レビュー:グレンゴイン17年 ラストが爽快な映画のような・・・

GLENGOYNE 17yo(グレンゴイン17年熟成)を飲んだ。85点。

グレンゴイン17年熟成

【評価】
グラスから立ち上る香りは、爽やかな麦、シロップのような甘み、炒った麦。広がりすぎない香りの幅。
口に含めば、フラットな味わい、シェリー樽が香り、鼻に抜ける甘さの後のスパイシーな余韻。
ラストが爽快な映画のように、胸に残る余韻と、さわやかさの調和したウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:GLENGOYNE 17yo(グレンゴイン17年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Sherry オーク、シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

グレンゴイン蒸留所は1833年設立



オーク樽で最低17年以上の熟成

ラベルの反対側には紋章の刻印
美しいシェリー樽由来の色合いもわかる

ラストが爽快な映画のようなウィスキー

グレンゴイン蒸留所の動画。「世界でもっとも美しい蒸留所」と評されるのもわかる。



グレンゴイン蒸留所はハイランドとローランドのちょうど中間。
使っている川の水はハイランドのものなので、地域区分はハイランド、という感じ。

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レビュー:ボウモア1996 16年 モリソン&マッカイ 美しい世界観

Bowmore 1996 16yo MORRISON & MACKAY Seriese:WORLD WONDERS(モリソン&マッカイのワールド・ワンダーズ  ボウモア1996 16年熟成)を飲んだ。89点。

アルテミス神殿のラベル モリソン&マッカイの
ボウモア1996 16年熟成

ワールド・ワンダーズというシリーズは、「世界の7建造物」ということで、ラベルが古代ギリシャや古代ローマの建物になっている。このボウモアは、「TEMPLE OF DIANA AT EPHESUS」(エペソスのディアナ神殿)と書いてあり、一般的には「アルテミス神殿」と呼ばれている建造物だ。(古代ローマでの女神ディアナ=古代ギリシャでの女神アルテミス) ディアナは狩りや出産の女神で、今では分からないが、神殿はかなり壮麗なつくりだったようだ。

・・・などという歴史ロマンと、このボトルの中身のウィスキーがどう関係するかは、よく分からない。ウィスキーのラベルって、そういうことがよくある。

さてはて、その香味は?


【評価】
グラスから立ち上るのは、ピーチ、フレッシュなハニー、乾燥した木の枝、春の陽炎。繊細で、切ない。
口に含めば、丘の上から穏やかな大海の地平を見つめる開放感。木、桃、潮の見事なバランス。
美しい世界観をもったウィスキー。

【Kawasaki Point】
89point

【基本データ】
銘柄: Bowmore 1996 16yo(ボウモア1996 16年熟成)
地域:Islay (アイラ)
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:MORRISON & MACKAY, モリソン&マッカイ



ピーチ、フレッシュなハニー、乾燥した木の枝

木、桃、潮の見事なバランス

美しい世界観をもったウィスキー


ラベルとなっているディアナ(アルテミス)神殿のあったとされる場所はこちら。ギリシャの向かい側、今のトルコの西側だ。

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初心者にも分かりやすい:Bar(バー)はどんな場所? ~意外と気楽編~

このシリーズでは、初心者の方にも分かりやすく、さまざまなBar(バー)の魅力を紹介する。
今回は、『 意外と気楽 』編。実は気楽に愉しめるバーの魅力とは?


もともと単なる酒場

Bar(バー)というと、なんだかカタッ苦しいイメージがあって、すごくドレッシーな格好じゃなきゃダメとか、フォーマルじゃなきゃとか、しきたりとかルールとかマナーとかたくさんありそうとか、ついでにマスターは頑固じゃないか!?とか、「ああ、そんなにいろいろ覚えなきゃいけないんなら、別に行かないよ」と思われがちな場所だ。

そのイメージは、だいたい間違いか、極端だ。

バーはもともと単に「酒場」であって、酒場であるからには、気楽な場所である。
極端なイメージになりがちなBar(バー)というものを、改めて説明すると、
世界各地の酒を集めて、この酒が香りがいいとかどうだとか、この酒とこの果物を混ぜると美味いとか、色がキレイだとか、酒にまつわる楽しいことを毎夜繰り広げていて、効率よく酒を出すためにカウンターをこしらえて、会話の邪魔にならない音楽を流している場所

という感じになる。要は「酒好きの楽しい場所」っていうことだ。
これがBar(バー)の定義であって、特別な服装とか特別なマナーはない


服装の気楽さ

けれど、「どんな服装で行けばいい?すごく緊張する」と思われる方は意外と多い。
ほとんどのバーではジーパンにTシャツでOKな懐の深さ、ではあるが、これでも不安な人に一応の目安を示しておくと「デパートに行くぐらい」の格好でOKだ。

Tシャツでウィスキーを愉しむ著者。日本の夏は暑いのだから。

「近所はOKだけど、デパートは無理だな」というラインの格好は、ちょっと考えたほうがいいが、普通の格好でデパートに行くぐらいの感じでよい。デパートが分かりづらければ、ファッションビル、人目の多い場所、などで違和感がない格好であればOKだ。ホテルのバーであれば、「そのホテルのロビーで違和感がない格好」だったら大体大丈夫だ。

(だいたいイギリスのような階級社会でもない日本で、ドレスコードなどほとんど無意味だと私は思っている。また、ドレスコードを言うなら、バーボン飲むならジーンズでいいでしょとか、そういう話になる。スーツでバーボンなんてそれこそドレスコード違反になってしまう。あ、これは蛇足)

ちなみにバーテンダーの人は割りとシャキっとした格好の場合があるが、同じ系統で揃える必要はない。どうしても不安なら、男性なら最初は「襟付き」のシャツでも着ていればいい。さらに不安ならジャケットを羽織ってもいい。数回も行けば、服装がさほど重要でないことが分かるだろう。

