この記事は、自宅でウィスキーをいかに保存するかのテクニックについて紹介する記事だ。(保管の理論を紹介したロジック編はこちらを参照してほしい)
家飲みのウィスキーのための、5つの保管テクニックは下記の通り。
※より完璧な遮光(紫外線対策)を目指すなら、アルミシートやアルミホイルを使うのが手軽だ。箱の内側に貼ってあればもうほぼ完璧といえるだろうし、ボトルそのものに巻きつけたり、ボトルを格納する場所にどうしても一部光が入る場合もアルミホイルで塞げばいい。(商品:クッキングホイル 30cm×50mC)。
参考:動画中の「密閉タイプの瓶」はこちら(『ボルミオリ・ロッコ』 スイング ボトル 0.25L )
参考:動画中の「イチョウ型の“ろうと”」はこちら(シリコン漏斗 イチョウ グリーン 07438)
※この“ろうと”は収納に便利。しかしもっとデザインを気にしなければ百均にもあり機能は一緒。
栓を開けてから2~3日はどんなウィスキーもほぼ同じクオリティで飲める。ただ、1週間以上になると、徐々に変化がある。その変化を愉しむ、という発想もあるが、出来る限り豊かな香りを愉しもうとするなら早く飲むに越したことはないのだ。
だが、それができないから、さまざまな保存方法を、われわれは頭をひねって生み出している(それで開栓後も数ヶ月はいける)。いずれにせよウィスキーを飲むときに「完璧」はあり得ない。あれこれしても、最後はどうかおおらかな心でウィスキーの香りを存分に愉しんでほしい。
ちょっとやそっとではその魅力は失われないのが、ウィスキーという酒のタフなところだからだ。
家飲みのウィスキーのための、5つの保管テクニックは下記の通り。
共通ポイント:香り分子を変質させない・逃がさない
どの方法もポイントは、ウィスキーを紫外線に当てず、酸素に触れさせず、ウィスキーの香りを逃がさないということだ。簡単に実践できるものから順に紹介する。その1. 「光が届かない、もっとも涼しい場所」で保管する※ただし冷蔵庫以外
ウィスキーは、自宅の中で、光がまったく届かず、一番涼しい場所で保管しよう。ただし、この定義だと冷蔵庫も当てはまってしまう。冷蔵庫は考え物だ。他の香りがつく心配もあるし、冷えすぎてしまう。また、都度冷蔵庫から出して飲む際のタイムロスや温度変化を考えると単にまどろっこしい。気をつけなければいけないのは紫外線を発生させるモデルの冷蔵庫では、ウィスキーの香り分子が変質してしまう危険性が高い。(※冷蔵庫はNGだが、15℃程度に温度設定できるワインセラーなら理想的といえる。ただ、ウィスキーはタフな酒なので、気を遣ってもワインほどの変化はない)
その2. 箱に入れて保存
ウィスキーを買ったときの箱にそのまま入れて保管するのはオススメだ。大抵、光を遮断してくれるし、多少の衝撃も吸収してくれて安全だ。(少し場所をとるのがやや難点)
大切なウィスキーの箱を取っておこう |
光を遮断できる |
※より完璧な遮光(紫外線対策)を目指すなら、アルミシートやアルミホイルを使うのが手軽だ。箱の内側に貼ってあればもうほぼ完璧といえるだろうし、ボトルそのものに巻きつけたり、ボトルを格納する場所にどうしても一部光が入る場合もアルミホイルで塞げばいい。(商品:クッキングホイル 30cm×50mC)。
その3. パラフィルムを使ってボトルを密封
ボトルとボトルキャップとのわずかな「間」から、アルコールが抜けたり、外の空気が入ったりするのを防ぐのが、パラフィルムだ。(商品:エル・エム・エス パラフィルム4インチ 長さ125フィート PM996)
もともとは実験室で使われる素材だが、多くのバーで使用されている。小さく切って、少し伸ばしながら巻きつける不思議な素材。これを使っているかどうかで、香りを愉しめる期間がかなり違う。
巻き付け方の詳細は動画で見られるようにした。
パラフィルムをこれぐらいに切って |
引っ張りながら巻く |
巻き終わった。これで密閉。 |
その4. 小瓶に移し変えて、空気の量を減らす
ボトル自体をどんなに密閉しても、ボトルに含まれる空気(≒酸素)がウィスキーの香り分子を酸化させる。だから、小瓶に移し変えてしまえばいい。小瓶と移し変える手間がすこしかかるが、かなり効果的な方法だ。
詳しい解説は動画を見てほしい。
参考:動画中の「密閉タイプの瓶」はこちら(『ボルミオリ・ロッコ』 スイング ボトル 0.25L )
参考:動画中の「イチョウ型の“ろうと”」はこちら(シリコン漏斗 イチョウ グリーン 07438)
※この“ろうと”は収納に便利。しかしもっとデザインを気にしなければ百均にもあり機能は一緒。
その5. プライベート・プリザーブで酸素からの遮断層をつくる
