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なぜウィスキーは最初から美味いと思えないか? 後編

なぜウィスキーは最初から美味いと思えないか? 前編からの続き。
前編では、人には「経験値を重ねウィスキーを好きになる臨界点」があり、それは「アクワイアード・テイスト(後天的な味覚)」と呼ばれていることを紹介した。
後編ではさらに掘り下げて、人がいかに「アクワイアード・テイスト」を獲得するか、そしてウィスキーを好きになるためにはどのようにすれば良いかを紹介する。「ウィスキーを好きになるメカニズム」について書かれた文章はほとんど見当たらないから、この記事はボリュームを持たせた。

ウィスキーはいかに人を魅了するか
いかにアクワイアード・テイスト(=後天的な味覚)は育つのか。
まだ味覚が育っていない子供の頃を考えてみるとわかりやすい。

子供にとっての味覚とは

実は人間には先天的な味覚も存在する。子供の頃、文句なしに「うまい!」と感じるのは、「甘み」と「塩み」だ。「甘み」は「エネルギー源」を意味している。糖のエネルギーがなければ人間は生きていけない。また、「塩み」も同様に生命維持に不可欠だ。
子供の味覚にとって「苦味」が意味しているのは「毒」だ。判断力のないうちは苦味は拒否することが生きるために必要なことだ。また、「酸味」が意味しているのは「腐敗」で、これも拒否したほうが得策なのだ。
だからお父さんのビールを一口飲まされた子供は「大人はなぜこの茶色い液体を嬉しがるのか分からない」と心の底から思う。だってそれは子供の味覚にとっての「毒」だから。


食するものによって味覚が発達する

甘いものだけでは栄養が偏る。子供の成長とは、甘み以外の経験を重ねることだ。
そして下記の3つの要素で「アクワイアード・テイスト」は育つ。
  • 頻度
  • 関連情報の豊富さ

これはまさにウィスキーを旨いと思うようになるプロセスと同じなので、ひとつずつ解説していこう。

経験の頻度を増す

その味を経験する頻度が高ければ高いほど、つまり回数も多ければ多いほど、その味に対する感受性が深くなる。これは私がウィスキーを最初50杯飲むまでは美味いと感じず、その後に「美味いかも!」と感じ始めたことと同じだ。コーヒーに砂糖やミルクを入れないと美味いと感じなかったのに、いつしか砂糖の量が減り、ミルクなしになり、ブラックでも美味いと感じるようになるのは、コーヒーの経験頻度が多くなり、その味の繊細さが知覚出来るようになったからだ。

経験の幅が拡がる

ある種の味の経験の幅が大きければ大きいほど、アクワイアード・テイストは開発されていく。ビールの飲み始めに、アサヒもキリンもサッポロもサントリーもないが、同じビールの中で幅をもって経験していくと、これらの違いに気がつけるようになる。最初は普通のビールと黒ビールの違いに気がつくようになる。その後に、ホップを利かせたビールと、ドライなビールの違いに気がつくようになるだろう。むろん、A~Bまでの狭い経験よりも、より幅広くA~Zまで経験したほうが、深く味わいを獲得できる。


関連情報の豊富さ

実はここが最大のミソで、「関連情報」により味覚は変化する。
中の液体の色が分からないようにした黒いグラスで、味を確かめることを「ブラインド・テイスティング」と言うが、これでは本当の「味」は分からない。色も味に影響するからだ。(※ブラインド・テイスティングは特殊な遊び、またはブランド名に左右されない特殊な審査に使用する)
嗅覚と味覚以外は、味に関係ないのでは?と思うだろう。実際には、視覚情報も味に関係する。青く着色した肉は、不味く感じてしまう。実際にレモン果汁はほとんど入っていないのに、黄色く着色された液体は、その味わいに「レモン感」が増されて感じられる。
また、視覚だけでなく、口にするウィスキーの味や香りについての情報も味わいに影響する。ウィスキーに薬の味がすることや、フルーツの香り、蜂蜜の香り、バターの香りなどがする、という情報があれば、味の感じ方が違ってくる。


味わいと記憶

ところで、なぜ関連情報でウィスキーの味わいが違うか?
それは、味わいとは、味に関する記憶だからだ。それこそが「アクワイアード・テイスト」の正体だ。
例えば、子供の頃分からなかった「酸味」がうまく感じられるのは、腐敗ではなく、「醗酵」という自然作用の恩恵を知り、記憶するからだ。「この酸っぱさは、よい酸っぱさだ!」と。「煙たさ」がうまく感じられるのは、火を使い肉や野菜が美味くなることを知るから。バーベキューの美味さは、あの煙たさと共に記憶されている。だから、ウィスキーの煙たさに出会ったとき、その記憶を引っ張り出して「美味さ」として知覚できるようになる。「ムムッ、この煙たさはおいしさの証だ!私にはこの経験があるゾ!」と。


ウィスキーの“香り探し”

