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レビュー:ホワイト&マッカイ 30年 スパイスを乗せた上品

WHYTE & MACKAY 30yo(ホワイト&マッカイ 30年熟成)を飲んだ。86点。
ラベルのダブルライオンが目を引く、有名なブレンデッド・ウィスキーだ。

黒いボトルに金のWライオン。ホワイトマッカイ30年のボトル

このウィスキーは「ダブルマリッジ」製法を採用(モルトウィスキー同士をブレンドした後、樽で寝かせ、さらにグレーンウィスキーをブレンドし、もう一度寝かせる)。ブレンドした後に樽で寝かせるほど、調和が取れていくイメージだろうか。
(ブレンデッドとは何かについてはこちらを参照

さてはて、その香味は?


【評価】
グラスから立ち上るのは、甘く、樽の香りが深く、レモンなどの柑橘の苦味をわずかに感じるが、スパイシー。ごうごうと落ちる滝のような堂々たる清涼感もある。
口に含めば、甘く熱く入ってくるが、樽の木とスパイシーが軽妙に上がってくる。余韻として穀物の焦がし感。
ふくよかなグレーン(穀物)の飲みやすさに、スパイスを乗せた、上品なウィスキー。

【Kawasaki Point】
86point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:WHYTE & MACKAY 30yo(ホワイト&マッカイ 30年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Sherry, オーク、シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

光るWライオン

ライオンと年数だけのシンプルなラベル




ダブルライオンのバッジ

裏返せばWHYTE&MACKAY

グラスゴー

口に含めば、甘く熱く入ってくるが、樽の木とスパイシーが軽妙に上がってくる





甘く、樽の香りが深く、レモンなどの柑橘の苦味をわずかに感じる





レビュー:オールド・パー12年 特級表示 雨上がりの焚き木

Old Parr 12yo '80s(オールド・パー 12年熟成 特級表示)を飲んだ。83点。
特級表示のあるウィスキーは1962~1989年に発売されたウィスキーだ。今回のボトルは恐らく80年代のものだろう。(尚、写真だけだがそれよりもっと古いボトルもついでに掲載。一番下)

特級表示のOld Parr De Luxe!


オールド・パーは日本でかなり出回っていたウィスキーで、人気もあったため、オールドボトルに出会う確率は割りと高いような気がする。
現行のオールド・パーと味は違うのか?といえば、違う。
ブレンドの比率が変化しているだろうし、原酒自体の味も時代とともに変化しているのだろう。現行のオールド・パーはよりスモーキーだ。時代がスモーキーな酒を欲しがっているのかもしれない。


【評価】
グラスから立ち上るのは、練乳の甘さ、麦ジュース、若葉を出した木の香り、四月の森、粘土や鉄分の多い土。倒れた木の上に腰掛ける。近くには湧き水。
口に含めば、淡くて爽やかなリンゴ水。雨上がりの焚き木。ほのかに燻した香り。少しだけオイリー。森を描いた油絵。

【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Old Parr 12yo(オールドパー 12年熟成)
地域:Highland, ハイランド など
樽:Oak, オーク
ボトル:Blended, ブレンデッド

年季の入ったボトル

特級表示。1989年の酒税法改正以前のもの。


現行ボトルの絵は鉛筆画チックだが、これはインク画チック。


今は存在しない「オールドパー株式会社」

ボトル表面のデザインは現行と変わらない

若葉を出した木の香り、四月の森、粘土や鉄分の多い土

口に含めば、淡くて爽やかなリンゴ水。雨上がりの焚き木。

別のオールドボトル。斜めにも立つ。

かなり古いオールドパーのボトル。




レビュー:オールドパー 12年 スコッチ博物館みたいな・・・

Old Parr 12yo(オールドパー 12年熟成)を飲んだ。83点。
日本人がはじめて口にしたブレンデッド・ウィスキーかもしれない。

日本での歴史も古いオールド・パー


このオールド・パーは、「語りたくなる酒」として有名だ。ウンチクをちょっと紹介。
  • オールド・パーは「パー爺さん」という意味
  • トーマス・パーという人は152歳まで生きた伝説のスコットランド人
  • 80歳で結婚し子供を授かり、105歳で不倫して教会で懺悔(ざんげ)、122歳で再婚
  • 伝説の生命力にあやかってメーカーがウィスキーに命名
  • キーモルトはクラガンモアである
  • ボトルがちょっと変わった形で、斜めにしても倒れない
  • 岩倉具視が持ち帰って明治天皇に献上した
  • 吉田茂が愛飲。それに憧れ田中角栄も愛飲。
パー爺さんのエピソードが本当かどうか?それは誰も気にしない。「伝説」にツッコむのは無粋なこと。


