レビュー:オールド グランドダッド 86 味わいの安定感

OLD GRAND DAD 86(オールド グランダッド86) を飲んだ。58点。
オールド・グランダッドは、アメリカのバーボンウィスキー。86というのはアルコールプルーフのことで、度数表示でいえば43度のこと。

1882年操業 オールド・グランダッド86


【評価】
グラスに鼻を近づければ、ふくよかな甘みと消毒液、笹の葉、焦がした木。
口に含めば、醤油みたいに染み出る木の旨み。硬い石の階段を上るような。堅牢さ、安定感がありつつ、鼻から抜けるわずかな清涼感。
香りというより、味わいの幅が広く、口の中で展開していくウィスキー。香りの展開はいまひとつである。

【Kawasaki Point】
58point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:OLD GRAND DAD 86(オールド グランダッド86)
地域:America, アメリカ
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

オールドグランダッドのボトルキャップ

Head Of The Bourbon Family

なで肩のボトル

グランドダッド(おじいちゃん)の肖像

ふくよかな甘みと消毒液、笹の葉、焦がした木

香りというより、味わいの幅が広く、口の中で展開していくウィスキー

オールドグランドダッドロードはこちら!ズームしていくとわかりますが、アメリカは広い!

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レビュー:ホワイト&マッカイ 30年 スパイスを乗せた上品

WHYTE & MACKAY 30yo(ホワイト&マッカイ 30年熟成)を飲んだ。86点。
ラベルのダブルライオンが目を引く、有名なブレンデッド・ウィスキーだ。

黒いボトルに金のWライオン。ホワイトマッカイ30年のボトル

このウィスキーは「ダブルマリッジ」製法を採用(モルトウィスキー同士をブレンドした後、樽で寝かせ、さらにグレーンウィスキーをブレンドし、もう一度寝かせる)。ブレンドした後に樽で寝かせるほど、調和が取れていくイメージだろうか。
(ブレンデッドとは何かについてはこちらを参照

さてはて、その香味は?


【評価】
グラスから立ち上るのは、甘く、樽の香りが深く、レモンなどの柑橘の苦味をわずかに感じるが、スパイシー。ごうごうと落ちる滝のような堂々たる清涼感もある。
口に含めば、甘く熱く入ってくるが、樽の木とスパイシーが軽妙に上がってくる。余韻として穀物の焦がし感。
ふくよかなグレーン(穀物)の飲みやすさに、スパイスを乗せた、上品なウィスキー。

【Kawasaki Point】
86point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:WHYTE & MACKAY 30yo(ホワイト&マッカイ 30年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Sherry, オーク、シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

光るWライオン

ライオンと年数だけのシンプルなラベル




ダブルライオンのバッジ

裏返せばWHYTE&MACKAY

グラスゴー

口に含めば、甘く熱く入ってくるが、樽の木とスパイシーが軽妙に上がってくる





甘く、樽の香りが深く、レモンなどの柑橘の苦味をわずかに感じる





レビュー:カナディアンクラブ 6年熟成 序章のウィスキー

Canadian Club 6yo(カナディアンクラブ 6年熟成)を飲んだ。78点。
カナディアンクラブの通称は「C.C.」(シー・シー)だ。ウィスキー好きの間では、CCといえばレモンでもなく、ガールでもなく、カナディアンクラブだ。(たぶん大抵のバーで通用する略称)

さてはてその香味は。



【評価】
グラスに鼻を近づければ、甘いシロップ。木の蜜。強い麦の香り。木にアルコールを染み込ませたような。
口に含めば、軽く入ってきて、木の渋み。まろやかさを口の中で転がすが、うまみよりアルコールを強く感じる。まだ調和が足りない。
カナディアンクラブ12年への序章といったところ。

【Kawasaki Point】
78point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Canadian Club 6yo(カナディアンクラブ 6年熟成)
地域:Canada カナダ
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ラベルの筆記体が美しい

紋章。創設者のハイラム・ウォーカーの「W」かな。

C.C.の愛称で親しまれる

甘いシロップ。木の蜜。強い麦の香り。

カナディアンクラブ12年への序章

創設者のウォーカーは、ウィスキーのためにデトロイトの対岸に街をつくった。すごい熱の入れよう。

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レビュー:オールド・パー12年 特級表示 雨上がりの焚き木

Old Parr 12yo '80s(オールド・パー 12年熟成 特級表示)を飲んだ。83点。
特級表示のあるウィスキーは1962~1989年に発売されたウィスキーだ。今回のボトルは恐らく80年代のものだろう。(尚、写真だけだがそれよりもっと古いボトルもついでに掲載。一番下)

特級表示のOld Parr De Luxe!