数百種の香りの複合体であるウィスキーは、まさにアクワイアード・テイストのかたまりだ。
しかし、はじめてウィスキーに出会ったとき、その香りがあまりに多すぎて、面食らってしまう。ひとつずつの味わいの記憶をうまく引っ張ってこれない。「そんなにいっぺんに言われてもよく分からないよ」状態になる。だから最初、ウィスキーは美味いと思えない。香りの情報量が多すぎるのだ。
では、どうすればよりウィスキーの美味さに気づけるか?
それには、「ウィスキーの香り探し」をしてほしい。ウィスキーはただ漫然と飲むのではなく、その香りの要素をさがしながら飲むことが重要だ。そのための補助として、ウィスキーのテイスティング・コメントがある。このテイスティング・コメントを参考にしながら「ウィスキーの香り探し」をする。
「バナナの香りか・・・うん、確かにそんな香りがするな。。潮の香りもするのか?どれどれ。ほー、そういわれりゃそうだ」などと、ひとつずつ香りを探して、確かめてほしい。
そうするとあなたの脳が「おや、確かにこの香りは前にも味わったことがあるぞ。これはいいという記憶があるゾ。とすると、このウィスキーは、いいものがたくさん詰まった液体だ!」と認識できるようになる。果ては「この香りのハーモニーは、アートだ!」とすら感じるようになる。

これがウィスキーというアクワイアード・テイストの獲得の仕方の最大のコツだ。
(このようにウィスキーとは、あなたの経験を映し出す酒だ。)


最後のまとめ

Q. なぜウィスキーは最初から美味いと思えないのか?
A. 後天的に獲得される「大人の味」(アクワイアード・テイスト)だから。

Q. どうしたらウィスキーが美味いと思えるようになるか?
A. ひとことで言えば「経験値を上げる」こと。
  次の3ステップを踏むと良い。

  STEP1. ちょくちょく飲んでみる(量ではない、頻度だ)
  STEP2. 多くの種類を試してみる(タイプの違うウィスキーを)
  STEP3. テイスティング・コメントを参考に「香りさがし」をする(これが最大のコツ)



この記事をきっかけに多くの人がウィスキーを愉しむことを願っています。
今宵も、良いウィスキー・ライフを。



なぜウィスキーは最初から美味いと思えないか? 前編

ウィスキーの飲み手としての大人(おとな)

二十歳(はたち)の誕生日にウィスキーを飲んだとして、それを美味いと感じることはないだろう。
法律上は大人でも、ウィスキーの飲み手としては、まだ大人とはいえない。

なぜウィスキーは最初から、うまい!と思えないのか?
言い換えれば、最初の内、ウィスキーがはまずいと感じられるのはなぜか?
ある時点まで「まずかった」ウィスキーが、ある時点から「うまく」感じるようになる。その時点はいつくるのか?

琥珀色の魅惑の液体、ウィスキー

ウィスキーの臨界点

私の場合は、ウィスキーなんて最初の50杯ぐらいは美味いと感じなかった。なんとなく、憧れで飲んでいた酒だ。ジャーキーをつまみながら、ジャックダニエルをロックで、そう言うとカッコよい。木のカウンターの焼肉屋さんで、そうですね、白州をロックで、そういうとなんだか大人な感じがした。けれども味はわからなかった。強めのチビチビやる酒だ、ぐらいに思っていた。
ある時点で「あれ、これって美味いかも」と思い始めて今に到る。今にして思えば、どのように味わえばよいか、ウィスキーってそもそもどんな酒か、そんな情報がもっとあれば50杯も飲まずに済んだのではと思うので、そんな人のために、このブログを始めたわけだ。

さて、誰にでも私が経験した最初の50杯のように、「経験値を重ねウィスキーを好きになる臨界点」がある。その臨界点より前までは美味いと感じないのだ。
これを、
アクワイアード・テイスト Acquired Taste = 後天的な味覚
と呼ぶ。
ネット上の多くの記事では、ここまでの説明で終わっているだろう。でも、ここからがポイントだ。
割と一般的な「アクワイアード・テイスト」には、何があるだろう?

  • わさび
  • サザエのにがいところ
  • コーヒー
  • ビール
  • シガー
  • 納豆
  • チーズ
  • 坦々麺
  • 本格カレー
  • キムチ
  • さば寿司
  • 燻製全般
  • ドリアン

こう並べると「あ~なるほどぉ」な感覚があるのではないだろうか。
味覚で説明すると、「酸味」「辛み」「苦味」「煙たさ」が代表的なアクワイアード・テイストだ。
もちろんあなたにも経験があるだろう。


では、人はどのようにしてこのアクワイアード・テイストを獲得するのだろうか?
そこにウィスキーを好きになるメカニズムのヒントがあるのではないだろうか?
それは後編に続く


ウィスキーを飲むなら休肝日は必要か?

