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レビュー:宮城峡10年 花束を抱えた誰か・・・

宮城峡10年(Miyagikyo 10yo)を飲んだ。85点。
宮城峡(みやぎきょう)は日本を代表するシングルモルト・ウィスキーのひとつと言われるが、山崎や白州、そして余市などと比較するとあまり知られていない。ブレンデッド・モルトの「竹鶴」という銘柄があるが、これは余市と宮城峡のブレンドである。宮城峡は知らなくても竹鶴は知っている、という人なら多いかもしれない。
(参考:シングルモルトと、ブレンデッドウィスキーの違いとは?

さて、その香味やいかに。

宮城峡10年

【評価】
グラスから立ち上る香りは、ぬっとりとした麦の香りの奥に、花束を抱えた誰かがいるように感じられる。顔は見えないが花をこちらに向けてくれている。情熱を秘めているのに甘く華やか。
グラスを傾け口に含めば、軽くてしっとり。だが長い余韻が爽やかで、幅広く、力強く続く。
それはまるで夏のようであり冬のようであり、春のようであり秋のようである。さまざまな表情を持った秀逸な一杯。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:宮城峡10年(Miyagikyo 10yo)
地域:Japan, 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

シングルモルト・ウィスキー

「宮城峡」の書

花束を抱えた誰かがいるように感じられる


杜の都、仙台市に位置する「宮城峡蒸溜所」の場所を地図で確かめてほしい。





レビュー:ポートシャーロット 2001 11年 噛み締めながら・・・

PORT CHARLOTTE 2001 11yo Acorn's Natural Malt Selection(エイコーンのナチュラル・モルト・セレクション ポートシャーロット 2001 11年熟成)を飲んだ。87点。


ポートシャーロット 2001 11年熟成

【評価】
グラスをそっと近づければ、鼻の下で松の葉を燃やしているかのようにストレートに上がってくる煙たさよ。黒炭、クヌギの木。嵐の近づいた海。
口に含めば、夏の花火の後のような充実感と寂寞よ。灰色の海と空。この煙たさのこの旨さよ。
噛み締めながら飲みたいウィスキー。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:PORT CHARLOTTE 2001 11yo (ポートシャーロット 2001 11年熟成)
地域:Islay, アイラ
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:Acorn(エイコーン)

2001年12月蒸留 2013年4月瓶詰め
11年間どんな夢を見たのか・・・

カスクストレングスの65.7度 噛み締めたくなるわけだ

黒炭、クヌギの木。

嵐の近づいた海。





レビュー:タリスカー 10年 銅で出来た小さなオブジェ

TALISKER 10yo(タリスカー 10年熟成)を飲んだ。83点。
人口1万人程度のスカイ島でつくられるウィスキー。夏の最高気温も15℃程度で霧の多い島のようだ。
さてはて、そんな島で作られるウィスキーの香味やいかに。

タリスカー10年熟成

【評価】
グラスに鼻を近づければ、積んだ干草、秋の夜空。牡蠣の香り。隣の家の女性が庭で日記を焼いている。
グラスを傾け口に含めば、ソフトに入ってくる。目が慣れて細かい星までよく見える。穏やかな秋の夜風を感じる。
手の温もりが感じられる銅で出来た小さなオブジェのようなウィスキー。

【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:TALISKER 10yo(タリスカー 10年熟成)
地域:Islands, アイランズ
樽:Oak,  オーク,
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


スカイ島で唯一の蒸溜所 タリスカー

スカイ島はこんな形

秋の夜空。牡蠣の香り。

穏やかな秋の夜風を感じる


タリスカー蒸溜所の位置を地図で確かめてみて。山と港と湖の多い島。




レビュー:グレンリベット12年 褪せた色濃い発色の・・・

The Glenlivet 12yo(グレンリベット 12年熟成)を飲んだ。79点。
このグレンリベットはスコットランド政府初の公認蒸留所として有名だ(もともとウィスキーは政府から隠れてつくる密造酒だったのだ)。設立者のジョージ・スミスは他の密造者から「裏切り者」と呼ばれ命を狙われたので、護身用の銃を持ち歩いていたとか。その後に多くの蒸留所が「政府公認」になっていくのだが・・・。
その当時から売れ筋シングルモルトであったのだろう、他の蒸留所が勝手に「グレンリベット」を名乗るので、「ザ」をつけて、「ザ・グレンリベット」と名乗り始めたという経緯がある(ここでいう"The"は、“元祖”とか“本当の”といった意味)。
さてはて、その香味はいかに。
ザ・グレンリベット 12年熟成
【評価】
グラスから立ち上る香りは、ほわっと幅広に広がる。若くて滑らかだが、トゲもある。あまい月光の雫のよう。
口に含めば、刈った下草、ホワイトペッパー、夏の夜風。なめらかだが抜けていく、淡い期待と夢の香り。
褪せた色濃い発色の古い映画のワンシーンのようなウィスキー。

【Kawasaki Point】
79point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:The Glenlivet 12yo(グレンリベット 12年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ジョージ・スミスと、彼の末息子のジョージ・ゴードン・スミスの名が
ボトルキャップに記載されている

1824年設立

THE GLENLIVET


「ジョージ・スミス」のサイン

褪せた色濃い発色の古い映画のワンシーンのような

グレンリベット蒸留所の位置を地図で確かめてみて。






レビュー:スプリングバンク 10年 輝きながら絡まるような

SPRINGBANK 10yo(スプリングバンク 10年熟成)を飲んだ。85点。
昔は多くのウィスキー蒸留所でひしめいたキャンベルタウンという港町で、今も現役でつくられるウィスキーだ。かつてその港町には100を超える蒸留所があったと言われるが、今ではいくつか、数えるほど。淘汰されていく蒸留所もあれば、このスプリングバンクのように生き残る蒸留所もある。
さてはて、このボトルの香味やいかに?

