レビュー:ブナハーブン 20年 ベリーブロス コントラバスの低音のような

BERRY BROs & RUDD の BUNNAHABHAIN 1991 20yo(ベリーブラザーズ&ラッドのブナハーブン 20年熟成)を飲んだ。88点。
ベリーブロス、通称BBRというボトラーズのボトルだ。(ボトラーズが何かということについてはこの記事を参考にしてほしい)

BBRのブナハーブン1991年蒸留の20年熟成


【評価】
グラスから立ち上る香りは、切り株の上におかれた花が風に揺れている。近くで焚き木をしていて、熱い灰の上にグレープフルーツジュースを数滴こぼす。森の向こうに海があるのだろう、波の音がする。
口に含めば、甘くい熱い煙を出しながら舌の上で溶けていく。うまみの背後に苦味を湛えながら、コントラバスの低音のバランスを聴かせる。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄: BUNNAHABHAIN 1991 20yo(ブナハーブン 1991 20年熟成)
地域:Islay (アイラ)
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:BERRY BROs & RUDD, ベリーブラザーズ&ラッド

17世紀に設立されたベリーブラザーズ&ラッドのお届けする・・・

ネック

切り株の上におかれた花が風に揺れている

うまみの背後に苦味を湛えながら、コントラバスの低音のバランスを聴かせる


Google Mapにも名前が載ってないブナハーブン蒸留所はここ。四角い建物が複数並んでいる。
ブナハーブンベイはジュラ海峡をはさんで、ジュラ島に臨んでいる。

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レビュー:オールド グランドダッド 86 味わいの安定感

OLD GRAND DAD 86(オールド グランダッド86) を飲んだ。58点。
オールド・グランダッドは、アメリカのバーボンウィスキー。86というのはアルコールプルーフのことで、度数表示でいえば43度のこと。

1882年操業 オールド・グランダッド86


【評価】
グラスに鼻を近づければ、ふくよかな甘みと消毒液、笹の葉、焦がした木。
口に含めば、醤油みたいに染み出る木の旨み。硬い石の階段を上るような。堅牢さ、安定感がありつつ、鼻から抜けるわずかな清涼感。
香りというより、味わいの幅が広く、口の中で展開していくウィスキー。香りの展開はいまひとつである。

【Kawasaki Point】
58point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:OLD GRAND DAD 86(オールド グランダッド86)
地域:America, アメリカ
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

オールドグランダッドのボトルキャップ

Head Of The Bourbon Family

なで肩のボトル

グランドダッド(おじいちゃん)の肖像

ふくよかな甘みと消毒液、笹の葉、焦がした木

香りというより、味わいの幅が広く、口の中で展開していくウィスキー

オールドグランドダッドロードはこちら!ズームしていくとわかりますが、アメリカは広い!

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レビュー:ホワイト&マッカイ 30年 スパイスを乗せた上品

WHYTE & MACKAY 30yo(ホワイト&マッカイ 30年熟成)を飲んだ。86点。
ラベルのダブルライオンが目を引く、有名なブレンデッド・ウィスキーだ。

黒いボトルに金のWライオン。ホワイトマッカイ30年のボトル

このウィスキーは「ダブルマリッジ」製法を採用(モルトウィスキー同士をブレンドした後、樽で寝かせ、さらにグレーンウィスキーをブレンドし、もう一度寝かせる)。ブレンドした後に樽で寝かせるほど、調和が取れていくイメージだろうか。
(ブレンデッドとは何かについてはこちらを参照

さてはて、その香味は?


【評価】
グラスから立ち上るのは、甘く、樽の香りが深く、レモンなどの柑橘の苦味をわずかに感じるが、スパイシー。ごうごうと落ちる滝のような堂々たる清涼感もある。
口に含めば、甘く熱く入ってくるが、樽の木とスパイシーが軽妙に上がってくる。余韻として穀物の焦がし感。
ふくよかなグレーン(穀物)の飲みやすさに、スパイスを乗せた、上品なウィスキー。

【Kawasaki Point】
86point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:WHYTE & MACKAY 30yo(ホワイト&マッカイ 30年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Sherry, オーク、シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

光るWライオン

ライオンと年数だけのシンプルなラベル




ダブルライオンのバッジ

裏返せばWHYTE&MACKAY

グラスゴー

口に含めば、甘く熱く入ってくるが、樽の木とスパイシーが軽妙に上がってくる





甘く、樽の香りが深く、レモンなどの柑橘の苦味をわずかに感じる





レビュー:カナディアンクラブ 6年熟成 序章のウィスキー

Canadian Club 6yo(カナディアンクラブ 6年熟成)を飲んだ。78点。
カナディアンクラブの通称は「C.C.」(シー・シー)だ。ウィスキー好きの間では、CCといえばレモンでもなく、ガールでもなく、カナディアンクラブだ。(たぶん大抵のバーで通用する略称)

