・・

響17年熟成(Hibiki 17yo)を飲んだ。93点。
「響」は、ジャパニーズを代表するブレンデッド・ウィスキーのブランドのひとつだろう。
17年はどのような香味だろうか。

響17年

【評価】
グラスを軽く揺らせば、むせる程の春の香り。花々の美しい畑。ミツバチが飛び、蜜を集めるのに必死。天気が良い。ふかふかのベッドでここちよく昼寝。奥行きのある香り。
グラスを少し上げて、ウィスキーを口に含んでみる。香りそのままの世界観に飛び込む。キャンバス地のスニーカーで歩き回ろう。心地よく感じるリズムは、華やかな香りのリフレインが生み出している。しっかりとした重みが与えられているせいで、余韻は長く続く。
工芸品のようでありながらも、さりげなく、自然を感じるウィスキー。

【Kawasaki Point】
93point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:響17年熟成(Hibiki 17yo)
地域:Japan 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ボトルキャップにも「響」の書が刻印されている

カクカクしたボトル。24面。

ジャパニーズを強く意識したラベルは和紙。

花々の美しい畑。ミツバチが飛び・・・

ロックスタイルでも。(香り生きている)

工芸品のようでありながらも、さりげなく自然を感じる





レビュー:初号スーパーニッカ 復刻版 なめらかだが炎・・・

初号スーパーニッカ 復刻版(1st SUPER NIKKA WHISKY reprinted edition)を飲んだ。86点。

ボトルはもちろん手吹きのクリスタル・・・とまではいかないが、ニッカウィスキーがNNKドラマ『マッサン』ブームに応えていくつかリリースしている「復刻版」シリーズのひとつ。
日本にウィスキーをもたらした男、竹鶴政孝の足跡をたどる旅のようなものだ。この復刻版は毎度、当時の原酒を元にしていると聞くがその入手は容易くはないはずだ。そして、苦労して手に入れた原酒をおそらくほぼそのまま再現しているのではないかと思う。このウィスキーを味わって、当時のウィスキーを偲ぶことは可能だろう。

さて、少しタイムスリップした気分でどのような香味か味わってみよう。

初号スーパーニッカ復刻版
【評価】
グラスを揺らせば、甘い中の麦の主張。麦は少し焦げたのだろうか。平均律クラヴィーアのように滔々と溢れ出る。
口に含む。しっとり溶けて飲みやすい。強目の乳酸を感じる。日に焼けた本のページをめくる。
なめらかだが炎を感じる。

【Kawasaki Point】
86point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:初号スーパーニッカ 復刻版(1st SUPER NIKKA WHISKY reprinted edition)
地域:Japan 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

狛犬の向かい合うエンブレム

初号スーパーニッカ
思わずマッサンとリタの物語が浮かぶ

グラスはちょっと遊び心で

撫で肩のボトル

RARE OLD

ドウカウィスキーのロゴも良く出来ている

なめらかだが炎を感じる







レビュー:余市 1994 20年 SMWS 116.19 あまく弾ける・・・

余市 1994 20年熟成 Scotch Malt Whisky Society 116.19(Yoichi 1194 20yo SMWS 116.19)を飲んだ。89点。
SMWSは世界最大のウィスキー愛好家団体だ。世界の蒸溜所にはコード(No.)が付けられており、日本の北海道の余市蒸溜所は116番だ。これは、ウィスキー界隈では結構名誉なことで、2002年当時、余市蒸溜所がSMWSに「英国以外の蒸溜所で初の認定を受けた」ことは「快挙」と報じられたほどだ。
さて、SMWSから116番目の余市のボトルがリリースされるのはこれで19番目(だからコードは116.19となる)。今回のボトルは、どのような香味だろうか。

ソサエティの余市1994 20年熟成

【評価】
その香りは、スパイスの中にきらめく若さがある。新緑の香り。夜のくぬぎ。夜行性の虫や鳥の声。
ひとたび口に含めば、あまく弾けるパッション。カーマイン。酔いしれていたい。夜の潮騒。
ほかになにもいらない。

【Kawasaki Point】
89point

【基本データ】
銘柄:余市1994 20年熟成(Yoichi 1994 20yo)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:Scotch Malt Whisky Society, スコッチモルトウィスキーソサエティ

スコットランドのリースに本部を置くソサエティ

シンプルなボトルデザインは毎度おなじみ

116=余市、19=19番目のリリース。テイスティングノートを添えて。

ヴァージンオーク=新樽。余市の新樽は個性的だ。

新緑の香り。夜のくぬぎ。

夜行性の虫や鳥の声。

ほかになにもいらない。