※ごくごく稀に(1%未満の確率で)ドレスコードが存在するバーもある。大体入る前に雰囲気が違うので誰でもわかる。ひとまずは行かなければいい。99%のバーにドレスコードはない。

※とはいえ、タンクトップとビーチサンダルはラフすぎて大体どこでも嫌がられる。


酒の知識など必要ない気楽さ

「お酒の知識がほとんどなくて、ビールか酎ハイぐらいしか知らないから、本格的なバーには行きづらいな」という人も、気楽にいけるのがバーだ。バーテンダーは、お酒のインストラクターでもあるから、知識ゼロからバッチリサポートしてくれる。よいバーテンダーであるほど、あなたの知識レベルに合わせて話をしてくれるだろう。(といっても、質問攻めにしてはダメだし、完璧な知識を求めてもいけない)


結局「うまい」か「まずい」かの気楽さ

「お酒の味なんかよく分からない」という場合も、気にしなくていい。結局は「うまい」か「まずい」かの話だからだ。そして、酒のつくり手やバーテンダーは、どうにかしてあなたの「うまい」を引き出そうとしてくれている。
だから、気楽に飲んで、その感想を持てばよい。もちろんのこと、その感想に正解も不正解もないのだ。


こんなシチュエーションで気楽にいける

「どんなときにバーに行ったらいいの!?」と思われる方のために、ちょっと例を挙げてみよう。

  • 仕事帰りに同僚とふらっと
  • 仕事帰りにひとりで一杯
  • 食事をした後に少し落ち着きたくて寄ってみる
  • なんだかお酒が飲みたくなってドアを開ける
  • 人恋しくなって行ってみる
  • 独りになりたくて席に座る
  • お酒のことを知りたくなって行ってみる
  • デートでちょっとしっとり
  • 人と待ち合わせまでちょっと時間が空いたとき


もしあなたがバー初心者なら、上記の「特別な服装や特別なマナーはない、という気楽さ」を理解してほしい。それが基本だ。それでも、もっと知りたい、ということであれば、「バーの探し方」や、「注文の仕方」、「マナー」について書かれたこの記事が役に立つだろう。

ぜひ気楽に、Bar(バー)の世界を愉しんでほしい。



レビュー:山崎18年 完成された・・・

山崎18年(YAMAZAKI 18yo)を飲んだ。85点。
山崎はもちろん日本で一番有名なシングル・モルトだ。(参考ウィスキーのシングル・モルトとは何か?
さて、その香味はいかに?

山崎18年熟成


【評価】
グラスを傾け顔を近づければ、六月の森が香る。新緑と野草の花々。遠くで焚き木。早朝から昼前にかけての時の流れ。あるいは、夜のしじま。
口に含めば、香る、香る、香る。倒木の上で焚いたお香。完成されたパフューム。
完成されてはいるが、どこか心惹かれる前に心が離れてしまうウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:山崎18年(YAMAZAKI 18yo)
地域:山崎、大阪 YAMAZAKI, OSAKA
樽:OAK, MIZUNARA, オーク、ミズナラ
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ボトルキャップ部分のロゴマークは「響」がモチーフ


SUNTORY SINGLE MALT WHISKY

18年熟成の山崎

山崎の崎は、寿にも読める


香る、香る、香る。倒木の上で焚いたお香。

サントリーの山崎蒸留所はここ。日本初のウィスキー蒸留所なのだ。
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レビュー:モートラック1998 13年 ベリーブロス 質実な若さ

BERRY BROs & RUDD の MORTLACH 1998 13yo (ベリーブラザーズ&ラッドのモートラック1998 13年熟成)を飲んだ。87点。


BBRのモートラック1998 13年熟成


【評価】
グラスから立ち上るのは、スイートなスモーク、薄い木の板、柔らかな土の香り。ボート、ペンキの塗りたて、甘酸っぱい果汁。さわやかである。
口に含めば、熱くてジューシー、ひと夏の思い出。スイカ、パイナップル、イチジク。スパイシー。
質実な若さを感じるウィスキー。

【Kawasaki Point】
87point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄: MORTLACH 1998 13yoモートラック1998 13年熟成
地域:Highland, ハイランド
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:BERRY BROs & RUDD, ベリーブラザーズ&ラッド



熱くてジューシー、ひと夏の思い出

モートラックの蒸留所の位置を地図で確かめてみて。

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レビュー:ブルイックラディ ウェイヴス 潮風とピート

BRUICHLADDICH WAVES(ブルイックラディ ウェイヴス)を飲んだ。68点。
このウェイヴスは、ブレンダーのジム・マッキュワン氏が、「デザイナーズ・ウィスキー」と名づけ、世に放つシリーズ。ROCKS(ロックス)や、X4+3(エックス4 プラス3)は同じシリーズ。

ブルイックラディ ウェイブス

【評価】
グラスを傾けて顔を近づければ、潮とピートが激しく香るのに、優雅さもある。飛沫のように、潮が飛び散る。岩礁のニュアンス。
口に含めば、滑らかなテクスチャが舌全体を包み込むが、やわらかな潮風がピートを運ぶ。浅さは否めないが、エッジを感じる。
企画ものとしては筋が通った一本。

【Kawasaki Point】
68point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:BRUICHLADDICH WAVES(ブルイックラディ ウェイヴス)
地域:Islay, アイラ
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


ジム・マッキュワンのサイン

BとLのブルイックラディのロゴマーク

WAVES


滑らかなテクスチャが舌全体を包み込むが、
やわらかな潮風がピートを運ぶ。

のどかなブルイックラディ蒸留所の場所を、地図で確かめてみて。

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