レビュー:カバラン ソリスト ビーニョ 上品に木に生った・・・

KAVALAN SOLIST VINHO(カバラン ソリスト ビーニョ)を飲んだ。85点。
カバラン(カヴァラン)は、台湾の蒸留所のウィスキーで、「SOLIST」は旗艦モデルと位置づけられているシングルモルトなのだろう。Sherry Cask(シェリーカスク), FINO(フィノ)につづいて、今回はVINHO(ヴィーニョ)。この名前は、要するにすべて「どの樽で熟成したか」をあらわしている。
シェリーは、シェリー酒の樽で、フィノはシェリー酒の中でも独特の酸味があり、今回のビーニョは、ポルトガルのワイン樽だ。
さてはて、その香味やいかに。

カヴァラン ソリスト ヴィーニョ

【評価】
グラスから立ち上る香りは、さわやかな清流、抜ける青空、ふくよかであり、鋭角でありながらも先端は丸みを帯びている。マスカットのような。
口に含めば、マスカットの酸味がコクを持ちながら拡がり、長い熱帯魚の水槽を思わせる。フルーツのフレーバーが広がる。
上品に木に生った果実を味わう夜。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:KAVALAN SOLIST VINHO(カバラン ソリスト ビーニョ)
地域:Taiwan 台湾
樽: VINHO,  ビーニョ
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル



ぶどう酒の桶=ビーニョ樽ということなのだろうか

カスクストレングス。樽出しのボトル192本中の76本

マスカットの酸味がコクを持ちながら拡がり

上品に木に生った果実を味わう夜。





レビュー:カバラン ソリスト フィノ 春の陽射しが集まって・・・

KAVALAN SOLIST FINO(カバラン ソリスト フィノ)を飲んだ。87点。
カバラン(カヴァラン)は、台湾の蒸留所のウィスキーだ。亜熱帯の台湾でどのようなウィスキーづくりが可能となるのか。なんでも、熟成は早くすすむらしい。しかし、成長を早めた分、熟成の質が、深みが物足りなくなるのでは・・・と思われがちでもある。ところがこのシェリー(の中でもフィノ)樽で熟成された一本は・・・・・、さてはて香味やいかに。

カバラン ソリスト フィノ

【評価】
グラスに鼻を近づければ、あまい香りの中に、ジンジャーのスパイス。春の若草(芽吹きはじめ)。陽気な弦楽を奏でそうな。不思議な三重奏。明らかだがふくよかな調和。
口に含めば、春の陽射しが集まってとろけて蜂蜜になり舌の上に垂れてきたかのような。クリスタルボールに野原の風景を映して、それをいっぺんに味わったような。土の香りもあり、どっしりしている。
確かに感じる不思議な調和。

※カヴァランは注目すべきニューワールド・ウィスキーで、既にその個性を確立しているといえるだろう。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:KAVALAN SOLIST FINO(カバラン ソリスト フィノ)
地域:Taiwan 台湾
樽: Sherry(FINO), Oak  シェリー、オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

特徴的なロゴ

ソリストのシリーズはカスクストレングスのようだ


確かに感じる不思議な調和

漢字って面白い

カバランの蒸留所はこちら。地図を拡大して台湾を旅してみては。




レビュー:ロッホインダール2007 5年 キングスバリー 赤いカニが・・・

LOCHINDAAL 2007 5yo Kingsbury(ロッホインダール 2007 5年熟成 キングスバリー)を飲んだ。87点。
ロッホインダールは、一時期、ブルイックラディ蒸留所で作られていた、ピートを効かせたモルトだ(つまり煙り臭い)。同じ蒸留所のポートシャーロットよりもピーティで、オクトモアほどではない。
今回は5年という短い期間での熟成だが、果たしてその香味やいかに。

ロッホインダール2007 5年熟成

【評価】
グラスを傾け、鼻に近づけると感じる、酸味のある細い香り。郷愁がある。砂であり果物である。海での一日。甘くしびれる、赤いカニが逃げていく。
口に含めば、蜃気楼が立つほどじりじり熱い。この甘みはけだるさか、それとも一日海で泳いだ疲れなのか。
まどろむ午後の一杯。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:LOCHINDAAL 2007 5yo (ロッホインダール 2007 5年熟成)
地域:Islay, アイラ
樽:Oak, オーク
ボトル:Kingsbury, キングスバリー社

ボトルの顔には大きく2007の文字

酸味のある細い香り。郷愁がある。

この甘みはけだるさか、それとも一日海で泳いだ疲れなのか

まどろむ午後の一杯


ブルイックラディ蒸留所はスコッチウィスキーの聖地、アイラ島の海岸沿いに位置している。






レビュー:カリラ1984 26yo ダンカンテイラー 港の絵描き

Caol ila 1984 26yo Duncan Taylor(カリラ1984 26年熟成 ダンカンテイラー社)を飲んだ。87点。

カリラ1984 26年熟成

【評価】
そっと目を閉じグラスに鼻を近づければ、果汁を混ぜた灰がキャンバスの上を流れる。黄色の絵の具と混ざる。赤を少し。少し離れた位置に木の絵筆でサッと緑が走る。港の絵描き。オイルにまみれた水夫。波の音。
口に含めば、フレッシュのグレープフルーツジュース。ミネストローネ。燻(いぶ)しのよく効いたベーコン。灰の混じったグレープフルーツジュース。
日に焼けた本のページをめくる。窓から少し風が吹く。あゝ、新緑の季節か。

【Kawasaki Point】
87point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Caol ila 1984 26yo (カリラ1984 26年熟成)
地域:Islay, アイラ
樽:Oak, オーク
ボトル:Duncan Taylor, ダンカンテイラー社

果汁を混ぜた灰がキャンバスの上を流れる


ダンカンテイラー社は老舗のボトラーだ

このボトルは世界に173本しかない・・・一期一会

窓から少し風が吹く。あゝ、新緑の季節か。

カリラ蒸留所は海に面している。それは26年たってもボトルの中身から感じられる。
ぜひ、地図で確かめてほしい。