レビュー:ラフロイグ1998 8年 Whisky Fair 灰にレモン果汁が・・・

Laphroaig 1998 8yo Limburg Whisky Fair Artist Edition(ラフロイグ 1998 8年熟成 リンブルグウィスキーフェア アーティストエディション)を飲んだ。86点。
リンブルグ・ウィスキー・フェアといえば、ドイツの都市リンブルグで毎春に開催されるウィスキー好きの祭典で、さまざまなボトラーがウィスキーを持ち寄って展示&試飲&販売するという、いかにも愉しそうなお祭りだ。
このボトルはそのお祭りからリリースされた一本。

リンブルグ・ウィスキー・フェアからの一本

【評価】
グラスを傾け鼻を近づければ、灰のかかったレモン。熟した果肉が温められ、あたりに香りを放つ。灰の上にパラパラと塩をまいて。どこかお菓子のような柔らかさ。
口に含めば、灰にレモン果汁が染み込んで行くスピードで、口中に柔らかく激しい煙が広がる。イチゴのコンポート。
落ち着きのある情熱を秘めた一杯。

【Kawasaki Point】
86point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Laphroaig 1998 8yo(ラフロイグ 1998 8年熟成)
地域:Islay, アイラ
樽:Oak,  Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:Limburg Whisky Fair Artist Edition(リンブルグウィスキーフェア アーティストエディション)

Artist Edition Laphroaig 1998 8 years old

熟した果肉が温められ、あたりに香りを放つ

口中に柔らかく激しい煙が広がる


リンブルグはだいたいこのあたり。







レビュー:ボウモア スプリングタイド 甘くしびれを・・・

BOWMORE SPRINGTIDE(ボウモア スプリングタイド)を飲んだ。86点。
このスプリングタイドのように、タイトルの後に熟成年数の表記が続かないシングルモルトウィスキーが増えている。シングルモルトウィスキーは「タイトル n年熟成」といったように熟成年数を示すものが今でも大半なのだが、世界的な原酒不足で“年数くくり”では供給が難しくなってきたことや、そもそも熟成年数=香味の価値とは限らないことから、ブレンデッドウィスキーのように、「タイトルのみ」表記が増えている。
(参考:シングルモルトと、ブレンデッドウィスキーの違いとは?

これは良いことだろう。熟成年数が少ない原酒のみが持ちえる良さと、多い原酒のみが持ちえる良さを幅広く選択することにつながるからだ。画家が絵を描くときに、手元の絵具をぜんぶ好きなように使えるように、ウィスキーのブレンダーも原酒を自由に使える。年数という縛りから解放された新たなシングルモルトウィスキーが生まれることを期待できる。

さて、少々細かい話をしてしまったが、このボウモアの香味はどうだろうか?

ボウモア スプリングタイド

【評価】
グラスから立ち上るのは、初夏の土の香り。甘くしびれをもたらす危険な香り。和紙を幾重にもかさねた上の雛菓子。
口に含む。新聞紙を燃やした後のような情熱的な灰っぽさ。甘いスイカ。スッキリとしている。夏の夜の海岸の涼しさ。
そのまま顔を上げて、星座を探す旅に出る。夏の一夜を切り取ったウィスキー。

【Kawasaki Point】
86point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:BOWMORE SPRINGTIDE(ボウモア スプリングタイド)
地域:Islay, アイラ
樽:Oak,  Oloroso Sherry, オーク、オロロソシェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

初夏の土の香り。甘くしびれをもたらす危険な香り。

説明によれば、
太陽と月と地球が整列した大潮(スプリングタイド)のときに
蒸留した原酒を使用しているようだ。

ボトルキャップにはウィスキー好きが愛してやまないアイラ島が描かれている

ボウモア蒸溜所から「スプリングタイド」というタイトルで
リリースされた年数表記のないボトル

情熱的な灰っぽさ。甘いスイカ



ボウモア蒸溜所のウィスキーから海の香がするのはなぜか?それは、蒸溜所が海辺だから。





レビュー:ブラック&ホワイト 子供の頃に戻る夢を・・・

Black & White(ブラック&ホワイト)を飲んだ。85点。
ラベルに書かれた黒と白の犬が印象的なこのボトルは非常に安価で、1,000円台ウィスキーシリーズのひとつに数えられる。手に入りにくいウィスキーも素敵だが、手に入りやすいウィスキーも同じぐらい素敵だ。(尚、このブログでの評価には入手しやすさや価格は関係ない)
さて、このウィスキーはどのような香味だろうか。