ウィスキーを好きで、健康が大切なら、「休肝日」について考えたことがあるかもしれない。

なんせアルコールは魅惑的だ。
飲みたいという誘惑と、生きたいという欲望、天秤にかければ結論は「飲みすぎは良くない」ということになる。あるいは「死ぬときゃ死ぬ」と考えを放棄するか。どちらも実際の健康には役に立たない決意だ。
具体的にどうするのがよいのだろうか?

休肝日の必要性

「休肝日」は必要なのだろうか?答えは、ノーだ。
実は休肝日があるかないかは、その人の健康と関係がない。アルコールはどこまでいっても「摂取量」がポイントだ。飲まない日をいくらつくっても、飲む日にたくさん飲むと死亡リスクが高まる。
では飲む量はどの程度が健康リスクが低いのだろうか?
ウィスキーのストレートでは、1日当たり2~4杯までが健康リスクが低いレベルだ。
当然ながら適量は個人差があるが、それはこの記事では言及できない。では、自らの身体の「NGサイン」にどうすれば気がつけるのだろう?


身体のNGサイン

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、パンクしてから自覚症状が現れ、そのときにはすでに遅いから要注意だ。もっと前に気づける身体のNGサインは、二日酔い(アルコールの消化が追いつかない)、けだるさ、それから「アルコールを欲する精神状態」だ。もしあなたが平気で2日間(48時間)禁酒できなければアルコールへの依存度が黄色信号だ。そろそろ量を減らしたほうがいい。

ちなみに筆者はいずれのNGサインもないが、実は「飲まない日」を意図的につくっている。最初に言ったことと違う!と思われるかもしれないが、理由があるので、あと少し読んでほしい。


それでも休肝日があった方が良い理由

アルコールの摂取量こそ大切で、飲む日飲まない日はたいした問題ではない。それでも筆者は週に2日間の休肝日をつくっている。ただ、正確には休肝日ではなく、休脳日なのだ。どういうことか?
実はアルコールは眠りを浅くする。すると、寝ている間の修復機能(各種ホルモンの分泌量)が弱まる。
だから、寝酒を避けること。一番いいのは、その日飲まないこと。
肝臓の強い弱いはかなり個人差があるが、アルコールが睡眠の妨げとなることは100%立証されている。
だから、休肝日ではなく、休脳日として「飲まない日」をつくるのがよいのだ。


ウィスキーと休肝日のまとめ

  1. 休肝日のあるないはさほど重要ではない
  2. むしろアルコールの摂取量こそ大事。ストレートなら日2~4杯にとどめるべき
  3. 身体のNGサインは見逃さない(二日酔い、けだるさ、アルコールを欲する精神状態)
  4. 睡眠(脳の修復機能)のため「飲まない日」はつくる方がよい



以上を頭の中に、あなたもよいウィスキー・ライフを。


生命の水と呼ばれるウィスキーは、スマートに飲みたい酒。


ウィスキーの3回蒸留とは何か。それがどうだって言うんだろう。


ときどきウィスキーを飲む際、「このウィスキーは3回蒸留なんですよ」なんて薦められたりする。

蒸留を3回するとは何か。一体それが何のメリットがあるのか。
端的に言えば、蒸留回数の違いは、味と香りの違い。3回蒸留は2回蒸留よりまろやかだ。

ちなみになぜその違いが生まれるか?

3回蒸留するという作業を分かりやすく説明する。

最初の蒸留

まず、麦を原料にアルコールを取り出す。
発芽させた麦をお湯でぐるぐるかき混ぜ、白くてドロドロの「もろみ」と呼ばれるビールの原料みたいなものにする。酵素と酵母の働きで、麦からアルコールを含んだ「もろみ」が作られるわけだ。ドロドロの「もろみ」をぐつぐつ焚いて、その蒸発したものを冷やして液体にする(1回蒸留)。さらさらした液体になり、アルコールの度数が高くなる。

さらに蒸留

その液体をさらに蒸発させ液体にする(2回蒸留)

もいっちょ蒸留

2回蒸留した液体を、さらにもう一回蒸発させ液体にする(3回蒸留)



つまり、ドロドロの個性が強い麦の液体から、徐々に遠ざかって、純度が高くなっているいるイメージ。

蒸留する度、麦の香りや個性を徐々に‘捨てている’ともいえるし、
荒々しさを排して‘研ぎ澄ませている’ともいえる

ほとんどのウィスキーが2回蒸留だ。
だから3回蒸留というのは、わざわざ「3回蒸留ですよ」と言うほどのことなのだ。

何回蒸留か、なんて飲むときにはどうでもいいとも思うことだけれど、知っておけば香りと味の手がかりになるかも。
今日も、よいウィスキーライフを。




ウィスキーで虫歯になるか?

素朴な疑問がこころに引っかかったままだと、健康に良くないらしい。

ウィスキーで虫歯になるか?

