レビュー:竹鶴25年 上品な温かさ

竹鶴25年(TAKETSURU 25yo)を飲んだ。88点。
ニッカが会社の創業者にしてジャパニーズウィスキーの父である竹鶴の名前を冠して世に放つシリ
ーズの、25年は限定品である。

竹鶴25年

【評価】
グラスに鼻を近づければ、竹炭、焚き火で焦がしたプラムから果汁が溢れて甘い香りをあたりに漂わせる、夏の夜の森、かと思えば雪の上に赤い花びらを散らばせて、その香りを嗅いだようなシャープさもある。
口に含めば、新雪の中を歩いて進む、暖かい家の木の椅子に座ることを想いながら、その家にはストーブがあるだろう。上品な艶のある使い込まれた木の椅子に腰掛けリラックスすれば、横でリンゴをむいてくれる祖母がいる。本棚、キルティング、木の床。
上品な温かさとは何かを教えてくれるウィスキー。

【Kawasaki Point】
88point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:竹鶴25年(TAKETSURU 25yo)
地域:Japan, 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ピュアモルトとは、ブレンデッドモルトのことで、
モルトウィスキーのみをブレンドしたウィスキーを指す

焚き火で焦がしたプラムから果汁が・・・

ボトルに直接金字

雪の上に赤い花びらを散らばせて

上品な温かさとは何かを教えてくれるウィスキー



レビュー:アベラワー8年 オールドボトル 甘さ、スパイス、高揚感

Aberlour Glenlivet 8yo Old Bottle(アベラワー・グレンリベット 8年熟成 オールドボトル)を飲んだ。85点。

アベラワー 8年

【評価】
グラスから立上るのは、美しい樽香、木の香りの良いところが鼻腔の様々な場所を同時に刺激する。奥深く嫌味がない。ウエハースの甘みに近く、スパイスも効いている。
口に含めば、小気味良いスパイス。あぁ木の香りがここまで円熟しながら、スパイスの主張も忘れてないとは。
8年の可能性を王道で提示するスパイシーシェリー。その要素は、甘さ、スパイス、高揚感。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Aberlour Glenlivet 8yo Old Bottle(アベラワー・グレンリベット 8年熟成 オールドボトル)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Sherry, オーク、シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル



鼻腔の様々な場所を同時に刺激する

その要素は、甘さ、スパイス、高揚感。




8年の可能性を王道で提示するスパイシーシェリー




レビュー:アバフェルディ12年 その個性は尖りではなく気品

Aberfeldy 12yo(アバフェルディ 12年熟成)を飲んだ。86点。
アバフェルディは、ブレンデッド・ウィスキーのDewar's(デュワーズ)のキーモルト(主要な原酒)だ。(参考:シングルモルトと、ブレンデッドウィスキーの違いとは?

アバフェルディ12年熟成


【評価】
グラスから立上る香りは、極めて穏やかな熟成。水で薄めたハチミツ。焦がした木のまろやかさ。
口に含めば、花のような香りが口中に広がり、その個性は尖りではなく気品であるように、幅広い甘みと華やかさを繰り返し伝える。わかりやすいスパイス。
どんな場面でも繰り返し飲める、秀逸なスコッチ。

【Kawasaki Point】
86point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Aberfeldy 12yo(アバフェルディ 12年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

水で薄めたハチミツ。焦がした木のまろやかさ。

アバフェルディの森にいるといわれる赤リス

うっすらリスの絵


どんな場面でも繰り返し飲める、秀逸なスコッチ

テイ川のすぐ近く、アバフェルディ蒸留所の位置(緑の矢印)を地図で確かめてみて。

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レビュー:スプリングバンク1974 28年 チーフテンズ 透き通ったビー玉