プライベート・プリザーブはもともとワイン用の商品だが、原理はごくシンプル。ウィスキーのすぐ上にガスの層を作ってしまって、酸素とウィスキーを隔離するものだ。多くのワイナリーで採用されている。(商品:プライベート プリザーブ private preserve)
3~4回、シュッ、シュッと吹き込めばOK。割合に手軽な方法だが、頻繁に飲む人はやや面倒に感じるかもしれない。
使い方の詳細は動画を見てほしい。
その6(奥義):さっさと飲む
どのような保管方法も、この方法にはかなわない。どのような方法も時をとめることはできないが、時間とともにウィスキーの香りは失われていく。栓を開けてから2~3日はどんなウィスキーもほぼ同じクオリティで飲める。ただ、1週間以上になると、徐々に変化がある。その変化を愉しむ、という発想もあるが、出来る限り豊かな香りを愉しもうとするなら早く飲むに越したことはないのだ。
だが、それができないから、さまざまな保存方法を、われわれは頭をひねって生み出している(それで開栓後も数ヶ月はいける)。いずれにせよウィスキーを飲むときに「完璧」はあり得ない。あれこれしても、最後はどうかおおらかな心でウィスキーの香りを存分に愉しんでほしい。
ちょっとやそっとではその魅力は失われないのが、ウィスキーという酒のタフなところだからだ。
こんにちは。保存方法とても参考になります。
返信削除パラフィルムについて質問があるのですが、まったく開封してないウイスキーにもパラフィルムをまくべきでしょうか?
ちょっと貴重なウイスキーを手に入れたので、パラフィルムの購入を迷っています。
こんにちは。まったく開封していないウィスキーでもパラフィルムを巻くべきか・・・私なら一応、巻いておきます。
削除わりと新しい未開封のボトルなら巻かなくても大丈夫と思いますが、オールドボトルなら密閉が甘くなっている可能性は大きいですので、かなり巻く意味があると思います。
つまり、ちょっと頼りなさげなボトル(&コルク)であれば、パラフィルムを巻いておく意味が大きく、何重かに巻いておけばかなり安心です。
パラフィルムの購入に迷われているとのことですが、もちろん開封した後のウィスキーの保管にパラフィルムは活躍しますし、1度買ってしまえば(たいていの方の場合)生涯使い切ることはないと言えるほどの量ですので、お持ちになっておいて損はないと思います。
しかしもしご友人にもたれている方がいらっしゃれば、10センチほど切って分けてもらう・・という手もあると思います。
以上、ご参考になれば幸いです。
なるほど。わかりやすい回答ありがとうございました。
削除今後もウイスキーと付き合っていきたいと考えているので、パラフィルムを購入しようと思います。
はじめまして。まだウイスキー入門者の自分ですが、こういった具体的に説明しているところが見つからず、こちらではいつも参考にさせていただいてます。
返信削除保管の仕方でひとつ気になったのですが、開栓・未開封問わず立てた状態で保管する
or
寝かせて保管する 、どちらがいいのでしょうか?
初心者ゆえのくだらない質問ですが、御返事いただけたら幸いです。
ご覧いただきありがとうございます。
削除ボトルを立てて保管するか、あるいは、寝かせて(水平に)保管するかというのは、大切な問題だと思います。
結論から申し上げると、立てて保管するのがよいです。ウィスキーが空気に触れる面が最小になるからです。
ただ、もしそのボトルをお飲みになる頻度があまり多くなく、1本の消費スピードが数ヶ月にわたる場合は、たまに・・・数週間に1回、そっとボトルを傾けてコルクを湿らしてやるとよいと思います。(今売られているウィスキーのコルクの質ではほとんど問題になりにくいのですが、コルクが乾燥すると割れてしまう可能性があるからです)
もし、飲む頻度が数週間に1回よりも多い場合は、お飲みになる時に上記をなさればよいと思います。湿らせたほうがコルクはスムーズに開けやすくもなります。
(無論、ひねるタイプのスクリューキャップでしたら特にお気になさらず!)
以上、ご参考になれば幸いです。
横倒しで保存は、最長半年以内にした方が無難です。何故なら、ワインとウイスキーの根本的差のアルコール度の高さが、コルクから変な風味を抽出してしまい、ウイスキーの味わいに回復不可能な変な風味をつけてしまします…。
削除初めまして。なぜウィスキーは最初から~、の記事から飛びましたが知識やそのやさしい伝え方からウィスキー愛を感じるいいブログですね。
返信削除ところで保管に関しての質問なのですが、その3・4・5に共通する空気の遮断ですが、ワインなどでお馴染みのバキュバンなどの効果はどうでしょうか?