この質問は、長生きのために重要だ。健康のため、おいしい飲食のためにも、歯は大切。
ウィスキーで虫歯になるか、つまり、
「歯磨きをした状態で、ウィスキーを飲んだあと、もう一度歯磨きせずに寝てもOKか」だ。
結論から言うと、OKだ。

楽しいウィスキーのために、健康は重要なテーマだ


ウィスキーでは虫歯にならない


ウィスキーで虫歯にはならない。
(歯磨きした状態で、ウィスキーを飲んでも、また歯磨きする必要はないのだ)
なぜなら、ウィスキーに含まれる糖分はほぼ0(ゼロ)だからだ。
いやいや何言ってるんだ、ウィスキーだって甘いのがあるじゃないか、と思われるかもしれない。
たしかにウィスキーには甘みを感じる。だがそれは糖分の甘みではないらしい。


蒸留酒だから虫歯にならない


対して、ビールやワインには糖分がかなり含まれていて、虫歯の危険性がある。
詳しくは「醸造酒と蒸留酒の違い」という話になる。簡単に言うと、ビール(醸造酒)を煮詰めて、蒸発した成分を凝縮すればウィスキー(蒸留酒)になる。ビールに含まれている糖分は蒸発せずそのまま捨てられる。この過程を蒸留という。ちなみに、ワインを煮詰めればブランデーを取り出せる。
(だいたい同じような過程で作られる、焼酎、ラム、ウォッカなどの蒸留酒も糖分がほぼない)
だからビールやワインと違ってウィスキーには糖分がほぼなく、虫歯の原因にはならない。


おつまみ食べたらもちろん虫歯の原因になる


もちろん、おつまみを食べたりすると、歯磨きが必要だ。特にウィスキーに合うおつまみはチョコレートやナッツなど、充分虫歯の原因となりやすいものが多いから注意が必要だ。


寝る前のアルコールは睡眠を浅くし、虫歯ができやすくなる


だからと言って、寝る直前に飲む「寝酒」は睡眠を浅くしてしまうのでオススメしない。
またアルコールだけを飲むと脱水症状を起こすので、チェイサー(水)と一緒に飲むことをオススメする。脱水症状が起こるとそれ自体良くないし、唾液も作りにくくなるので、虫歯になる可能性が高くなるのだ。それを防ぐためにもチェイサー(水)は重要だ。


ウィスキーと虫歯のまとめ


ウィスキーでは虫歯にならない。(当然ながら歯を磨いていることが前提)
おつまみ食べたら歯磨きを。
寝る前のアルコールは睡眠を浅くする。
飲む際にはチェイサー(水)は必須だ。




以上を胸に、よいウィスキーライフを。


ウィスキー初心者が初めてバーで注文するとき、知っておきたいこと(後編)

ウィスキー初心者が初めてバーで注文するとき、知っておきたいこと(前編)に続き、後編をお届けする。この記事は関心が高いみたいで、前編はすごいアクセス数だ。


Q. 飲みたいウィスキーの銘柄が決まりました。飲み方はどうしましょ?

飲み方はもちろん「ニート」にしてほしい。
ニート、というのがあまりに通っぽくてヤだなと思われる方は「ストレートで」とお願いしてみよう。きっと「度数が強いですが大丈夫ですか?」と聞いてくれるはずだ。あなたは、「少しずつ飲むので大丈夫」と答えてみよう。
尚、「チェイサーはいかがなさいますか」と尋ねられる場合がある。これは、「チェイサーは必要ですか?」という意味と、「チェイサーはお水ですか、ソーダですか」という意味が考えられる。チェイサーは水でもソーダでもいいが必ずもらおう。聞かれない場合は、後から勝手に出てくる。出てこなければ「チェイサーをください」と頼もう。

ただ、最初なので、もしどうしてもストレート(ニート)がキツくてだめそうな場合、ぎりぎりオン・ザ・ロックまでは認めよう。ウィスキーが徐々に薄まるので、段階的に香りを楽しめるだろう。(参考:ウィスキーの飲み方 オン・ザ・ロックは氷次第)ただし、あんまり氷をくるくると回し過ぎないように。急激に薄まってしまうのはNG.

ウィスキーを飲む際のチェイサーとは何か

チェイサーは、「追っかけ水」とか言われたりする。ウィスキーを飲んで、ときどきこのチェイサーの水かソーダを飲むと良い。ウィスキーのような度数の高い酒をストレートでガンガン飲むと、血中アルコール濃度が急上昇することもある。ちょくちょく水をはさみながら飲むと、身体に優しいのだ。二日酔いになりにくい。また、香りも都度リセットすることができ、一杯のウィスキーをなんども愉しめる。
※ときどきチェイサーにビールを指定する豪傑がいるが、酔いたいだけなのだろう。
※ロックや水割りのときにこのチェイサーを頼んでも何らかまわない。



