レビュー:ダグラスレイン バルブレア17年 香りの素晴らしさは・・

Douglas Laing Old Malt Cask BALBLAIR 17yo (ダグラスレイン社 オールド・モルト・カスク シリーズ バルブレア 17年熟成)を飲んだ。66点。
スコッチ・ウィスキー映画『天使の分け前』にも登場するというので、バルブレアを飲んでみた。ダグラスレイン社というボトラーの17年。(ボトラーズボトルとは何かはこの記事に詳しい

バルブレア17年 ダグラスレイン社

【評価】
グラスに鼻を近づければ、麦の酸味があるのに爽やかな木の落ち着き。若い木の木材。麦の甘みと主張。不思議なまとまり。すっぱすぎない。
口に含めば、アルコールの熱さと木のえぐみ、麦の酸味。スッと引いていくが、それだけで終わる。えぐみが後味。
香りの素晴らしさは特筆に値するウィスキー。

【Kawasaki Point】
66point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Douglas Laing Old Malt Cask BALBLAIR 17yo (ダグラスレイン社 オールド・モルト・カスク シリーズ バルブレア 17年熟成)
地域:Highlanda, ハイランド
樽:Oak, Sherry,  オーク、シェリー
ボトル:Douglas Laing, ダグラスレイン社

麦の酸味があるのに爽やかな木の落ち着き

シェリー樽の割りに明るい色
香りは特筆に価する


スコットランドでもかなり古い蒸留所のひとつと言われるバルブレア蒸留所の位置を地図で確かめてみて。

大きな地図で見る




レビュー:カリラ15年 80年代 熱く、端正で、馥郁たる・・

Caol iLa 15yo '80s(カリラ 1980年代 15年熟成)を飲んだ。84点。
いわゆるオールドボトルである。オールドボトルって旨いんですか?という質問がある。これは難しい質問だ。一般的に言って、オールドボトルは香味の点では新しいものに比べて不利である。保存状態によりその味わいは大きく異なるからだ。しかし「今はもうない香味」がそこにある限り、味わってみたいという魅力は尽きない。

80年代のカリラ

【評価】
グラスに鼻を近づければ、華やかな奥にほんのり焦がした麦の酸味、少し鼻に突撃するアルコール、主張があるのにふくよか。したがって奥行きがある。
口に含めば、熱く主張するアルコールに、焦がし麦の香りがすぐに追っかけてくる。熱く、端正で、馥郁たる後味のバックボーンがある。ピーティさは消えていないが、溶かされて、ほかの香りと融合している。
麦と馥郁たる香りのウィスキー。

【Kawasaki Point】
84point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Caol iLa 15yo '80s(カリラ 1980年代 15年熟成)
地域:Islay, アイラ
樽:Oak, Bourbon,  オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

「今はもうない香味」がそこにある限り

主張があるのにふくよか。したがって奥行きがある。

麦と馥郁たる香りのウィスキー


イギリスはアイラ島のカリラ蒸留所。カリラという言葉は海峡のことを指している。

予告:レポート:余市蒸留所

先日、余市蒸留所を見学し、ウィスキー作りの現場と、日本のウィスキーの父、竹鶴政孝の住まいに触れてきた。わざわざ、ウィスキーアンバサダーの箕輪さん、ウィスキーアドバイザーの小原さんにご案内いただき、現工場長の杉本さん(前マスターブレンダー)にもご挨拶し、お話を伺うことができた。
近々、レポートをUPする予定である。

貴賓室から余市蒸留所を見る。一般には非公開の貴重な体験だった。

蒸留所は素晴らしいが、現実的にすべての人が訪問できるわけではない。
このブログでの蒸留所レポートが、「行きたいがすぐには行けない」という人にとって有益な情報源となれば幸いである。楽しみにしていてほしい。


カクテル:スコッチキルト Skye's 楽しい夜は・・

ウィスキーベースのカクテルは、その酒の歩んできた歴史にも興味を持たせてくれる。

「スコッチ・キルト」は、スコッチ・ウィスキー(スコットランドのウィスキー)と、ドランブイというリキュールをベースにしたカクテルだ。この「ドランブイ」、満足させる酒、という意味なのだけど、その誕生ストーリーも満足に値するものだ。
その昔、王の座をかけた戦いに敗れ、スカイ島に逃げ落ちたプリンス・チャールズ。彼の首には多額の賞金がかかっていたのだけど、敗れた彼を裏切らず、フランスに亡命させたのがマッキノン家。これに恩義を感じたプリンス・チャールズは、王家に伝わる「ドランブイ」のレシピを、マッキノン家に明かしたとな・・・。

今回はスコッチ・キルトを作るにあたって、そんなドランブイのゆかりの地、スカイ島でつくられる「タリスカー」というウィスキーがチョイスされた。

シェーカーにタリスカーとドランブイを・・・

そしてオレンジビターズ・・・

氷を入れて・・

シェイクされる直前のシェーカーを覗くと・・

シェイクが始まった

後もう少し・・・

シェイクがおわり・・

スコッチ・キルトが注がれた

オレンジピールをツイストして・・

スコッチ・キルトの完成


 【評価】
グラスに鼻をやれば、葉巻の煙が重厚な甘みと混じる。
口に含めば、少し背筋を伸ばして、お店の音楽に浸りたくなる。よく冷えており、棒アイスのような清涼感。
重厚でありながら、お菓子のようなチャーミングな甘み。楽しい夜にどうぞ。

【Kawasaki Point】
-
(カクテルには点数をつけない)

【基本データ】
カクテル名:「スコッチ・キルト Skye's」 ※私が勝手に名づけた
ベース銘柄:タリスカー10年、ドランブイ
Bartender:倉橋裕 (Kurahashi Yuh)


このスコッチ・キルト、一般的なレシピでは、シェイカーを振らない。グラスの中でステアするだけ。今回はタリスカーとドランブイというふたつのスカイ島生まれの酒をより調和させるため、シェイクされた。それが功を奏して、よい冷たさにつながっていた。


それにしてもウィスキーベースのカクテルには、さまざまなエピソードが隠されている・・。
ウィスキーを愉しむときには、その隠されたエピソードにも注目してほしい。きっと楽しい夜になるはずだ。