オールド・パーは日本でかなり出回っていたウィスキーで、人気もあったため、オールドボトルに出会う確率は割りと高いような気がする。
現行のオールド・パーと味は違うのか?といえば、違う。
ブレンドの比率が変化しているだろうし、原酒自体の味も時代とともに変化しているのだろう。現行のオールド・パーはよりスモーキーだ。時代がスモーキーな酒を欲しがっているのかもしれない。


【評価】
グラスから立ち上るのは、練乳の甘さ、麦ジュース、若葉を出した木の香り、四月の森、粘土や鉄分の多い土。倒れた木の上に腰掛ける。近くには湧き水。
口に含めば、淡くて爽やかなリンゴ水。雨上がりの焚き木。ほのかに燻した香り。少しだけオイリー。森を描いた油絵。

【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Old Parr 12yo(オールドパー 12年熟成)
地域:Highland, ハイランド など
樽:Oak, オーク
ボトル:Blended, ブレンデッド

年季の入ったボトル

特級表示。1989年の酒税法改正以前のもの。


現行ボトルの絵は鉛筆画チックだが、これはインク画チック。


今は存在しない「オールドパー株式会社」

ボトル表面のデザインは現行と変わらない

若葉を出した木の香り、四月の森、粘土や鉄分の多い土

口に含めば、淡くて爽やかなリンゴ水。雨上がりの焚き木。

別のオールドボトル。斜めにも立つ。

かなり古いオールドパーのボトル。




レビュー:オールドパー 12年 スコッチ博物館みたいな・・・

Old Parr 12yo(オールドパー 12年熟成)を飲んだ。83点。
日本人がはじめて口にしたブレンデッド・ウィスキーかもしれない。

日本での歴史も古いオールド・パー


このオールド・パーは、「語りたくなる酒」として有名だ。ウンチクをちょっと紹介。
  • オールド・パーは「パー爺さん」という意味
  • トーマス・パーという人は152歳まで生きた伝説のスコットランド人
  • 80歳で結婚し子供を授かり、105歳で不倫して教会で懺悔(ざんげ)、122歳で再婚
  • 伝説の生命力にあやかってメーカーがウィスキーに命名
  • キーモルトはクラガンモアである
  • ボトルがちょっと変わった形で、斜めにしても倒れない
  • 岩倉具視が持ち帰って明治天皇に献上した
  • 吉田茂が愛飲。それに憧れ田中角栄も愛飲。
パー爺さんのエピソードが本当かどうか?それは誰も気にしない。「伝説」にツッコむのは無粋なこと。


「伝説」を名前にしたウィスキー


【評価】
グラスから立ち上るのは、燻した煙、麦、夏草、土とハチミツ、白いリネンのテーブルクロスの上の木の蜀台とキャンドル。皿の上のブドウや青リンゴ。近くで暖炉の火。
口に含めば、軽やかなのに深い、ロウを擦り付けた木の香り。リンゴの皮に近い部分。
いろんな香りの要素が整理されて、綺麗にまとまった、まるでスコッチ博物館みたいなウィスキー。
主張というより、厚みや歴史を感じる。生きている、というより、生きてきた、という感じ。


【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Old Parr 12yo(オールドパー 12年熟成)
地域:Highland, ハイランド など
樽:Oak, オーク
ボトル:Blended, ブレンデッド

トーマス・パー爺さんは1483年生まれ、1635年没。


マクドナルド・グリンリース社

古い瓶の演出

斜めでも倒れないボトル

土とハチミツ、白いリネンのテーブルクロスの上の木の蜀台とキャンドル。

香りの要素が整理された、まるでスコッチ博物館




レビュー:SMWS 夏の試飲会 ~13本のレビューを一挙掲載~

スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティの夏の試飲会に行ってきた。(The Scotch Malt Whisky Society Summer Bottles Sampling)
この試飲会は、「5,000円で12種類のウィスキー飲み放題」の会だ。春・夏・秋・冬の毎シーズンに各地で開催される。20歳以上のあなたなら、気軽に参加できる。ウィスキーの知識などなくても「飲みたい」という気持ちさえあればいい。残念ながら夏の会はもう終わったが、また秋にあるだろう。
(イベントの開催情報はこちらのページでチェックしてほしい)
参考:春のサンプリング会のレビューはこちら

ちなみに「ソサエティ」とは、世界最大のスコッチ・ウィスキー愛好団体で、本部はスコットランドのエディンバラにある。世界のモルトウィスキーを樽で買い、樽出しのまま、一切ブレンドや加水せずリリースする。



今回は通常の12本に加えて、「ソサエティ日本支部設立20周年記念ボトル」が1本加わっていた。計13本のテイスティングの結果、13位から1位までを一挙公開する。
(ウィスキーの名前の冒頭についている数字は、ソサエティ独自の蒸留所と樽コード)
(点数の意味はこちら


13位
29.133 LAPHROAIG 1993 19yo(ラフロイグ 1993 19年熟成)
【Kawasaki Point】
56point
【評価】
香りは、夏の涼しい日陰の午後、ドライ、塩み、甘くふくよかなラフロイグ。
口に含めば、主張がはっきり、だがぼやける余韻。まとまりきっていない。
日本支部設立20周年記念ボトルのひとつだったが、期待が外れた。