「伝説」を名前にしたウィスキー


【評価】
グラスから立ち上るのは、燻した煙、麦、夏草、土とハチミツ、白いリネンのテーブルクロスの上の木の蜀台とキャンドル。皿の上のブドウや青リンゴ。近くで暖炉の火。
口に含めば、軽やかなのに深い、ロウを擦り付けた木の香り。リンゴの皮に近い部分。
いろんな香りの要素が整理されて、綺麗にまとまった、まるでスコッチ博物館みたいなウィスキー。
主張というより、厚みや歴史を感じる。生きている、というより、生きてきた、という感じ。


【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Old Parr 12yo(オールドパー 12年熟成)
地域:Highland, ハイランド など
樽:Oak, オーク
ボトル:Blended, ブレンデッド

トーマス・パー爺さんは1483年生まれ、1635年没。


マクドナルド・グリンリース社

古い瓶の演出

斜めでも倒れないボトル

土とハチミツ、白いリネンのテーブルクロスの上の木の蜀台とキャンドル。

香りの要素が整理された、まるでスコッチ博物館




レビュー:バランタイン17年 華やかさと安定感

Ballantine's 17yo(バランタイン17年熟成)を飲んだ。86点。
バランタインは、非常に有名なブレンデッド・ウィスキーだ。
(ブレンデッドが何かということについては、こちらの記事を参照してほしい。
 参考:シングルモルトと、ブレンデッドウィスキーの違いとは?

名の通ったブレンデッド・ウィスキー 「バランタイン」


【評価】
グラスに鼻を近づければ、ミツバチの飛ぶ花畑、さらさらと流れる小川、きらきらと太陽が反射している。やわからい土の香り。画家がなんども構図を検討した絵のような、深くどっしりとした熟成感。
口に含めば、先ほどの小川に横たわり水の流れを感じながら、焦げた土、イチゴとスパイスを感じる。
華やかさと安定感の同居したウィスキー。

【Kawasaki Point】
86point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Ballantine's 17yo(バランタイン17年熟成)
地域:Highland, ハイランド など
樽:Oak, オーク
ボトル:Blended, ブレンデッド

ブレンデッド・スコッチ・ウィスキー

エンブレムの背景のエンブレム

ジョージ・バランタイン&サン社が生産

GEORGE BALLANTINE & SUN

熟成感のある色

華やかさと安定感の同居したウィスキー




シングルモルトと、ブレンデッドウィスキーの違いとは?

よく考えればどうでも良いかもしれないが、ふと気になってしまう、「シングル・モルト・ウィスキー」と「ブレンデッド・ウィスキー」の違いを解説する。

ちょっと気になる“その違い”

シングル・モルトとブレンデッド、ひとことで言えば何が違うか?

ひとことで正確にいえば、「かかわった蒸留所の数がちがう」となる。

シングル・モルト・ウィスキーの「シングル」は「ひとつの蒸留所」を意味する。手に取ったそのひと瓶の中身が、ひとつの蒸留所から生まれたものならば、それはシングル・モルト・ウィスキーだ。

対してブレンデッド・ウィスキーは、ふたつ以上の蒸留所が関わっている。いろんな蒸留所のウィスキーを混ぜ合わせ、ブレンドしたものだ。手に取ったひと瓶の、その中身をつくり上げるのに、数十の蒸留所が関わっている場合もある。つまり、複数の蒸留所のウィスキーをブレンドすれば、ブレンデッド・ウィスキーとよばれる。


流通量はどっちが多い?

圧倒的にブレンデッド・ウィスキーの流通が多い。世界のウィスキーの流通量の8~9割はブレンデッド・ウィスキーと言われている。100~200年ぐらいのウィスキーの歴史の中では、ブレンデッドが王道なのだが、最近になって「蒸留所ごとの個性を愉しむ」シングルモルトも伸びてきている。


ちょっと待って。さっきからシングル・モルトの「モルト」ってなに?

