レビュー:ブルイックラディ ウェイヴス 潮風とピート

BRUICHLADDICH WAVES(ブルイックラディ ウェイヴス)を飲んだ。68点。
このウェイヴスは、ブレンダーのジム・マッキュワン氏が、「デザイナーズ・ウィスキー」と名づけ、世に放つシリーズ。ROCKS(ロックス)や、X4+3(エックス4 プラス3)は同じシリーズ。

ブルイックラディ ウェイブス

【評価】
グラスを傾けて顔を近づければ、潮とピートが激しく香るのに、優雅さもある。飛沫のように、潮が飛び散る。岩礁のニュアンス。
口に含めば、滑らかなテクスチャが舌全体を包み込むが、やわらかな潮風がピートを運ぶ。浅さは否めないが、エッジを感じる。
企画ものとしては筋が通った一本。

【Kawasaki Point】
68point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:BRUICHLADDICH WAVES(ブルイックラディ ウェイヴス)
地域:Islay, アイラ
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


ジム・マッキュワンのサイン

BとLのブルイックラディのロゴマーク

WAVES


滑らかなテクスチャが舌全体を包み込むが、
やわらかな潮風がピートを運ぶ。

のどかなブルイックラディ蒸留所の場所を、地図で確かめてみて。

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レビュー:シンジケート58/6 17年 大人の一杯

SYNDICATE 58/6 17yo(シンジケート 58/6 17年熟成)を飲んだ。86点。
素敵な物語のあるブレンデッドウィスキーだ。19[ 58 ]年、スコットランドの港町リースで、歯医者やら会計士やら、ウィスキー好きの[ 6 ]人の仲間であつまって「幻のブレンドレシピ」にたどり着くまで努力して生み出した酒。(だから名前に 58/6 とある)
しばらくは本当に6人の仲間(シンジケート)だけで愉しんでいたそうな。

ほとんどのブレンデッドウィスキーはモルト:グレーンの比率が30:70ぐらいだが、このシンジケートはモルトの方が多くて、65:35。(モルトとかグレーンって何?という方はこちらの記事を参照)

さてはて、どんな香味なのか?

ボトルの佇まいはエレガント。シンジケート58/6

【評価】
グラスを傾け、顔を近づければ、重厚な暗色の油絵具を広げたキャンバスの中に、明るい白と黄の絵具で光を描いたような世界観。丁寧に描かれた暗闇があるからこその光のまばゆさよ。いくつかの花の蜜をブレンドしたような香りでもある。どこまでもツンとした感じがなく、柔らかいが、しかし主張のある芯の通った香り。
いよいよ口に含めば、穏やかな海に浮かべた舟がゆれるように、押しては引く呼吸を感じる。マスカットの清涼感がほのかに香り、余韻は長く、デクレシェンドしていく。柔らかい、だが重厚。
まさに、大人の一杯。

【Kawasaki Point】
86point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:SYNDICATE 58/6 17yo(シンジケート 58/6 17年熟成)
地域:Highland etc.. , ハイランド等
樽:Oak, Bourbon オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ブルゴーニュワインのような、なで肩ボトル。

六人の仲間と奴らのスコッチ

17年以上の熟成原酒を使用し、
モルト:グレーンの比率が65:35のクラシックブレンドであることが
このシンジケートの最大の特徴だ。

最初はほんとうにわずかな人のためのスコッチだった

1958年、6人の仲間と・・・

いくつかの花の蜜をブレンドしたような香りでもある

まさに、大人の一杯。



レビュー:ダルモア シガーモルト 葉巻とのマリアージュ

DALMORE CIGAR MALT(ダルモア シガーモルト)を飲んだ。56点。
ブレンダーはリチャード・パターソン。
シガー(葉巻)とご一緒にどうぞ、的なウィスキーだ。今回はたまたまパルタガスという種類の小さな葉巻(シガリロという)を吸っていたので、こちらとマリアージュ。

パルタガスとダルモア シガーモルトを合わせる(マリアージュ)

【評価】
グラスに鼻を近づければ、甘くふくよかで深みがある。そしてスパイシー。落ち着いた木の香り。今、まさに絞った果汁。
口に含めば、ゆっくり入ってきて、おお、スモーキー!深くシェリー樽に沈み込むかのよう。ピートというより葉巻のそれに近い。
葉巻好きにはお勧めできるが、一般的でない、そこが良いウィスキー。

(リチャード・パターソンの趣味的なウィスキーだ)

【Kawasaki Point】
56point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:DALMORE CIGAR MALT(ダルモア シガーモルト)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Bourbon オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


この鹿のマークは、かつてダルモア蒸留所を所有していた一族の家紋に由来しているそうな

ここにも鹿






おお、スモーキー!