SPRINGBANK 1974 28yo CHIEFTAIN'S(チーフテンズのスプリングバンク1974 28年熟成)を飲んだ。88点。

スプリングバンク 1974 28年熟成

【評価】
グラスから立上るのは、透き通ったビー玉を複数転がして、カチカチと音を立てているような、硬くもあり、丸みもある香り。
口に含めば、麦とストロベリーとチョコレートの香り。
オシャレな佇まいだが、寄せ付けないというような距離感ではなく、なぜか心をほぐされる一杯。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄:SPRINGBANK 1974 28yo(スプリングバンク1974 28年熟成)
地域:Campbeltown, キャンベルタウン
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル: CHIEFTAIN'S(チーフテンズ)


チーフテンズ、チーフタンズとも

1/444のボトル

1974-2003 28年熟成


スプリングバンク蒸留所は、数少ないキャンベルタウン地域の蒸留所のひとつ。

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レビュー:響 ディープハーモニー 稀に見る・・・

響 ディープハーモニー (HIBIKI DEEP HARMONY)を飲んだ。97点。
今年(2013年)の6月にリリースされた、バー業種向けの限定品。17年熟成以上の原酒を中心に、赤ワイン樽で熟成させた原酒、それからシェリー樽熟成のグレーンをブレンド、というのがメインの構成のようだ。

響 Deep Harmony
【評価】
グラスに顔を近づけてみれば、その香りは、しっとりとしている。障子の木枠。和紙から透けて光がぼんやり室内を照らす。その柔らかな光に照らされた畳のい草の一本一本が、陰翳を生み出す。床の間に飾られた侘びのある花器。外の音は、鳥が枝から飛び立つ音と風の音だけ。
口に含めば、石をうがった窪みに水が張られ鏡になっている。みずからの顔を覗き込むと、風が吹き、木の葉が触れ合う音がする。
すべての香味の要素が、ひとつの情景を描き出す。稀に見る美しいウィスキー。

【Kawasaki Point】
97point

【基本データ】
銘柄:響 ディープハーモニー (HIBIKI DEEP HARMONY)
地域:Japan, 日本
樽:Oak, Red Wine, Sherry, Bourbon, オーク、赤ワイン、シェリー、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


24面体のカットが施されたボトル

ボトルの形状そのものも美しい


残りわずかであった


越前和紙のディティール

「外の音は、鳥が枝から飛び立つ音と風の音だけ」


すべての香味の要素が、ひとつの情景を描き出す。



レビュー:リトルミル 1965 31年 まるでメリーゴーラウンドの憧憬

LITTLEMILL 1965 31yo Signatory's Silent Still Series (シグナトリーのサイレント・スティル・シリーズ リトルミル 1965 31年熟成)を飲んだ。89点。

リトルミルはスコットランド最古の蒸留所と言われるが、1994年に閉鎖しており、それ以降はもう新たな原酒が出てくることはない。蒸留所の経営はとかく安定しない。失われていく蒸留所もあるし、その代わりに、新たに産声を上げる蒸留所もある。永遠はあり得ず、時が流れている、ということなのだろう。そんなことを思うと、今、この時代にたまたま出会えたウィスキーに対して、感慨深くなる。

サイレント・スティル リトルミル31年熟成

【評価】
グラスに顔を近づければ、すっきりとした香りに驚く!鮮やかな花々なのに、画用紙に描かれた水彩画のようなソフトフォーカスな印象。桃、プラム、オレンジ、イチゴなどの果物。
口に含めば、あっさりとしたバニラに、クッキーの粉。そして、まるでメリーゴーラウンドが廻るような鮮やかな憧憬が浮かぶ。
長熟だが、鮮やかさとソフトフォーカスの同居した、美しいウィスキーのひとつ。

【Kawasaki Point】
89point

【基本データ】
銘柄:LITTLEMILL 1965 31yo (リトルミル 1965 31年熟成)
地域:Lowland, ローランド
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:Silent Still Series Signatory (シグナトリーのサイレント・スティル・シリーズ)

サイレント・スティル・シリーズ

ボトラーはシグナトリー

サイレント・スティル・シリーズは
現在稼動をしていない蒸留所のシリーズである