スプリングバンク 10年熟成

【評価】
グラスを傾け鼻を近づければ、柔らかくも主張の強いピート、奥で支える旨みの複雑さはチーズのようで。アプリコットと枝。これぞスコッチという香り。
口に含めば、塩気が柔らかくピートと溶けていく。しかしすべてがつかめるような単純さはなく、それはまるで奥が深くて暗い洞窟を眺めているよう。あさっりしているのに優しい。くどくないピートが、音と音が輝きながら絡まるようなピアノのようにポロポロこぼれていく。鼻から抜ける熱気。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:SPRINGBANK 10yo(スプリングバンク 10年熟成)
地域:Campbeltown, キャンベルタウン
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル



1828創業

柔らかくも主張の強いピート、奥で支える旨みの複雑さ

モルトの香水と呼ばれる

すべてがつかめるような単純さはなく




スプリングバンク蒸留所はキャンベルタウンという港町にある。地図で確かめてみて。




レビュー:グレンモーレンジ1981 10年 不安の入り混じる夜・・・

GLENMORANGIE 1981 10yo Natural Cask Strength(グレンモーレンジ 1981 10年熟成 ナチュラル・カスク・ストレングス)を飲んだ。87点。
もう30年以上も前の1981年に蒸留したグレンモーレンジ。10年寝かせて、樽出しのままボトリングしたのがこの一本だ。

グレンモーレンジ1981 10年熟成

【評価】
グラスから立ち上る香りをかげば、夜の岸辺で波面がわずかに揺れているのが分かる。すこしの光が反射しているが、それはほとんど闇を強調するだけ、不安の入り混じる夜に、果物の香りが薄く漂う。シンナー。
口に含めば、倉庫の錆びた鉄の扉をギィーっと開ける。埃っぽさと大きな空間。小さな木の丸テーブルが中にあり、ロウソク一本火が燈っており、照らされたリンゴ、オレンジ、それからバナナ。
夜の潮風が少し肌寒い港。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:GLENMORANGIE 1981 10yo Natural Cask Strength(グレンモーレンジ 1981 10年熟成 ナチュラル・カスク・ストレングス)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル



Natural Cask Strength 樽出しそのまま、という意味


真ん中の写真は当時の蒸留所の風景だろうか




表の左上は熟成年 1981/3/3

表の右上はボトリング年 1991/4/18

不安の入り混じる夜に、果物の香りが薄く漂う

照らされたリンゴ、オレンジ、それからバナナ


グレンモーレンジ蒸留所の場所を地図で確かめてみて。グレンモーレンジとは静寂の谷間という意味のようだ。





レビュー:ボウモア2002 12年 W.Agency ゴツい漁師の手

BOWMORE 2002 12yo Liquid Library by Whisky Agency(ボウモア2002 12年熟成 ウィスキーエージェンシーのリキッドライブラリー)を飲んだ。87点。

ボウモア2002 12年熟成 W.Agency

【評価】
グラスを傾けて鼻を近づけると、花とグレープフルーツの皮、灰、ぬっとりとした潮感(決して嫌ではない)。怠惰なようで、洗練された大人。部分的に晴れた空。
目を閉じ口に含めば、濃いグレープフルーツジュース、暖炉の火にあたった記憶、潮の引けた砂。
長い闘いを経験してきたゴツい漁師の手のようなウィスキー。温かみがあるが、それはキレイで無垢だからではなく、経験に裏打ちされている。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:BOWMORE 2002 12yo (ボウモア2002 12年熟成)
地域:Islay, アイラ島
樽:Burboun Rifill Butt, バーボン
ボトル:Whisky Agency,  ウィスキーエージェンシー

花とグレープフルーツの皮、灰





長い闘いを経験してきたゴツい漁師の手のような

ボウモア蒸留所付近のストリートビュー。白い建物が並んだ風景を堪能してほしい。

大きな地図で見る




レビュー:レダイグ 10年 海辺の焚き火

LEDAIG 10yo (レダイグ 10年熟成)を飲んだ。87点。
現地では「レイチェッグ」とも発音しているらしい。トバモリー蒸留所で作っており、トバモリーと並んでリリースされているブランドだ。トバモリーはピートなしだが、レダイグはかなりピートを利かせていると聞く。
さて果てその香味は。

トバモリー蒸留所から、レダイグ10年熟成

【評価】
グラスから立上るのは、海辺の焚き火と灰、わずかに柑橘、とにかく強烈な煙。曇り空で、嵐を予感させる。
口に含めば、意外にも苺のように甘く入り(明確に舌の先で感じられる)、フルーツケーキ。海辺の焚き火の塩の苦味。
荒々しく寒い冬の海であるからこそ余計に甘く感じるフルーツのタルトよ。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:LEDAIG 10yo (レダイグ 10年熟成)
地域:Islands、アイランズ
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

トバモリー蒸留所のあるマル島のシルエット

1798操業

ワンダフリー・ピーティッド

海辺の焚き火と灰、わずかに柑橘、とにかく強烈な煙



寒い冬の海であるからこそ余計に甘く感じる

レダイグをリリースするトバモリー蒸留所の位置はここ。マル島の形もわかる。

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