レビュー:タリスカー 10年 銅で出来た小さなオブジェ

TALISKER 10yo(タリスカー 10年熟成)を飲んだ。83点。
人口1万人程度のスカイ島でつくられるウィスキー。夏の最高気温も15℃程度で霧の多い島のようだ。
さてはて、そんな島で作られるウィスキーの香味やいかに。

タリスカー10年熟成

【評価】
グラスに鼻を近づければ、積んだ干草、秋の夜空。牡蠣の香り。隣の家の女性が庭で日記を焼いている。
グラスを傾け口に含めば、ソフトに入ってくる。目が慣れて細かい星までよく見える。穏やかな秋の夜風を感じる。
手の温もりが感じられる銅で出来た小さなオブジェのようなウィスキー。

【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:TALISKER 10yo(タリスカー 10年熟成)
地域:Islands, アイランズ
樽:Oak,  オーク,
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


スカイ島で唯一の蒸溜所 タリスカー

スカイ島はこんな形

秋の夜空。牡蠣の香り。

穏やかな秋の夜風を感じる


タリスカー蒸溜所の位置を地図で確かめてみて。山と港と湖の多い島。




レビュー:グレンモーレンジ マディラウッドフィニッシュ 休日の午後の・・・

Glenmorangie Madeira Wood Finish(グレンモーレンジ マディラ・ウッド・フィニッシュ)を飲んだ。85点。
この「フィニッシュ」というのは、「熟成期間の最後の方にこの樽で熟成して仕上げました」という意味だ。つまりこのマディラ・ウッド・フィニッシュは、「熟成期間の最後の方、マディラワインの樽で熟成させて仕上げたものです」という意味だ。
マディラワインは、ポルトガルで作られる酒で、シェリーやポートワインと並んで三大酒精強化ワインと呼ばれている。酒精強化というのは、アルコールを添加して度数を引き上げた、という意味である。酒精・・・、昔はアルコールに火がつく現象は、酒の精(=スピリッツ)が起こしているものと考えられていた。
さてはて、このボトルの香味やいかに。

グレンモーレンジ マディラウッドフィニッシュ

【評価】
グラスに鼻を近づけてそっと息を吸い込めば、バラの花びらを撒いて、アルコールランプに火を灯す。バラのお風呂に浸かりながら、深く息を吸い込む。深くリラックスする。
口に含めば、まるでローズウォーター。山で湧く清水のような。ほんのり甘くてふくよかな香り。
休日の午後のリフレッシュ。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:Glenmorangie Madeira Wood Finish(グレンモーレンジ マディラ・ウッド・フィニッシュ)
地域:Highland, ハイランド
樽:American Oak, Madeira Wood finish, オーク, マディラウッドフィニッシュ
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル





マディラウッドフィニッシュについての説明

バラの花びらを撒いて、アルコールランプに火を灯す

ローズウォーター。山で湧く清水のような。

休日の午後のリフレッシュ





レビュー:グレンリベット18年 複雑さを極めたこの甘み・・・

The Glenlivet 18yo(グレンリベット 18年熟成)を飲んだ。85点。
前回のグレンリベット12年熟成に続いて。ちなみにこのように同じ銘柄のウィスキーを熟成年数だけ変えて飲むことを「垂直飲み」(vertical tasting)と言ったりする。その香りの違いを愉しむ。
さてはて、18年熟成の香味やいかに。

グレンリベット18年熟成

【評価】
グラスに鼻を近づければ、複雑さを極めたこの甘みよ。チョコレートのようであり木苺のようであり、深夜の始まりのようであり、夜明け前であるような。こころをほぐす香り。
口に含めば、上品な香水がひとすじ垂れてきて、香りが味わいに変わる。プレッツェルの小麦感。
香水は過ぎ去って行くが味わいも不思議と残して行く、そういったウィスキー。
土から湧き出る春の雰囲気。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:The Glenlivet 18yo(グレンリベット 18年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


