初心者にも分かりやすい:Bar(バー)はどんな場所? ~意外と気楽編~

このシリーズでは、初心者の方にも分かりやすく、さまざまなBar(バー)の魅力を紹介する。
今回は、『 意外と気楽 』編。実は気楽に愉しめるバーの魅力とは?


もともと単なる酒場

Bar(バー)というと、なんだかカタッ苦しいイメージがあって、すごくドレッシーな格好じゃなきゃダメとか、フォーマルじゃなきゃとか、しきたりとかルールとかマナーとかたくさんありそうとか、ついでにマスターは頑固じゃないか!?とか、「ああ、そんなにいろいろ覚えなきゃいけないんなら、別に行かないよ」と思われがちな場所だ。

そのイメージは、だいたい間違いか、極端だ。

バーはもともと単に「酒場」であって、酒場であるからには、気楽な場所である。
極端なイメージになりがちなBar(バー)というものを、改めて説明すると、
世界各地の酒を集めて、この酒が香りがいいとかどうだとか、この酒とこの果物を混ぜると美味いとか、色がキレイだとか、酒にまつわる楽しいことを毎夜繰り広げていて、効率よく酒を出すためにカウンターをこしらえて、会話の邪魔にならない音楽を流している場所

という感じになる。要は「酒好きの楽しい場所」っていうことだ。
これがBar(バー)の定義であって、特別な服装とか特別なマナーはない


服装の気楽さ

けれど、「どんな服装で行けばいい?すごく緊張する」と思われる方は意外と多い。
ほとんどのバーではジーパンにTシャツでOKな懐の深さ、ではあるが、これでも不安な人に一応の目安を示しておくと「デパートに行くぐらい」の格好でOKだ。

Tシャツでウィスキーを愉しむ著者。日本の夏は暑いのだから。

「近所はOKだけど、デパートは無理だな」というラインの格好は、ちょっと考えたほうがいいが、普通の格好でデパートに行くぐらいの感じでよい。デパートが分かりづらければ、ファッションビル、人目の多い場所、などで違和感がない格好であればOKだ。ホテルのバーであれば、「そのホテルのロビーで違和感がない格好」だったら大体大丈夫だ。

(だいたいイギリスのような階級社会でもない日本で、ドレスコードなどほとんど無意味だと私は思っている。また、ドレスコードを言うなら、バーボン飲むならジーンズでいいでしょとか、そういう話になる。スーツでバーボンなんてそれこそドレスコード違反になってしまう。あ、これは蛇足)

ちなみにバーテンダーの人は割りとシャキっとした格好の場合があるが、同じ系統で揃える必要はない。どうしても不安なら、男性なら最初は「襟付き」のシャツでも着ていればいい。さらに不安ならジャケットを羽織ってもいい。数回も行けば、服装がさほど重要でないことが分かるだろう。

※ごくごく稀に(1%未満の確率で)ドレスコードが存在するバーもある。大体入る前に雰囲気が違うので誰でもわかる。ひとまずは行かなければいい。99%のバーにドレスコードはない。

※とはいえ、タンクトップとビーチサンダルはラフすぎて大体どこでも嫌がられる。


酒の知識など必要ない気楽さ

「お酒の知識がほとんどなくて、ビールか酎ハイぐらいしか知らないから、本格的なバーには行きづらいな」という人も、気楽にいけるのがバーだ。バーテンダーは、お酒のインストラクターでもあるから、知識ゼロからバッチリサポートしてくれる。よいバーテンダーであるほど、あなたの知識レベルに合わせて話をしてくれるだろう。(といっても、質問攻めにしてはダメだし、完璧な知識を求めてもいけない)


結局「うまい」か「まずい」かの気楽さ

「お酒の味なんかよく分からない」という場合も、気にしなくていい。結局は「うまい」か「まずい」かの話だからだ。そして、酒のつくり手やバーテンダーは、どうにかしてあなたの「うまい」を引き出そうとしてくれている。
だから、気楽に飲んで、その感想を持てばよい。もちろんのこと、その感想に正解も不正解もないのだ。