Q. ウィスキーは何分ぐらいかけて飲めばいいですか?

初心者が犯しがちな間違いに、ウィスキーをぐびぐび飲んでしまうということがある。ペースは大切だ。一杯のウィスキーは通常20~30分かけて飲んでほしい。最初であればなおさらだ。あなたがもし普段から度数の強い酒をガンガンいくタイプならあまり心配はないが、普段はビールなど、アルコール度数が6~8%程度の酒をごくごく飲んでいる人なら、ウィスキーのような40~60%のアルコールの酒をつい同じ感覚で飲んでしまう心配がある。ウィスキーはちびちびやってほしい。特に最初はまず、香りを愉しむこと。でも、吸い込みすぎてはいけない。これもむせてしまうので、そっと鼻から香りを吸い込んでほしい。最初の一口は、舌でなめる程度で良い。つぎに、ほんの少量ふくむ。少量であればあるほどよい。何事も、徐々に増やしていくことが肝心だ。ときどきチェイサー(水)を飲んで、血中のアルコールを急激に増やすことを防止しよう。チェイサーはなくなれば注いでくれるので、一杯のウィスキーに一杯のチェイサーだなどと律儀に考えなくても良い。チェイサーはぐびぐび飲んでよい。


Q. ウィスキーを飲んでいる間、どうすればよいですか?

基本は黙って飲んでいれば良い。あなたがバーで黙ってウィスキーを愉しんでいれば、それは傍から見て「絵になっている」はず。手持ちぶさたに感じるかもしれないが、何もない一見無駄な時間を愉しむという感覚で良い。もし一杯のウィスキーに向き合えば、あなた自身は愉しむことで結構忙しいかもしれない。
もちろん、最初だということをバーテンダーに告げていれば「いかがですか」と感想を聞いてくれるだろう。これには正直に答えてよい。バーテンダーが次からあなたにウィスキーを薦める際、何を薦めるかの道しるべとなるからだ。バーテンダーはあなたの感想を必要としているし、そこからあなたが知りたいウィスキーのさまざまな情報を提供してくれるだろう。「このウィスキーはこんな香りがしませんか?」などと。あなたは、どれどれ、とまたもう一口飲んでみるだろう。「あ、確かに」と思いながら、あなたの香り体験は豊かになっていくに違いない。
ウィスキーは黙って飲んでもよし、誰かと語ってもよしなのだ。

タバコは吸ってよいですか?

構わない。バーで禁煙のところはほとんどないが、お店に確認すればOK。あなたがさりげなくタバコをカウンターに置いておけば、灰皿を出してくれるだろう。当然、まわりにやや配慮しながら。
ところでバーには、タバコどころか、葉巻を置いているところもある。それは凄く深い香りの世界だが、また別の機会に。


Q. ウィスキーを堪能しました。さて、どうやって帰ればよいですか?

ウィスキーを1~2杯堪能したところで、あなたが帰りたくなったとする。あとはお金を払って帰るだけだ。(もっと堪能しても良いけれど、酒の基本は“決して乱れず”だ。最初はスマートに帰るのがオススメ)
カウンターに座ったままで、バーテンダーの人に、帰る旨を告げよう。「美味しかったです、お会計おねがいします」でも良いし、「すみません、チェックお願いします」でも良いし、単に「ごちそうさまです」でも良いだろう。バーテンダーの人もあなたが初めての人なら明確に「お会計」「チェック」という言葉が合れば分かりやすい。
もしあなたがそのバーを気に入れば、お金を渡したときや、おつりをもらったときに、「またきます」と告げても良いだろう。

バーの会計「チャージ料」とは?

もし明細を渡してくれるバーなら、明細を見ると、「チャージ料」という項目で500~1500円ぐらいかかっているだろう(チャージが1500円もかかるところは高級ホテルとか、そんなイメージ。大体数百円なのでご安心を)。これは席料と考えよう。またバーでは頼まなくても、黙っておしぼりや、おつまみ(ナッツやピスタチオ、チョコレートなど)が出てくる。これらもチャージ料の中に含まれている。



Q. 帰る前にしておくことはありますか?

存分に愉しんでほしい。ただ、気に入ったウィスキーがあれば、なにかにメモすることをオススメする。ウィスキーの名前はだいたい地名で、覚えにくいカタカナが多い。せっかく気に入ったものがあるのであれば、次に飲むときの最初の一杯をそれにしてもいい。だから、覚えておけるようメモするのも手だ。


Q. 帰ったあとは?

楽しい酒を飲んだ、と記憶してほしい。もし楽しい酒を飲めたなら、このブログの記事を最低5人に熱烈に薦めてほしい。最後のは冗談だけど、きっとあなたは良いウィスキーデビューができるはずだ。
また、あなたがベテランなら、これらの記事をあなたが最初にバーでウィスキーを飲んだときのことを思い出して懐かしく思ってくれたに違いない。





ウィスキー初心者が初めてバーで注文するとき、知っておきたいこと(前編)

あのドキドキをもう一度

もし、あなたがこれまでバーでウィスキーを頼んだことがなければ、下記の記事が参考になる。もし、あなたが経験豊富な人なら、下記の記事は、はじめてのドキドキ感を思い出させてくれるだろう。