複雑さを極めたこの甘みよ。


深夜の始まりのようであり、夜明け前であるような。


土から湧き出る春の雰囲気。





レビュー:グレンリベット12年 褪せた色濃い発色の・・・

The Glenlivet 12yo(グレンリベット 12年熟成)を飲んだ。79点。
このグレンリベットはスコットランド政府初の公認蒸留所として有名だ(もともとウィスキーは政府から隠れてつくる密造酒だったのだ)。設立者のジョージ・スミスは他の密造者から「裏切り者」と呼ばれ命を狙われたので、護身用の銃を持ち歩いていたとか。その後に多くの蒸留所が「政府公認」になっていくのだが・・・。
その当時から売れ筋シングルモルトであったのだろう、他の蒸留所が勝手に「グレンリベット」を名乗るので、「ザ」をつけて、「ザ・グレンリベット」と名乗り始めたという経緯がある(ここでいう"The"は、“元祖”とか“本当の”といった意味)。
さてはて、その香味はいかに。
ザ・グレンリベット 12年熟成
【評価】
グラスから立ち上る香りは、ほわっと幅広に広がる。若くて滑らかだが、トゲもある。あまい月光の雫のよう。
口に含めば、刈った下草、ホワイトペッパー、夏の夜風。なめらかだが抜けていく、淡い期待と夢の香り。
褪せた色濃い発色の古い映画のワンシーンのようなウィスキー。

【Kawasaki Point】
79point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:The Glenlivet 12yo(グレンリベット 12年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ジョージ・スミスと、彼の末息子のジョージ・ゴードン・スミスの名が
ボトルキャップに記載されている

1824年設立

THE GLENLIVET


「ジョージ・スミス」のサイン

褪せた色濃い発色の古い映画のワンシーンのような

グレンリベット蒸留所の位置を地図で確かめてみて。






レビュー:スプリングバンク 10年 輝きながら絡まるような

SPRINGBANK 10yo(スプリングバンク 10年熟成)を飲んだ。85点。
昔は多くのウィスキー蒸留所でひしめいたキャンベルタウンという港町で、今も現役でつくられるウィスキーだ。かつてその港町には100を超える蒸留所があったと言われるが、今ではいくつか、数えるほど。淘汰されていく蒸留所もあれば、このスプリングバンクのように生き残る蒸留所もある。
さてはて、このボトルの香味やいかに?

スプリングバンク 10年熟成

【評価】
グラスを傾け鼻を近づければ、柔らかくも主張の強いピート、奥で支える旨みの複雑さはチーズのようで。アプリコットと枝。これぞスコッチという香り。
口に含めば、塩気が柔らかくピートと溶けていく。しかしすべてがつかめるような単純さはなく、それはまるで奥が深くて暗い洞窟を眺めているよう。あさっりしているのに優しい。くどくないピートが、音と音が輝きながら絡まるようなピアノのようにポロポロこぼれていく。鼻から抜ける熱気。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:SPRINGBANK 10yo(スプリングバンク 10年熟成)
地域:Campbeltown, キャンベルタウン
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル



1828創業

柔らかくも主張の強いピート、奥で支える旨みの複雑さ

モルトの香水と呼ばれる

すべてがつかめるような単純さはなく




スプリングバンク蒸留所はキャンベルタウンという港町にある。地図で確かめてみて。




レビュー:ハイランドパーク 18年 ほどよい煙たさとのどごし

HIGHLAND PARK 18yo(ハイランドパーク 18年熟成)を飲んだ。85点。
かなりの定番モルト。さてはてその香味やいかに。

ハイランドパーク18年熟成 ボトルは開けたて

【評価】
グラスに鼻を近づければ、すっきりとした森の香り。柑橘、杏子。夏の池。爽やかでありながら渋い。ホッと落ち着くような。
口に含めば、ころころと舌の先にパウダーシュガーのまぶしてある小さなお菓子が転がる。焦がした樽。バランスのとれた正十四面体。
深すぎず浅すぎず、熱すぎず冷たすぎず、ほどよい煙たさとのどごしのウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:HIGHLAND PARK 18yo(ハイランドパーク 18年熟成)
地域:Islands, アイランズ
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


1798年創業

ハイランドパークのロゴ

爽やかでありながら渋い。ホッと落ち着くような。

ほどよい煙たさとのどごしのウィスキー


イギリスの中でもかなり北の方にあるオークニー諸島のメインランド島。
ここにハイランドパーク蒸留所は位置している。地図を拡大して確かめてみて。