レビュー:ニッカ シングル・モルト・ウィスキー 23年 余市の行く末・・・

NIKKA SINGLE MALT WHISKY 23 YEARS OLD by Yoichi(ニッカ シングル・モルト・ウィスキー 23年熟成 余市蒸溜所)を飲んだ。88点。
このボトルは非売品で、中身は余市蒸溜所のもの。

“余市”といえば、原酒不足を理由として「余市」ブランドの刷新が図られるようだ。余市に限った話ではなく、世界的にNA(ノン・エイジ=熟成年数表記のない)ウィスキーが増加している。需要が供給を上回れば起こる現象のひとつだが、ファンは寂しい思いをするだろう。

NIKKA SINGLE MALT WHISKY 23yo

【評価】
グラスから立ち上る香りをかぐ。甘く香る潮騒。濡れた砂を踏みしめる。重厚な木のテーブル。厳しい冬を乗り越えた木立。少しふくよかで甘い。
グラスを傾け、口に含む。スイカのような清涼感。生木のやわらかさ。砂に染み込む。汗をかいた夏の夜に冷めやらぬ興奮。
濃密で強いウィスキー。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄:NIKKA SINGLE MALT WHISKY 23 YEARS OLD by Yoichi(ニッカ シングル・モルト・ウィスキー 23年熟成 余市蒸溜所)
地域:Yoichi, 余市町
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

NIKKA WHISKYの歴史は余市蒸溜所から始まった

甘く香る潮騒

これと同じボトルが旧竹鶴邸にも展示されていた

スイカのような清涼感

竹鶴政孝は余市ブランドの行く末をどのように見守るだろう








レビュー:グレンモーレンジィ トゥサイル 底つき感がない・・・

The Glenmorangie TUSAIL(グレンモーレンジィ トゥサイル)を飲んだ。86点。
モーレンジのリリースする「プライベート・エディション」から。過去にはエランタなどがある。
このシリーズはいつも聞き慣れないゲール語のタイトルが付いているが、今回のトゥサイルは「大麦」という意味だそう。なんでも1960年代に登場した大麦のマリス・オッター種が一度は絶滅の危機に瀕したものの、最近見直されて一部の高品質クラフトビールに使用されているようだ。
毎度、責任者のビル・ラムズデン博士のチャレンジには感心させられる。

さて、どのような香味なのだろうか。

グレンモーレンジィ トゥサイル

【評価】
グラスを傾ける、魅入ってしまう金色の輝き。
すこしグラスを揺らして香りが立てば、麦、りんご、その他の美しいスパイスの調和。ふくよかなのにきりりとしつつ、おだやかなのにクッキリとした主張。
口に含む。水飴の後の黒焦げの樽。初夏の水遊び。ふかふかの柔らかな麦のベッドは、底つき感がない。
さわやかで美しい酒。

【Kawasaki Point】
86point

【基本データ】
銘柄:The Glenmorangie TUSAIL(グレンモーレンジィ トゥサイル)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

Uはアキュートが付いている「Ú」

グレンモーレンジィのロゴは渦巻紋様

フロアモルティング製法

グラスを傾ける、魅入ってしまう金色の輝き。

麦、りんご、その他の美しいスパイスの調和

さわやかで美しい酒。









レビュー:グレンタレット20年 アップライトピアノの・・・

Glenturret 1994 20yo(グレンタレット 1994 20年熟成)を飲んだ。89点。
ウィスキー好きと猫好きには有名な蒸溜所、グレンタレット。

昔、ウィスキー蒸溜所では大麦を鳥やねずみから守るために猫を飼うことがあったそうだ。これをウィスキーキャットと呼んだ。グレンタレット蒸溜所が飼っていた三毛猫の「タウザー」ちゃん(1963-1987)は、通算で28,899匹のねずみを仕留めたとかで、ギネスブックにも載っているようだ。彼女は“ウィスキーキャット”として素晴らしい役割をはたしたので、銅像にもなっている。

グレンタレット1994 20年熟成 ラベルには「タウザー」

【評価】
グラスから立ち上るのは、さわやかで馥郁たる甘み。新緑に包まれて吹き抜ける風が涼しい。ツンとしたところがなく優しい。
口に含む。銅のやかんから、水蒸気がでる。アップライトピアノの楽しい伴奏と、ガラス窓を揺らす外の風。
軽快でこじんまりとしているが、楽しい。

【Kawasaki Point】
89point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Glenturret 1994 20yo(グレンタレット 1994 20年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ウィスキーキャットが描かれたラベル
実際のタウザーはふさふさした毛の三毛猫だったようだけど


新緑に包まれて吹き抜ける風が涼しい

軽快でこじんまりとしているが、楽しい



グレンタレット蒸溜所を地図でも確かめてみて。かなり寄りにしている。「+」や「-」で動かすことができ、クローズアップして空気の美味しそうなのどかな田舎の風景が見られたり、引きにしてイギリスのどのあたりに位置しているのかというのも見られる。





レビュー:響17年 工芸品のようでありながらも・・・

響17年熟成(Hibiki 17yo)を飲んだ。93点。
「響」は、ジャパニーズを代表するブレンデッド・ウィスキーのブランドのひとつだろう。
17年はどのような香味だろうか。

響17年

【評価】
グラスを軽く揺らせば、むせる程の春の香り。花々の美しい畑。ミツバチが飛び、蜜を集めるのに必死。天気が良い。ふかふかのベッドでここちよく昼寝。奥行きのある香り。
グラスを少し上げて、ウィスキーを口に含んでみる。香りそのままの世界観に飛び込む。キャンバス地のスニーカーで歩き回ろう。心地よく感じるリズムは、華やかな香りのリフレインが生み出している。しっかりとした重みが与えられているせいで、余韻は長く続く。
工芸品のようでありながらも、さりげなく、自然を感じるウィスキー。

【Kawasaki Point】
93point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:響17年熟成(Hibiki 17yo)
地域:Japan 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ボトルキャップにも「響」の書が刻印されている

カクカクしたボトル。24面。

ジャパニーズを強く意識したラベルは和紙。

花々の美しい畑。ミツバチが飛び・・・

ロックスタイルでも。(香り生きている)

工芸品のようでありながらも、さりげなく自然を感じる