この記事は長めなので前後編に分かれている。この記事は前編。


Q. どのバーに行ったらいいですか?

一番最初に悩むのは、やはり店だろう。バー選びでは2つの方法がある。

バー選びその1: 信頼できる人に連れて行ってもらう

やはり先達というのはありがたいもので、初めての店に入るときに、誰かに連れて行ってもらうのが一番安心できる。もちろんゲストとして扱ってもらえるし、頼み方から、価格まで、分かった人が隣に居るのはその人の見よう見まねができ、大変に心強いものだ。

バー選びその2: インターネットで検索しておく

バーの重たい扉を開けなくとも、検索すればいい。おすすめの検索方法は、「ウィスキー バー ○○(地名)」での検索だ。お店のHPから、誰かのレビューまでさまざま引っかかる。そのバーの大体の価格帯、営業時間や、定休日などの情報は必須だ。また、気に入ればリピーターになるかもしれないので、できるかぎりウィスキーに力を入れていそうなバーを探り当てよう。
ちなみに「ここで異性を口説いてください」という感じのムーディーな色付き照明の空間のところは、たいていがお酒よりもおしゃべりのための場だ。もし自分ひとりで行っても、静かに座って飲む姿が想像できるインテリアのバーを選ぶと良い。
尚、バーは予約してもしなくても良いが、ほとんどその必要はない。バーに行列はできない。入れなければ、また今度。無駄足を避けるために、行く直前に席が空いているかどうか確認の電話をするといい。


Q. お店に着きました。どのウィスキーを選んだらいいですか?

ご注文は?と言われたとき、なんと言えばよいのだろう。ウィスキーを飲みたいのは確かなのだけど・・。
また、お店によってメニューがあったり、なかったり。どうすればよいだろうか。

注文するウィスキーの銘柄選びその1: 決まった銘柄を注文する

すでに決めている銘柄があるなら、「○○はありますか」と頼んでみよう。
できれば年数も告げよう。「○○の○年をください」と。もしかしたらそのバーにはその銘柄は置いていないかもしれない。銘柄はあっても、思う年数のものはないかもしれない。おそらくバーテンダーの方は「こういうものならあります」と代替案を提示してくれるはずだ。嫌いな銘柄でない限り、従ってみよう。


注文するウィスキーの銘柄選びその2: バーテンダーさんに相談する

もし銘柄が分からなくても、あせる事はない。およそ地球上のほとんどの人間は、ウィスキーの銘柄なんて知らない。ウィスキーの銘柄なんて、知っているほうが圧倒的に少数派だ。知らなくて当然の顔をしていればいいのだ。
「なにかウィスキーを飲みたいんですが、よく知らないんです。なにがオススメでしょうか?」のひと言で充分だ。もしこのひと言で、困った顔をするようなバーテンダーなら、その場で帰っても良い。まぁ席に座った以上、一杯だけ付き合ってあげるのも良し。ただ、ほとんどのバーテンダーは「わかりました。こういうのはいかがですか?」とか「最初でしたらこういったものは?」などと聞いてくれるだろう。デキるバーテンダーなら、他のお酒や料理などを引き合いに出してあなたの好みを探ろうとするだろう。心からウィスキーが好きなバーテンダーなら「ウィスキーファンをひとり増やせるかもしれない!」と目の奥が輝いているはずだ。
いずれにせよ、「私は初心者です」と腹を割り、バーテンダーさんとコミュニケーションをとることが肝要だ。もちろん、その際に、あなたの好みに関するできる限りの情報を提供しよう。

一杯いくら?

最初に「初心者です」と腹を割れば、高いものを薦められることはない。ただ、気をつけておかないと、候補の中から、自分で高いものを選んでしまう場合がある。目安となるのは年数だ。一般的に長熟のウィスキーは価格が高い。12年までのものにしよう。幅があるので何ともいえないが、1杯あたり800~2000円だろう。値段を聞くのは野暮じゃない。堂々と「これだと1杯いくらですか?」と聞けばよい。返ってきた答えがもし予算内なら「ではそれをください」と頼もう。


前編はここまで。気になる飲み方や、飲んでいる最中、立ち去り方など、後編は後日UPする。

ウィスキー初心者が初めてバーで注文するとき、知っておきたいこと(後編)



ウィスキーはカロリーを気にして飲むべきか?

美味しいお酒を愉しむとき、無視できないのが、そのカロリーだ。
気になるウィスキーのカロリーはいかほどであろうか?