モルトとは、大麦麦芽(おおむぎばくが)のこと。これがモルト・ウィスキーの原料。モルトを原料としたウィスキーだから、モルト・ウィスキー。地域でいえば、日本やイギリス(スコッチ)、そしてアイルランドでは、ウィスキーといえば、モルト・ウィスキーのことを差している。
(ちなみにカナダでウィスキーといえば、ライ麦が主原料のライ・ウィスキー。アメリカでウィスキーといえば、もちろんトウモロコシ主原料のバーボンウィスキー)
シングル・モルトとは何か?についてはこちらの記事を参照してほしい。


ブレンデッドの立役者、「グレーン」ってなに?

「安くて美味いウィスキーをつくる手段はないものか」と考えていくと、グレーン・ウィスキーに突き当たる。グレーン・ウィスキーは、安くつくれる。モルト(大麦麦芽)以外の穀物(主にトウモロコシ)でつくるウィスキーのこと。ただし、モルトのような強い香りの個性はない。
ブレンデッド・ウィスキーの場合、ほとんどがモルト・ウィスキーと、グレーン・ウィスキーを混ぜている。いくつかのモルト・ウィスキーで香味の方向性を決めて、グレーン・ウィスキーでバランスを調整するのだ。映画にたとえれば、ギャラの高い主役がモルトで、主役を支える立役者がグレーン・ウィスキーだ。

このウィスキーという名前の液体に、
そんなに種類があるなんて・・・

ちなみに、「ピュアモルト」ってなに?

日本に流通している言葉で、「ピュアモルト」がある。これは、大きな分類の中ではブレンデッドウィスキーなのだが、グレーン・ウィスキーをつかわず、モルト・ウィスキーだけでブレンドしました、というアピールだ。主役級が勢ぞろいの映画みたいなものだ。日本にはどうも純粋信仰みたいなものがあるので、「シングル」とか「ピュア」とか言うと、ありがたい、と感じる人が多いため、この言葉は、ウィスキーのまじめな分類というより、ほとんどマーケティング用語である。


もひとつちなみに、「ヴァテッドモルト」ってなに?

今はあまり使わない表現。ピュアモルトと同じ意味。モルト・ウィスキーと別のモルト・ウィスキーをまぜあわせて作ったウィスキーのこと。「もうそれ、ブレンデッド・ウィスキーでいいじゃん」ってことで、数年前からスコッチウィスキー協会が「もうヴァテッドって言葉はやめよう、ブレンデッドで統一!」と宣言。
(テクニカルに言えば、シングル・モルトもヴァッティングするし、ピュア・モルトもヴァッティングするので、両方ヴァテッド・モルトと呼べてしまって、超ややこしい。忘れてください)
※WWA(World Whisky Award)では、モルト・ウィスキーだけをブレンドしたウィスキーのことを、「ピュアモルト」とも「ヴァテッドモルト」とも言わず、「ブレンデッド・モルト」と表現。


結局、シングルモルト・ウィスキーとブレンデッド・ウィスキーの違いを知ってどうする?

正直な話、「へぇ~」といえるトリビア以上のなにものでもない。シングルモルト・ウィスキーといえども、ひとつの蒸留所の複数の樽の原酒をブレンドしているし、ブレンデッド・ウィスキーはブレンドする地域・種類の幅を広げただけだ。
いずれにせよ、最終的にウィスキーをつくるマスターブレンダーの卓越した鼻によって、今日も素晴らしいウィスキーがこの世に生み出されているのだ。それは本当に神秘的な世界だと、私は思う。マスター・ブレンダーの生み出す豊かな香りの世界観に、私たちは酔う。


グラスを傾けながら、ウィスキーの成り立ちについて少し思いを馳せるのも、楽しいかもしれない。
今宵もすてきなウィスキー・ライフを。



レビュー:シーバスリーガル12年 夏のおもちゃ箱のような

CHIVAS REGAL 12yo(シーバスリーガル12年熟成)を飲んだ。85点。
かなり有名なブレンデッド・ウィスキーだ。ブレンデッド・ウィスキーとは、「いくつかの蒸留所のウィスキーをブレンドしてつくったウィスキー」といったところだ。シーバス・リーガルのキーモルト(主要な原酒)は、ストラスアイラなど。

