レビュー:ハイランドパーク 25年 庭には木でできた・・・

HIGHLAND PARK 25yo (ハイランドパーク 25年熟成)を飲んだ。89点。
スコットランドの北端、ノルウェーの西に位置するオークニー諸島のイメージといえば、海と強い風、夏至の沈まぬ太陽、輝くオーロラ、それからヴァイキング、といったところだろうか。そしてもうひとつのイメージは、このウィスキー、ハイランドパークを生みだしている地ということだ。

さて、ハイランドパーク25年の香味はどのようなものだろうか。

ハイランドパーク25年熟成

【評価】
グラスに鼻を近づける。木のテーブルに飾られたバラ、若々しく綺麗なグリーン、真紅の花弁。まるで香水。深い落ち着きをもたらす。
グラスを傾け、液体を口に含む。口の中で花弁が散って、紅い印象を残して溶けていく。レモンのニュアンス。新築の木の家。庭には木でできたシーソー。子供たちが無邪気に遊ぶ。
何重にも木の香がかさなっているのに、決してまとまりを崩さない。

【Kawasaki Point】
89point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:HIGHLAND PARK 25yo (ハイランドパーク 25年熟成)
地域:Islands, アイランズ
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

木でできたボトルキャップ

おなじみのロゴ(Bodoni系)のフォント

DISTILLERY KIRK WALL ORKNEY
オークニー諸島のカークウォールの蒸溜所

木のテーブルに飾られたバラ

何重にも木の香がかさなっているのに、決してまとまりを崩さない



Highland Park 蒸溜所はスコットランドの北端に位置する。





レビュー:レッドブレスト 15年 手描きの夏の・・・

REDBREAST 15yo(レッドブレスト 15年熟成)を飲んだ。89点。
アイルランドでつくられるアイリッシュウィスキー。レッド・ブレスト(赤い胸)とは、ヨーロッパ・コマドリの意味で、ヨーロッパ全域でポピュラーな鳥のようだ。なぜか分からないが、ウィスキーはそのブランドに野生動物をモチーフに用いることが多い。

さて、このウィスキーの香味はどのようなものだろうか。

レッドブレスト15年熟成

【評価】
グラスを傾け香りをかぐ。夏の午後の太陽とプール。体を乾かして、少し木陰で涼もう。ゆっくりと時が流れるのに、爽やか。甘いレモンスカッシュ。隣はメロンソーダ。
ウィスキーを口に含む。スイカの刺さったグラス。打ち寄せる波が泡になって砂に染み込む。メロンとキャンディ。
ライトだがまとまっている一杯。手描きの夏の絵葉書をもらったかのような。

【Kawasaki Point】
89point

【基本データ】
銘柄:REDBREAST 15yo(レッドブレスト 15年熟成)
地域:Irish, アイリッシュ
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ゆっくりと時が流れるのに、爽やか

Pure Pot Still Irish Whiskey


REDBREAST 15yo

メローでスムース

3回蒸留、15年熟成

ライトだがまとまっている一杯









レビュー:グレンギリー 15年 古い青春映画のように・・・

GLEN GARIOCH 15yo(グレンギリー 15年熟成)を飲んだ。88点。
旧ラベルのボトルだ。

どのような香味なのだろうか?

グレンギリー 15年熟成


【評価】
グラスを鼻に近づけ、香りをかぐ。ボトルシップを眺める古風な応接室。カーテンを揺らして春の風が舞い込む。ゆったりとした肘掛けのソファに腰掛け、レコードをかける。日が差し込み、ひらひらと、モンシロチョウが迷い込む。
ウィスキーを口に含む。みずみずしい。古い青春映画のようにあっさりほろ苦い。後味には、釉薬の融けた陶器がつくられたときの炎を熱さを思う。
ジェントルで心地よいが、苦さもしっかりと構成しているウィスキー。

【Kawasaki Point】
88point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:GLEN GARIOCH 15yo(グレンギリー 15年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


スコッチ・ウィスキーは鹿のモチーフが多い

AGED FIFTEEN YEARS

ボトルシップを眺める古風な応接室

古い青春映画のようにあっさりほろ苦い





グレンギリーは、ゲール語で「谷間の荒れた土地」。オールドメルドラム村という古風な名のつく村に蒸溜所がある。





レビュー:ティーリング シングル・モルト レモンのゼリー

TEELING Single Malt(ティーリング シングル・モルト)を飲んだ。89点。

ウィスキー最古の地といわれるアイルランドから届けられるこのアイリッシュ・ウィスキーは、ちょっと変わっている。

ブランド名ティーリングの由来は、社長のジョン・ティーリング氏から。ハーバードでアイリッシュ・ウィスキーの歴史を研究したティーリング氏は、アイルランドで100年ぶりに新しい蒸溜所を開始した。そのクーリー蒸溜所は、その後ジム・ビームに買収され、ティーリング氏は今回の“ティーリング”立ち上げに至る。

もともとティーリング家はダブリンで蒸溜所を創業した家系だが、他の多くの蒸溜所同様、現在はなくなっている。“ティーリング”は現時点で、蒸溜所を持たないボトラーズブランド(原酒は他の蒸溜所から仕入れ樽の熟成を見極めてリリースしている)だが、「いずれは自前の蒸溜所を」という考えのようだ。

今回のティーリングは、シングル・モルト。ある原酒を5つの樽で熟成させ、再びひとつのボトルに入れたもの。かなり手の込んだ試みだ。(樽はシェリー、ポート、マディラ、ホワイトバーガンディ、それからカベルネ・ソーヴィニヨン)

さて、前置きが長くなったが、肝心のこのウィスキーの香味はどのようなものだろうか?

ティーリング シングル・モルト

【評価】
香りをかぐ。うっそうと生い茂る茂みのなかを歩く。まだ見えない花の香りに誘われて。急に開けて湖が見える。あたりに群生する赤、白、ピンク、紫、黄色の花々。青空が広がり、さわやかな気持ちにさせる。湖面に映る空が風で揺れて見える。
そっと口に液体をふくむ。ランチボックスを開け、ほんのひとくち、レモンのゼリーを口に含む。ライ麦パンのサンドイッチ。ハム、ライム果汁。
まるで新しい気持ちに生まれ変わる不思議な体験。

【Kawasaki Point】
89point

【基本データ】
銘柄:TEELING Single Malt(ティーリング シングル・モルト)
地域:Irish, アイリッシュ
樽:Sherry, Port, Madeira, White Burgundy, Cabernet Sauvignon, シェリー、ポート、マディラ、ホワイトバーガンディ、カベルネ・ソーヴィニヨン
ボトル:TEELING, ティーリング



フェニックスのようにダブリンに復活する予定のティーリング

箱のデザイン。質感に重きが置かれている。

アイリッシュの場合、ウィスキーの綴りは WHISKEY

SPIRIT of DUBLIN

ノンチル、シングル・モルト

赤、白、ピンク、紫、黄色の花々

レモンのゼリーを口に含む。ライ麦パンのサンドイッチ