ウィスキーのカロリーは、一杯(30ml)でおよそ70~100kcalだ。
実はウィスキーのカロリーは、含まれるアルコールのカロリーとイコールなのだ。


これは多いのか、少ないのか。
成人の一日の摂取カロリーはおおよそ1800~2200kcalだから、その3~6%程度である。
1日あたり1~2杯のウィスキーを飲んでも、大したことないが、5~6杯となると、1日のカロリー量に充分な影響を与えてしまう。ただこうなると、ウィスキーの場合、カロリーよりもアルコールに気をつけなければならない。アルコールの話はまた、別の機会に。

タイトルの「ウィスキーはカロリーを気にして飲むべきか?」に答えよう。
NO. ウィスキーは特段カロリーを気にしなくていい。
むしろ健康への影響度で言えば、アルコール量に気をつけましょう。


尚、「ウィスキーのカロリーはアルコール由来のエンプティカロリーだから太らない」というのは俗説で、人類の儚い願い。たくさんとれば太るのがカロリーだ。


【ご参考まで】
以下、ウィスキーのカロリー算出の計算式。
アルコール1gのカロリーは7kcal
アルコールの比重はおよそ0.8
アルコール度数が40%のウィスキーであれば、下記の計算式。
30ml × 40% × 0.8(比重) × 7kcal = 67kcal
もし、かなり度数高めのウィスキーでアルコール度数が60%であれば、100kcalの計算だ。





ウィスキーのシングル・モルトとは何か?

シングル・モルトとは何か?
ウィスキーを飲み始めると、まずぶつかるギモンだ。

科学的にいうと、、、
それは、ある蒸留所で大麦麦芽100%でつくられたウィスキーをボトリングしたものだ。
そのボトルの中には、他の蒸留所のウィスキーは混ざってないし、大麦以外の穀物も使っていない。
ついでに、いわゆるスコッチ・ウィスキーの蒸留所は100を超えると言われている。
(参考:wikipedia スコッチ・ウイスキーの蒸留所一覧


こういう説明は「なるほどそうか」と分かりやすいけれど、なんだか味気ない。
でもウィスキーはここに“人間”が混じってくるからおもしろい。どの蒸留所にも、“個性”があるのだ。

ただ、ウィスキーのつくり方は世界共通だ。
大麦をあれこれして、糖分を取り出して、2、3回蒸留して、樽につめて、寝かせて・・・というプロセスだ。
けれども、どの蒸留所でも、やり方や器具が微妙に違っていて、それが味に影響を与えるとされている。

また、樽で寝かせている、まさにその場所も、味に大きく影響する。
簡単に言えば、海沿いの蒸留所で寝かされたウィスキーは、潮っぽい香りがつく。
数年、数十年という時を経て不思議とそうなる。

だから、やり方や環境はとても大切だ。
長い年月を経て、ウィスキーはその蒸留所が考える味や香りが体現される。

こう考えると、ウィスキーはまるで人間みたいではないか。


では、最初のギモンに戻ろう。
シングル・モルトとはなにか?


それは結局、その蒸留所の個性なのだ。
数十年後を夢見ながら、これが美味いウィスキーをつくるやり方だと信じてやりきった人たちの結果である。だからシングル・モルトとは、そういった人々の願いが個性となり、それを瓶詰めして、目の前に届けられた、ひとつの“物語”のようなものだ。

どうかあなたがシングル・モルトを頼むときには、それが個性であり、物語であると知っていてほしい。

シングルモルトとは、個性であり、物語だ。



ウィスキーの飲み方 オン・ザ・ロックは氷次第

ウィスキーの飲み方はニート(ストレート)が一番だ。
ほかの飲み方はすべてデメリットがあるため、やめたほうがいい。
(参照:ウィスキーの飲み方は、ニートで

というのが私の基本姿勢だが、そんな私がなぜオン・ザ・ロックにもこだわりを持つのか?
それはオン・ザ・ロックが、とてもカッコいい飲み方だからだ。

琥珀色のウィスキーの中に浮かんだ氷の塊、その氷が放つ光。
ゆっくりとグラスを傾けると、光がさまざまに反射する。
少しずつ融けていく氷が、時間とともに味と香りをグラデーションする。

飲み終わると、氷の塊はすこし小さくなっている。
手につかんだグラスを回すと、氷がグラスにぶつかってキレイで涼しい音を立てる。

透明な氷のオン・ザ・ロック


まさにオン・ザ・ロックは、照明が薄暗いバーでこそ生きる洒落た飲み方だ。
(ちなみに、季節は夏が一番だ。まだクーラーがなかった時代の紳士の飲み物のイメージ)

ただ、気をつけてほしい。
オン・ザ・ロックは、とてもダサくなりがちな飲み方でもある。

そのポイントは、氷の質だ。
もしあなたがオン・ザ・ロックを頼んで、業務用冷蔵庫で作ったような気泡だらけの氷で出てきたなら、そのバーでは二度とオン・ザ・ロックを頼んではいけない。最低限、氷は透明でなければならない。
それも、「オン・ザ・ロックス」ではなく「オン・ザ・ロック」の形でなければならない。
もしグラスの中に2つ以上の氷が入っていたなら、失格だ。
グラスの中の氷はただひとつ、大きな塊が入っていなければならない。