12位
72.26 MILTONDUFF 1983 29yo(ミルトンダフ1983 29年熟成)
【Kawasaki Point】
58point
【評価】
香りは、暑い夏にはうっとおしい。安い甘み、たばこの煙。ウッディ、それだけ。
口に含めば、バニラ、トーストを木の皿で、小気味よく、甘くうっとり華やかになる。


11位
53.189 CAOL ILA 1995 17yo(カリラ 1995 17年熟成)
【Kawasaki Point】
68point
【評価】
香りは、ハチミツとミントがほのかに香る煙。頬ずりしたくなる優しい木の家具。鉄、水道の蛇口。
口に含めば、柔らかく入ってきた後に煙が暴れる。熱い余韻が狂おしい。驚きやバランスはもうひとつ。


10位 
31.25 JURA 1988 24yo(ジュラ 1988 24年熟成)
【Kawasaki Point】
76point
【評価】
香りは、生い茂る草むら、粉っぽい和菓子の砂糖、花。
口に含めば、スッキリ目覚める、華やか、しかし草つゆの爽やかさ。


9位 
1.169 GLENFARCLAS 1984 28yo(グレンファークラス 1984 28年熟成)
【Kawasaki Point】
78point
【評価】
香りは、シナモンの乗ったバニラアイス、メープルシロップがけ。
口に含めばスパイシーで、ジリジリと香り、うまみを伝える。少し味わいの厚みが薄い。


同点6位 
4.176 HIGHLAND PARK 1991 21yo(ハイランドパーク 1991 21年熟成)
【Kawasaki Point】
83point
【評価】
香りは、スッキリしており、ひんやりとした大理石、スイカ、火薬、麦々しさ。
口に含めば、クリアー、透明感、夏の鉄道レール。


同点6位 
G10.3 STRATHCLYDE 1988 24yo(ストラスクレイド 1988 24年熟成)
【Kawasaki Point】
83point
【評価】
※これはグレーンウィスキー。
おだやかでゆったりとしている味わい、通常ブレンデッドの土台となるグレーンウィスキーだが、これなら単体として成り立つ。素晴らしいグレーン。


同点6位 
76.102 MORTLACH 2003 9yo(モートラック 2003 9年熟成)
【Kawasaki Point】
83point
【評価】
香りは、夏の日の水さし、バニラ、ジンジャー、バナナの華やかさ。
口に含めば、甘みと同時に感じる潮味。展開される香味のバリエーションは限定的だが、主張はハッキリとして、しかもまとまっている。これが9年の熟成とは・・。


同点3位 
121.61 ARRAN 2002 10yo(アラン 2002 10年熟成)
【Kawasaki Point】
85point
【評価】
香りは、醤油の酸味、バター、バナナ、空間的な奥行きを感じる。
口に含めば、ゆっくりと展開していく。ザ・シェリーな一杯。


同点3位 
9.70 GLEN GRANT 1995 17yo(グレングラント 1995 17年熟成)
【Kawasaki Point】
85point
【評価】
香りは、まず最初にかなり強めのアルコール感、そのあとに香木。
口に含めば、インパクトの強いアルコールだが、クリーミィ、時間をかけて少しずつ分解されていく・・。不思議な扉をあけていく。煙。そして憧れ。


同点3位 
127.30 PORT CHARLOTTE 2002 10yo(ポートシャーロット 2002 10年熟成)
【Kawasaki Point】
85point
【評価】
香りは、煙の立ち込める数奇屋の茶室、ミントキャンディ、珪藻土。
口に含めば、刺激の奥に甘さ、しかしその後、スーッと消える。意外性のあるウィスキー。


さて、いよいよ今回の1位。なんと2つのボトルが同点。


同点1位
3.203 BOWMORE 1988

3.203 BOWMORE 1988 24yo(ボウモア 1988 24年熟成)
【Kawasaki Point】
88point
【評価】
香りは、華やかでおだやか、ほのかにラベンダーが香る。
口に含めば、プレゼントされたひと束のラベンダー。大きな花束ではなく、ひと束。渡されて、胸元にある。いつまでも嗅いでいられる香り。


同点1位 
39.89 LINKWOOD 1990

39.89 LINKWOOD 1990 22yo(リンクウッド 1990 22年熟成)
【Kawasaki Point】
88point
【評価】
香りは、あまさの奥に隠れたスパイス、山小屋、青空。
口に含めば、熱さも清流もある。複雑な要素を、秀逸なバランスでまとめている。



今回のサンプリング会では、「実力派ぞろい」というのが参加者の共通した意見であった。中には、私が9位にしたグレンファークラスを1位に挙げる人もいた。また、私が3位に挙げたアランの評価は人によってはずっと低かった。ただ、記念ボトルのラフロイグを推す声は聞かれなかった。

17時からの2時間で終わったサンプリング会だが、夏の19時はまだ空が明るく、もう一軒足を運ばずに入られなかった参加者も多かったようだ。まぁ、かくいう私も・・・。