レビュー:グレンファークラス21年 -寒い日に温まる-

Glenfarclas 21yo(グレンファークラス21年)を飲んだ。85点。

【評価】
香りは、透き通るような花の蜜。灰。練り飴。再生紙。花瓶にいけた花。
唇につけたグラスをそっと傾ければ、ザ・シェリー樽。
軽さと重さが入り混じり、ふわっと焦げた樽の香りだけ残していく。
寒い雪の日に、温まるために飲みたいウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:Glenfarclas 21yo(グレンファークラス21年)
地域:Highland, ハイランド
樽: Sherry, シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


グレンファークラス21年は、「ザ・シェリー樽」だ。

1836年から家族経営のグレンファークラス蒸留所。もちろん、こだわり派。



グレンファークラス蒸留所は「緑の草の生い茂る谷間」という意味。
イギリス北部ハイランドに位置する。地図を拡大すればくねくね曲がったスペイ川が見れるよ。

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レビュー:スキャパ16年

SCAPA 16yo(スキャパ16年)を飲んだ。88点。
有名なブレンデッド・ウィスキーのバランタインの「魔法の7柱」の内のひとつ。(※バランタイン17年を構成する主要なシングル・モルトは7つあるとされ、今回紹介しているスキャパはそのひとつ)


【評価】
グラスから立ち上る香りは、透き通った潮風。正午が近い午前。ハチミツ漬けのオレンジの皮。ビーチにできた蜃気楼。
口に含めば、飛沫が舞う。穏やかだが、一幅の絵画を見せられたかのような主張を感じる。甘くゆったりとした時間。時間をかけてピートが分解する。
晴れた日の穏やかな波を漂うウィスキー。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄:SCAPA 16yo(スキャパ16年)
地域:Islands, アイランズ
樽: Bourbon, バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


スキャパには、一幅の絵画を見せられたかのような主張を感じる

ボトルに浮かぶヨット


スコットランドの最北のスキャパ蒸留所。地図を拡大してスキャパ湾を確認して。

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レビュー:オールドプルトニー12年

OLD PULTENEY 12yo(オールドプルトニー12年)を飲んだ。85点。
有名なブレンデッド・ウィスキーのバランタインの「魔法の7柱」の内のひとつ。(※バランタイン17年を構成する主要なシングル・モルトは7つあるとされ、今回紹介しているオールドプルトニーはそのひとつ)


【評価】
香りをかげば、甘くて、高貴。白ワインのような。鼻の血管が甘い香りを吸って、脳は大きな花を想起する。決してシンプルすぎないが、これ以上の複雑さも求めないまとまった感じ。
口に含めば、滑らか、舌の上でバターがとろけるかのよう。美しく完成されていて、距離が近づきもしないが、離れもしない。
不思議な味わい。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:OLD PULTENEY 12yo(オールドプルトニー12年)
地域:Highland ハイランド
樽: Bourbon, Sherry バーボン、シェリー 
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


オールドプルトニーは不思議な味わいのウィスキー

オールドプルトニーはニシン漁が盛んな地で生まれたウィスキー
ニシン漁で必要な樽作りの技術が活かされたという

ボトルも凝っている。描かれた波。
ボトルのネックはポットスチル(蒸留器)をイメージしている



オールドプルトニー蒸留所はスコットランドの最北に位置し、ウィックという港町にある。

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レビュー:グレンフィディック12年

Glenfiddich 12yo(グレンフィディック12年)を飲んだ。87点。
世界で一番売れているシングルモルト・ウィスキーと言われ、KING OF MALTの呼び名も。
ちなみに「世界で一番売れている“シングルモルト”」であって、
「世界で一番売れている“ウィスキー”」ではない。
(その違いは? 参考:ウィスキーのシングル・モルトとは何か?


【評価】
シェリーの甘みがフローラルさと混じって爽やか。かつクリーミーで、クリーミーさの奥に煙。
口に含めば、穏やかに語りかけてくる。クリームチーズのパスタ。旅人が語る夜の窓辺。窓の向こうに波音。
無骨とエレガンスのバランスの良いウィスキー。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:Glenfiddich 12yo(グレンフィディック12年)
地域:Highland ハイランド
樽: Bourbon, Sherry バーボン、シェリー 
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

無骨とエレガンスのバランスの良いグレンフィディック12年


Glenは谷、fiddichは鹿。Glenfiddich(グレンフィディック)蒸留所の場所を地図で確認してみて。

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レビュー:オクトモア5 (丸くなるな!と諭すウィスキー)

Octomore 5(オクトモア 5年)を飲んだ。85点。
いわずと知れた世界一のフェノール値、つまり最高にピートを焚いている。ピートとかフェノール値について簡単に解説しておく。例えば、アードベッグというウィスキーはとても煙臭いことで有名だが、その煙臭さ、煙たさは「ピート」を焚いているからだ。この「ピート」の値がフェノール値だ。高ければ高いほど、煙たい香りがするはずだ。このアードベックの3倍以上のフェノール値を記録し、現在は世界一煙たいウィスキーがこのオクトモア5だ。
尚、このオクトモア5年には別名が付いていて、「ベルベット手袋の中の鉄拳」という。何とも詩的だ。


【評価】
鼻を近づければ、甘いあんずの香り(予想していた煙たさは前面に出てこない!)。少し離れた位置でのくすぶった焚き火。ボディの豊かさ。オイリー、油絵のニュアンス。砂糖まじりの砂。
口に含むと、意外にも滑らかに入ってくる(これが“ベルベット手袋”だろう)が、その後、火をつける。豊かな香り複数種と、香ばしさのハーモニー。身体の中から、時間差で上がってくるピート(これが“鉄拳”なのだろう)。血液の中で踊るピート。
信じられないほど高いフェノール値でありながら、バランスを取って味あわせるのは素晴らしい。
5年熟成とは思えないほど。
「丸くなるな!ただし、バランスを取ることでその尖りは個性となる」
と言われているかのような、人生を味わうウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:OCTOMORE 5  5yo (オクトモア5 5年熟成)
地域:ISLAY アイラ
樽: Bourbon, バーボン 
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル



オクトモアは「丸くなるな!」と諭すウィスキーだ。


話題の新ボトルを続々リリースしている復活系蒸留所、ブルイックラディを地図で確かめてみて。

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レビュー:ポートエレン1978 23年

DOUGLAS LAING, PROVENANCE Series PORT ELLEN 1978 23yo (ポートエレン1978 23年熟成、ダグラスレイン社のプロヴナンスシリーズ)を飲んだ。カスクストレングス(樽出し)。なんと97点。

【評価】
ぶどうと木の樽、美しい浜辺。空は青く、カモメが舞っている。柔らかさに包まれたビター、焦がし感が、バランスを崩さずに鼻腔の奥深くまで届く。
口に含めば、舌の上で焦がしたチョコが踊る。甘くとろけるような香りが焦がしながら消えていく。まるでコニャック感。後から上がってくるピート感。
味も香りも刻々と変化するが最後まで決して崩れない。一貫した主張がある。華やかだがクドくなく、潔い。
出会ったなら、飲まなければならないウィスキー。

【Kawasaki Point】
97point

【基本データ】
銘柄:PORT ELLEN 1978  23yo (ポートエレン1978 23年熟成)
地域:ISLAY アイラ
樽: Bourbon, バーボン ※詳細不明
ボトル:DOUGLAS LAING ダグラスレイン社


ポートエレン出会ったなら、飲まなければならないウィスキー。

一貫した主張がある。華やかだがクドくなく、潔い


今はもうすでに閉鎖されたポートエレン蒸留所の位置を地図で確かめてみて。

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