ブラック&ホワイト

【評価】
グラスから立ち上る香りは、甘いチョコレートと、クリスマスケーキのキャンドルを目の前で溶かして。ほんの少し焦がした木の板。灰をまぶしたグレープフルーツ。
口に含めば、ふわふわの毛布に包まれたようなあたたかな感触を楽しむことができる。
安堵感があり、ベットの中で子供の頃に戻る夢を見るかのような。ファンタジックな一杯。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:Black & White(ブラック&ホワイト)
地域:Highland, ハイランド など
樽:Oak, オーク
ボトル:Blended, ブレンデッド


ボトルキャップにも描かれている犬たち

描かれている2匹の犬は、
ブラックスコッチ・テリア(左)と西ハイランドホワイトテリア(右)

クリスマスケーキのキャンドルを目の前で溶かして

ファンタジックな一杯






レビュー:グレンカダム1989 15年 シグナトリー 角度により表情を・・・

GLENCADAM 1989 15yo Signatory Vintage(グレンカダム 1989 15年熟成 シグナトリー社のビンテージシリーズ)を飲んだ。87点。
グレンカダムは少しマイナーだが、バランタインの原酒(バランタインの魔法の7柱のひとつ)としても知られている。今回は、1989年に蒸留され、シェリー樽で15年間熟成させたグレンカダム。果たして、その香味は。

グレンカダム1989 15年熟成

【評価】
グラスから立ち上る香りは、コンクリートと有機溶剤。クヌギの木。木の艶。重たいがきっちり組まれた木の家具。重厚さ、そして繊細さ。
口に含めば、しっとりとしながらも重い。桐のタンスの柔らかさよ。その黒い鉄で出来た金具の冷たさよ。
ゆったりと、角度により表情を変え、怪しく光るその金具よ。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:GLENCADAM 1989 15yo(グレンカダム 1989 15年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Sherry, オーク、シェリー
ボトル:Signatory, シグナトリー社

シグナトリー ヴィンテージシリーズ

578本のうちの304番めのボトル

ゆったりと、角度により表情を変え・・・




グレンカダムはゲール語で「灰色雁(ガチョウ)の谷」という意味。
蒸溜所の位置を地図で確かめてみて。





レビュー:ラフロイグ1994 11年 スリーリバーズ 好奇心を持って・・・

Laphroaig 1994 11yo Three Rivers(三河屋のラフロイグ1994 11年熟成)を飲んだ。86点。
およそバーでお目にかかるスコッチ、とりわけアイラ島のウィスキーでいえば、ラフロイグはもっともポピュラーなひとつで、激しく好き嫌いがわかれる銘柄だ。そして好きになった者には、多くのバリエーションを提供してくれる銘柄でもある。
さて、今夜のラフロイグはどのような香味だろうか。

ラフロイグ1994 11年熟成

【評価】
グラスから立ち上る香りは、古いマホガニー。使い込まれたパイプ。温かみのある煙。懐かしくなるような木の酸味。重厚なくたびれ。
口に含めば、おだやかな海に漂う小舟のように。潮の香り、ゆっくりと広がる。レモンチーズケーキの焼きたてのように。フレッシュなコクと穀物感。
古い大きな図鑑を紐解く気分。ゆっくりと慎重に、好奇心を持って。

【Kawasaki Point】
86point

【基本データ】
銘柄:Laphroaig 1994 11yo Three Rivers(三河屋のラフロイグ1994 11年熟成)
地域:Islay, アイラ島
樽: Bourbon, Oak, バーボン、オーク
ボトル:Three Rivers スリー・リバース


味のある美しい書体

三河屋のキャラクターのエプロンには「三」と。

潮の香り、ゆっくりと広がる

好奇心を持って

スコッチランドの西側の小さな島。そこでラフロイグは作られている。ぜひ地図でも確かめてほしい。