これらのこだわりには、もちろん根拠がある。
一杯のウィスキーを愉しむ最適な時間は15~30分だ。その時間をかけて、ゆっくりと融けていく氷が最低限オン・ザ・ロックの礼儀なのだ。そのためには、氷屋さんで作った氷でなければならず、バーはコストをかけなければならない。

オン・ザ・ロックは、冷えていればいいというものじゃない。
もし冷凍庫から出てきた氷が何個か適当に入っていたら、すぐ溶けて、何を味わっているのか分からないままにそのウィスキーを飲み干さなければならなくなる。これはつくり手に失礼な飲み方だ。

とにかく氷の質で判断してほしい。
氷の質にこだわるバーでは、溶けにくいように表面積が小さくなるカットがされているだろう。球体になっていたり、ダイヤモンドカットだったり。

それらの氷の工夫を眺めることも、オン・ザ・ロックの魅力だ。
ともかく、オン・ザ・ロックは氷にこだわってほしい。




竹鶴の夢 余市蒸留所紹介ムービー

余市蒸留所の紹介ムービーを見つけた。
日本で初めてウィスキーを作ったのは竹鶴政孝(たけつるまさたか)だ。彼が単身スコットランド留学をした2年間がなければ、今のジャパニーズウィスキーはない。

その竹鶴政孝の紹介と、彼を知る人々のインタビュー、余市蒸留所の現場の映像が観られる。石炭直火蒸留はもちろん、スコットランドから表彰された樽職人や、貯蔵庫の職人の様子が映像で紹介されている。結構貴重だと思う。
また、次の若い世代にも職人の技術が継承されているのも窺える。

ところで余市には戦時中の、1945年の樽があり、どんなときもウィスキーを造り続けた竹鶴の熱さが偲べるそうだ。







ウィスキーの“オフィシャルボトル”の意味とは?

ウィスキー初心者がつまづきやすいポイントのひとつが「オフィシャルボトル」という言葉の意味がわからない、ということだ。「オフィシャルボトルと、それ以外のボトラーズボトルがあるようですが、どっちを飲んだらいいですか?」という質問もある。
これについて解説する。

最初に、「オフィシャル」という言葉のせいでよくある誤解を紹介しておく。
【誤解1】オフィシャル(公式)=本物
【誤解2】それ以外=ニセモノ、格下
この理解はウィスキーを語るときにはまったく違っていて、うっかりバーで口にすると恥ずかしいので、最初に注意しておかなければならない。


世に出ているウィスキーを2つに分けるとすると下のようになる。

世界に出回っているウィスキー = オフィシャルボトル + ボトラーズボトル
世界に出回っているウィスキーにはオフィシャルのボトルと、ボトラーズのボトルがある。あなたもこの2つの内、どちらかを飲んでいるはず。

オフィシャルボトルとはそのウィスキーを作っている蒸留所がつくったボトルのことだ。ディスティラリーボトルと呼ばれる(ディスティラリー=蒸留所)。(例:ボウモア蒸留所の作ったボウモア)
ボトラーズボトル(瓶詰め業者ボトル)とは蒸留所から樽を買った後に、あれこれして、ボトリング(瓶詰め)されて世に出たボトルのことだ。ボトラーズは、その樽を寝かせたり、他の樽に詰め替えたりして、「このウィスキー、いい感じになったぜ」と思ったときに世に出している。

だから同じ銘柄のウィスキーでも、オフィシャルもあれば、ボトラーズもある。
(例:ボウモアのオフィシャル、ボウモアのボトラーズ)

「では、同じ銘柄ではどちらを飲めばよいですか?」という質問に答える。
ずばり、好みだ

上の質問を、他のもので言い換えると分かりやすい。
オフィシャルかボトラーズかは、「肉屋さんの作ったハンバーグ」か「ハンバーグ屋さんの作ったハンバーグ」か、みたいなことなのだ。例えば松阪牛を売っている肉屋さんの作ったハンバーグを、“松阪牛オフィシャルハンバーグ”と呼んで、料理屋さんの作ったハンバーグを、“松阪牛の料理屋ハンバーグ”と呼んでいるようなもの。どちらがおいしいか?と言われれば、好みであるとしか答えようがないレベルのものだ。

オフィシャル、つまりディスティラリー(蒸留所)は「俺らが一番美味い。この香り、味が、このウィスキー」と思ってるだろうし、ボトラーズも当然「ディスティラリーが出すそのままより美味しいし、この方が個性が引き立つし、面白いだろ。俺こそがこのウィスキーの魅力を教えてやるよ」と思っていることだろう。



つまり、我々がウィスキーを飲むにあたっては、オフィシャルも、ボトラーズも大歓迎なのだ。

どちらを飲めば良いかなどと心配することなく、そのウィスキーが何であるか認識して、ただ飲めばよい。何を飲んだかさえ分かっていれば、もう一度頼むときにスムーズだからだ。