こんなシチュエーションで気楽にいける

「どんなときにバーに行ったらいいの!?」と思われる方のために、ちょっと例を挙げてみよう。

  • 仕事帰りに同僚とふらっと
  • 仕事帰りにひとりで一杯
  • 食事をした後に少し落ち着きたくて寄ってみる
  • なんだかお酒が飲みたくなってドアを開ける
  • 人恋しくなって行ってみる
  • 独りになりたくて席に座る
  • お酒のことを知りたくなって行ってみる
  • デートでちょっとしっとり
  • 人と待ち合わせまでちょっと時間が空いたとき


もしあなたがバー初心者なら、上記の「特別な服装や特別なマナーはない、という気楽さ」を理解してほしい。それが基本だ。それでも、もっと知りたい、ということであれば、「バーの探し方」や、「注文の仕方」、「マナー」について書かれたこの記事が役に立つだろう。

ぜひ気楽に、Bar(バー)の世界を愉しんでほしい。



レビュー:山崎18年 完成された・・・

山崎18年(YAMAZAKI 18yo)を飲んだ。85点。
山崎はもちろん日本で一番有名なシングル・モルトだ。(参考ウィスキーのシングル・モルトとは何か?
さて、その香味はいかに?

山崎18年熟成


【評価】
グラスを傾け顔を近づければ、六月の森が香る。新緑と野草の花々。遠くで焚き木。早朝から昼前にかけての時の流れ。あるいは、夜のしじま。
口に含めば、香る、香る、香る。倒木の上で焚いたお香。完成されたパフューム。
完成されてはいるが、どこか心惹かれる前に心が離れてしまうウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:山崎18年(YAMAZAKI 18yo)
地域:山崎、大阪 YAMAZAKI, OSAKA
樽:OAK, MIZUNARA, オーク、ミズナラ
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ボトルキャップ部分のロゴマークは「響」がモチーフ


SUNTORY SINGLE MALT WHISKY

18年熟成の山崎

山崎の崎は、寿にも読める


香る、香る、香る。倒木の上で焚いたお香。

サントリーの山崎蒸留所はここ。日本初のウィスキー蒸留所なのだ。
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レビュー:モートラック1998 13年 ベリーブロス 質実な若さ

BERRY BROs & RUDD の MORTLACH 1998 13yo (ベリーブラザーズ&ラッドのモートラック1998 13年熟成)を飲んだ。87点。


BBRのモートラック1998 13年熟成


【評価】
グラスから立ち上るのは、スイートなスモーク、薄い木の板、柔らかな土の香り。ボート、ペンキの塗りたて、甘酸っぱい果汁。さわやかである。
口に含めば、熱くてジューシー、ひと夏の思い出。スイカ、パイナップル、イチジク。スパイシー。
質実な若さを感じるウィスキー。

【Kawasaki Point】
87point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄: MORTLACH 1998 13yoモートラック1998 13年熟成
地域:Highland, ハイランド
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:BERRY BROs & RUDD, ベリーブラザーズ&ラッド



熱くてジューシー、ひと夏の思い出

モートラックの蒸留所の位置を地図で確かめてみて。

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レビュー:ブルイックラディ ウェイヴス 潮風とピート

BRUICHLADDICH WAVES(ブルイックラディ ウェイヴス)を飲んだ。68点。
このウェイヴスは、ブレンダーのジム・マッキュワン氏が、「デザイナーズ・ウィスキー」と名づけ、世に放つシリーズ。ROCKS(ロックス)や、X4+3(エックス4 プラス3)は同じシリーズ。

ブルイックラディ ウェイブス

【評価】
グラスを傾けて顔を近づければ、潮とピートが激しく香るのに、優雅さもある。飛沫のように、潮が飛び散る。岩礁のニュアンス。
口に含めば、滑らかなテクスチャが舌全体を包み込むが、やわらかな潮風がピートを運ぶ。浅さは否めないが、エッジを感じる。
企画ものとしては筋が通った一本。