シーバス・リーガルはかなり有名なブレンデッド・ウィスキー


【評価】
グラスに鼻を近づければ、香る甘い麦、ラムネ、ミント、やわらかくて軽い羽毛のようなタッチでそれらがやってくる。夏のビーチの熱い砂を連想させる焦げた渇きもある。
口に含めば、スイカ、マスカット、海辺のウッドデッキ、白い革靴、太いボーダーの半そでシャツを着た体格のよい男の、日に焼けた腕。
まるで夏のおもちゃ箱のような楽しい香りの詰まったウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:CHIVAS REGAL 12yo(シーバスリーガル12年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, オーク
ボトル:Blended, ブレンデッド

ブレンデッド・スコッチ・ウィスキーの文字が。

トレードマークのライオン


夏のおもちゃ箱のような





レビュー:ザ・ニッカ・ウィスキー 1999 34年 ~幻のウィスキーその2~

The NIKKA WHISKY 1999 34yo(ザ・ニッカウヰスキー 1999 34年熟成)を飲んだ。98点。
昨日の『レビュー:ザ・ニッカ・ウィスキー 1998 34年 ~幻のウィスキー~』に引き続き、今度は1999年版のウィスキーだ。この幻のウィスキーについては、1998年ものと1999年もの、片方に言及した記事は少数ながらあるものの、両方に言及し、かつテイスティング・コメントを掲載したのは、このブログが日本初(ということは世界初)となる。(なぜこのウィスキーが“幻”かは、1998年版の記事を参照してほしい)

世界初、幻のザ・ニッカ・ウィスキーの
1998(右)と1999(左)の両方のテイスティングコメントを掲載
めぐり合えた仕合せ・・



【評価】
グラスに鼻を近づければ、深く、うっっっとりとする香り。鎖と岩と冬の腐葉土のニュアンス。やや感じる酸味の奥に、小さくてかわいらしい花が咲いている。乾燥させた草花。線香。校庭に引かれた白線の石灰。
グラスを傾け、口に含めば、驚くほど“しっとり”と入ってくる。重く、熱く、ジリジリとした余韻なのに、軽やかな香水が湧き上がり、鼻に抜けていく。うまみが幾重にも厚く重なっている。
いわゆるシェリー樽の、「甘い」とか「渋い」などという単純な言葉では評価できない、不思議な存在感を放つウィスキー。

※尚、1998年版の記事に書いた「どっちのほうが旨いのか?」という質問の答えだが、下記の通りだ。
もしあなたが、香水の華やかさ、フルーティさ、めくるめく香りの世界を堪能したければ1998年ものの方が旨い。そしてもしあなたが、シェリー樽の重厚な、岩と森と光と影、ドライな草花、次々と重なってくる味の世界を堪能したければ、1999年ものの方が旨い。
実は点数は同点なのだ。「ザ・ニッカ・ウィスキー 34年」というタイトルは一緒だが、1998と1999のウィスキーは全く別のコンセプトのウィスキーである。土台となっている長熟のグレーン・ウィスキーの表情の豊かさを味わうという意味では共通点があるのだけれども。(ウィスキー評論家の土屋守氏いわく「グレーンの質の高さに心底驚かされた」そうだ)

【Kawasaki Point】
98point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:The NIKKA WHISKY 1999 34yo(ザ・ニッカウヰスキー 1999 34年熟成)
地域:Japan
樽:Oak, Sherry, オーク、シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

1000本限定。99年版は樽の絵入りのラベル。

なぜわざわざ「Real」Vintage と書いてあるのか。
また、社名であるニッカウィスキーに定冠詞「The」をつけて
リリースしたのはどのような想いだったか。

深く、うっっっとりとする香り。
通常のシェリー樽の陶酔感を超えている。

最低でも34年熟成以上なのだ。

裏書がシンプルだった1998年版に比較し、1999年版は充実。
テイスティングコメントの
「円熟感の中ですべてが調和します」というのが
一番言いたかったポイントなのではないだろうか。