鹿のハンティングで有名なダルモア蒸留所の地域をマップで確かめて。
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レビュー:バルベニー 15年熟成 シングル・バレル 端正な顔をした青年のような

BALVENIE 15yo SINGLE BARREL(バルベニー 15年熟成 シングル・バレル)を飲んだ。86点。
「シングル・バレル」なので、バレル(樽)から取り出したままのウィスキーだ。
(参考:ウィスキーの「シングルカスク」とは何か?

ザ・バルベニー15年熟成
【評価】
グラスから立ち上る、酸味の鮮やかなリンゴ酢、風に揺れる麦、白い雲が空に浮かんで、夏の風に流されている。樽のスパイスが散りばめられている。
口に含めば、鋭く尖った主張、リンゴの蜜、華やかなスパイスが、長く余韻として続く。
爽やかで、甘酸っぱくて、尖った主張もあって、これはまるで闊達で端正な顔をした青年のようなウィスキー。

【Kawasaki Point】
86point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:BALVENIE 15yo SINGLE BARREL(バルベニー 15年熟成 シングル・バレル)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Bourbon オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル




このボトルは樽ナンバー3574のもの



爽やかで、甘酸っぱくて、尖った主張もあって

バルベニー蒸留所はグレンフィディック蒸留所と同じ敷地。

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レビュー:カリラ22年 ケイデンヘッド 石の寡黙さ

WILLIAM CADENHEADのCAOL ILA 22yo(ウィリアム・ケイデンヘッドのカリラ22年熟成)を飲んだ。87点。
ケイデンヘッドは老舗のボトラー。

アイラ島のカリラ、どのような表情を見せてくれるのか。

【評価】
グラスから立ち上る香りは、雨上がりのウッドデッキ、線香と灰。灰の向こうに複数の果物。ライトアップされた橋。暗闇の中で最低限のラインが浮かび上がっていて、海からの潮風が髪をそよぐ。
口に含んだ印象は、冷たい御影石の上に手をおいて、果物を眺めながら葉巻に火をつけようとしている。木の椅子に座っている。
フルーティな余韻を残しながら、石のような寡黙さ。花のようであり、石のようであるウィスキー。

【Kawasaki Point】
87point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄: CAOL ILA 22yo(カリラ22年熟成)
地域:Islay (アイラ)
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:WILLIAM CADENHEAD, ウィリアム・ケイデンヘッド

長熟(22年)のカリラはどこかフルーティ
ライトアップされた夜の橋のような、潮風を感じる香り
フルーティな余韻を残しながらも、
石のような寡黙さも持っている

カリラ蒸留所は海峡に位置している。「Caol Ila」とはゲール語で「アイラ海峡」のこと。

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レビュー:バランタイン12年 特級 オールドゴージャスの深み

Ballantine's 12yo '70~80 (バランタイン12年熟成 特級表示)を飲んだ。89点。
おそらく70~80年代のボトルだろう、今回未開封のこのボトルを開けることにした。
かなり個性的で、キャップの部分がゴージャスなのだ。

特級表示のBallantine's12yo オールドゴージャス


【評価】
グラスから立ち上るのは、ミツバチの飛ぶ花畑。香りは生きている。木の板に擦り付けたハチミツ。リンゴ。おだやかで、とげのない酸味。
口に含めば、木の苦味を感じながらゆっくりと物語が始まる。暑い夏の日、秋の紅葉、落ち葉を踏みしめる、冬の窓辺、春の日の午後。モルトとグレーンの融合。オールドボトルだからこんなに融合しているのか、はたまた以前のバランタインはこうであったのか。
四季の思いをめぐらすに値する、その深みを湛えたウィスキー。

現行のバランタインは輪郭がハッキリしているが、このボトルは輪郭が曖昧だ。しかし香味の主張は決して曖昧でなく、バランスを保っている。

【Kawasaki Point】
89point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Ballantine's 12yo '70~80 (バランタイン12年熟成 特級表示)
地域:Islands, Highland, アイランズ、ハイランド など
樽:Oak, オーク
ボトル:Blended, ブレンデッド

この佇まい

オールドゴージャスなキャップ

印象的な「12」のフォント

中は空洞のようだ

VERY OLD SCOTCH WHISKY

ジョージ・バランタイン&サン

ノスタルジックな「ウイスキー特級」表示

ゆっくりと傾けていくと・・・

トクトクトク・・・

キャップの中にウィスキーが入り、倒立する。


キャップの仕掛けはこうなっていた
このプラスチックの芯のおかげで、
コルクがボロボロにならず、保存状態は極めてよかった。

ミツバチの飛ぶ花畑。香りは生きている。

思いをめぐらすに値する、その深みを湛えたウィスキー