さてはてその香味は。



【評価】
グラスに鼻を近づければ、甘いシロップ。木の蜜。強い麦の香り。木にアルコールを染み込ませたような。
口に含めば、軽く入ってきて、木の渋み。まろやかさを口の中で転がすが、うまみよりアルコールを強く感じる。まだ調和が足りない。
カナディアンクラブ12年への序章といったところ。

【Kawasaki Point】
78point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Canadian Club 6yo(カナディアンクラブ 6年熟成)
地域:Canada カナダ
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ラベルの筆記体が美しい

紋章。創設者のハイラム・ウォーカーの「W」かな。

C.C.の愛称で親しまれる

甘いシロップ。木の蜜。強い麦の香り。

カナディアンクラブ12年への序章

創設者のウォーカーは、ウィスキーのためにデトロイトの対岸に街をつくった。すごい熱の入れよう。

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レビュー:オールド・パー12年 特級表示 雨上がりの焚き木

Old Parr 12yo '80s(オールド・パー 12年熟成 特級表示)を飲んだ。83点。
特級表示のあるウィスキーは1962~1989年に発売されたウィスキーだ。今回のボトルは恐らく80年代のものだろう。(尚、写真だけだがそれよりもっと古いボトルもついでに掲載。一番下)

特級表示のOld Parr De Luxe!


オールド・パーは日本でかなり出回っていたウィスキーで、人気もあったため、オールドボトルに出会う確率は割りと高いような気がする。
現行のオールド・パーと味は違うのか?といえば、違う。
ブレンドの比率が変化しているだろうし、原酒自体の味も時代とともに変化しているのだろう。現行のオールド・パーはよりスモーキーだ。時代がスモーキーな酒を欲しがっているのかもしれない。


【評価】
グラスから立ち上るのは、練乳の甘さ、麦ジュース、若葉を出した木の香り、四月の森、粘土や鉄分の多い土。倒れた木の上に腰掛ける。近くには湧き水。
口に含めば、淡くて爽やかなリンゴ水。雨上がりの焚き木。ほのかに燻した香り。少しだけオイリー。森を描いた油絵。

【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Old Parr 12yo(オールドパー 12年熟成)
地域:Highland, ハイランド など
樽:Oak, オーク
ボトル:Blended, ブレンデッド

年季の入ったボトル

特級表示。1989年の酒税法改正以前のもの。


現行ボトルの絵は鉛筆画チックだが、これはインク画チック。


今は存在しない「オールドパー株式会社」

ボトル表面のデザインは現行と変わらない

若葉を出した木の香り、四月の森、粘土や鉄分の多い土

口に含めば、淡くて爽やかなリンゴ水。雨上がりの焚き木。

別のオールドボトル。斜めにも立つ。

かなり古いオールドパーのボトル。




レビュー:オールドパー 12年 スコッチ博物館みたいな・・・

Old Parr 12yo(オールドパー 12年熟成)を飲んだ。83点。
日本人がはじめて口にしたブレンデッド・ウィスキーかもしれない。

日本での歴史も古いオールド・パー


このオールド・パーは、「語りたくなる酒」として有名だ。ウンチクをちょっと紹介。
  • オールド・パーは「パー爺さん」という意味
  • トーマス・パーという人は152歳まで生きた伝説のスコットランド人
  • 80歳で結婚し子供を授かり、105歳で不倫して教会で懺悔(ざんげ)、122歳で再婚
  • 伝説の生命力にあやかってメーカーがウィスキーに命名
  • キーモルトはクラガンモアである
  • ボトルがちょっと変わった形で、斜めにしても倒れない
  • 岩倉具視が持ち帰って明治天皇に献上した
  • 吉田茂が愛飲。それに憧れ田中角栄も愛飲。
パー爺さんのエピソードが本当かどうか?それは誰も気にしない。「伝説」にツッコむのは無粋なこと。


「伝説」を名前にしたウィスキー


【評価】
グラスから立ち上るのは、燻した煙、麦、夏草、土とハチミツ、白いリネンのテーブルクロスの上の木の蜀台とキャンドル。皿の上のブドウや青リンゴ。近くで暖炉の火。
口に含めば、軽やかなのに深い、ロウを擦り付けた木の香り。リンゴの皮に近い部分。
いろんな香りの要素が整理されて、綺麗にまとまった、まるでスコッチ博物館みたいなウィスキー。
主張というより、厚みや歴史を感じる。生きている、というより、生きてきた、という感じ。


【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Old Parr 12yo(オールドパー 12年熟成)
地域:Highland, ハイランド など
樽:Oak, オーク
ボトル:Blended, ブレンデッド

トーマス・パー爺さんは1483年生まれ、1635年没。


マクドナルド・グリンリース社

古い瓶の演出

斜めでも倒れないボトル

土とハチミツ、白いリネンのテーブルクロスの上の木の蜀台とキャンドル。

香りの要素が整理された、まるでスコッチ博物館