【Kawasaki Point】
68point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:BRUICHLADDICH WAVES(ブルイックラディ ウェイヴス)
地域:Islay, アイラ
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


ジム・マッキュワンのサイン

BとLのブルイックラディのロゴマーク

WAVES


滑らかなテクスチャが舌全体を包み込むが、
やわらかな潮風がピートを運ぶ。

のどかなブルイックラディ蒸留所の場所を、地図で確かめてみて。

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レビュー:シンジケート58/6 17年 大人の一杯

SYNDICATE 58/6 17yo(シンジケート 58/6 17年熟成)を飲んだ。86点。
素敵な物語のあるブレンデッドウィスキーだ。19[ 58 ]年、スコットランドの港町リースで、歯医者やら会計士やら、ウィスキー好きの[ 6 ]人の仲間であつまって「幻のブレンドレシピ」にたどり着くまで努力して生み出した酒。(だから名前に 58/6 とある)
しばらくは本当に6人の仲間(シンジケート)だけで愉しんでいたそうな。

ほとんどのブレンデッドウィスキーはモルト:グレーンの比率が30:70ぐらいだが、このシンジケートはモルトの方が多くて、65:35。(モルトとかグレーンって何?という方はこちらの記事を参照)

さてはて、どんな香味なのか?

ボトルの佇まいはエレガント。シンジケート58/6

【評価】
グラスを傾け、顔を近づければ、重厚な暗色の油絵具を広げたキャンバスの中に、明るい白と黄の絵具で光を描いたような世界観。丁寧に描かれた暗闇があるからこその光のまばゆさよ。いくつかの花の蜜をブレンドしたような香りでもある。どこまでもツンとした感じがなく、柔らかいが、しかし主張のある芯の通った香り。
いよいよ口に含めば、穏やかな海に浮かべた舟がゆれるように、押しては引く呼吸を感じる。マスカットの清涼感がほのかに香り、余韻は長く、デクレシェンドしていく。柔らかい、だが重厚。
まさに、大人の一杯。

【Kawasaki Point】
86point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:SYNDICATE 58/6 17yo(シンジケート 58/6 17年熟成)
地域:Highland etc.. , ハイランド等
樽:Oak, Bourbon オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ブルゴーニュワインのような、なで肩ボトル。

六人の仲間と奴らのスコッチ

17年以上の熟成原酒を使用し、
モルト:グレーンの比率が65:35のクラシックブレンドであることが
このシンジケートの最大の特徴だ。

最初はほんとうにわずかな人のためのスコッチだった

1958年、6人の仲間と・・・

いくつかの花の蜜をブレンドしたような香りでもある

まさに、大人の一杯。



レビュー:ダルモア シガーモルト 葉巻とのマリアージュ

DALMORE CIGAR MALT(ダルモア シガーモルト)を飲んだ。56点。
ブレンダーはリチャード・パターソン。
シガー(葉巻)とご一緒にどうぞ、的なウィスキーだ。今回はたまたまパルタガスという種類の小さな葉巻(シガリロという)を吸っていたので、こちらとマリアージュ。

パルタガスとダルモア シガーモルトを合わせる(マリアージュ)

【評価】
グラスに鼻を近づければ、甘くふくよかで深みがある。そしてスパイシー。落ち着いた木の香り。今、まさに絞った果汁。
口に含めば、ゆっくり入ってきて、おお、スモーキー!深くシェリー樽に沈み込むかのよう。ピートというより葉巻のそれに近い。
葉巻好きにはお勧めできるが、一般的でない、そこが良いウィスキー。

(リチャード・パターソンの趣味的なウィスキーだ)

【Kawasaki Point】
56point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:DALMORE CIGAR MALT(ダルモア シガーモルト)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Bourbon オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


この鹿のマークは、かつてダルモア蒸留所を所有していた一族の家紋に由来しているそうな

ここにも鹿






おお、スモーキー!

鹿のハンティングで有名なダルモア蒸留所の地域をマップで確かめて。
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