はじめまして。お褒めいただきありがとうございます。励みになります。
削除ご質問のバキュバンですが、空気を抜く効果の程度は不明ですが、少なくともパラフィルムで得られるのと同じ程度の密閉性があると思われます。
(ただ、複数ボトルを管理する際のコストパフォーマンスでは、パラフィルムの方が高いかもしれません)
人によっては、空気を抜く時にウィスキーの香り成分も抜いてしまっているような気がするのでやらない、という意見もあります。
このあたりはお好みですし、試されてみるのも面白いかもしれませんね。
初めまして。ウィスキー何十年と保管していきたいのですが、、、光には当たらないようにしました。問題は温度管理だと思っているのですが、、、我が家には米の冷蔵庫があり、そこは常時14度位に設定してあります。そこで保管した方が良いのでしょうか??それとも、あまり温度の高くならない常温の所に保管した方が良いのでしょうか??アドバイス、宜しくお願い致します。
返信削除初めまして。すぐにお飲みにならないウィスキーを保存するなら、常温より保冷庫のような安定した低温の環境は(強い匂いや紫外線がなければ)、理想的といえると思います。
削除ただし、何十年も・・・となると、これはわかりません。その不確実性も開けた時の愉しみとなるかもしれませんね。
ご返答ありがとうございますm(__)mとても参考になりました。感謝致します☆しっかり光を遮って、これから先、美味しいウィスキーが飲めるよう、上手く保管していきますね♪♪今後、また何か分からないことがありましたら、教えて下さい(^-^)/
返信削除ご参考になり幸いです。引き続き当ブログを宜しくお願い致します。
削除ご返答ありがとうございます。
返信削除バキュバンで一応ためしてみましたが、確かに開封時の香りはかなり損なわれますね。呑む段階においては、そこまで変わりはないように感じましたが、劣化防止の効果が期待したほどではありませんでした。
なにより、バキュバンのプラスチックが口に鎮座しているさまがちょっと・・・というのはこれから呑もうというときの気分を少し下げるかもしれません。
コルクの蓋も含めてウィスキーなのだなと痛感しました。
ご紹介にあったプリザーブがよさそうですね。
お試しになったのですね!
削除ウィスキーは飲む際の一連の動作やイメージもふくめて総合的に楽しめるものでもありますので、ご自分にしっくりくる保管スタイルが一番ですね。見た目や雰囲気も大切にされるのは素敵なことだと思います。
初めまして。ウイスキー初心者です。
返信削除これまでミニチュアボトルを少しずつ飲んで、味とアルコール度数に舌と体を慣らしてきましたが、そろそろ大瓶を購入したくなりました。
ところが私みたいな週に1~2度、それも少量しか飲まない者ですとウイスキーの劣化が心配だったので検索したところ、こちらのサイトにたどり着きました。
拝見していて気になったのはプライベート・プリザーブですが、これは他の物でも代用できますでしょうか?
こんな事を言うと怒られそうですが、家電量販店で売ってる様な炭酸ガスのエアブロアを使っても味や香りに影響はないでしょうか?
はじめまして。ウィスキーがお好きなのですね。お読みいただきありがとうございます。
削除私も家に置いたボトルは少量しか飲みませんので、この悩みはよくわかります。
ご質問の件ですが、炭酸ガス自体は不活性ガスなので、香味に影響を与えにくく、原理的には用いることができると思います。ただ、食品用でない個別の商品が応用可能かどうかは私には不明ですし、ちょっと勢いよく出すぎるような気もしますね・・・。製造しているメーカーが意図した使用目的から考えると、やはりおやめになった方がよろしいでしょう。
こんな得体の知れない者のコメントにお答え下さってありがとうございます!
削除本当にそうですよね。冷静に考えてみますと、食品用でないガスをその様な用途に使用するなど無茶な話です…。
早速、プライベート・プリザーブを置いている酒屋さんを探して購入しました。
これで心置きなく700mlの大瓶を買えます!
またウイスキーのある生活の途中で壁にぶつかった際にはよろしくお願いします。
お好きなウィスキーを心ゆくまでじっくりお愉しみになりますように!
削除半分くらい飲んで、後は長期保存するつもりなら、小さな別瓶(パッキンで密閉できるもの、例ジャムの空き瓶)二でも移した方がいいですか。
返信削除そういえば長熟のブランデーは樽から出して25Lのボンボンに入れ替えますよね。あれは100年級ですけど。
お読みいただきありがとうございます。
削除保存のために元の瓶に比べて空気の量の少ない小瓶に移し替えるのは有効な手だと思います。