レビュー:ポートシャーロット 2001 11年 噛み締めながら・・・

PORT CHARLOTTE 2001 11yo Acorn's Natural Malt Selection(エイコーンのナチュラル・モルト・セレクション ポートシャーロット 2001 11年熟成)を飲んだ。87点。


ポートシャーロット 2001 11年熟成

【評価】
グラスをそっと近づければ、鼻の下で松の葉を燃やしているかのようにストレートに上がってくる煙たさよ。黒炭、クヌギの木。嵐の近づいた海。
口に含めば、夏の花火の後のような充実感と寂寞よ。灰色の海と空。この煙たさのこの旨さよ。
噛み締めながら飲みたいウィスキー。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:PORT CHARLOTTE 2001 11yo (ポートシャーロット 2001 11年熟成)
地域:Islay, アイラ
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:Acorn(エイコーン)

2001年12月蒸留 2013年4月瓶詰め
11年間どんな夢を見たのか・・・

カスクストレングスの65.7度 噛み締めたくなるわけだ

黒炭、クヌギの木。

嵐の近づいた海。





レビュー:ボウモア 1997 12年 ハイスピリッツ アールヌーボーな・・・

Bowmore 1997 12yo High Spirits Natural Cask Strength Selection(ハイスピリッツ社のナチュラル・カスク・ストレングス ボウモア1997 12年熟成)を飲んだ。87点。

ボウモア1997 12年熟成 ハイスピリッツ

【評価】
グラスに鼻を近づければ、手に馴染んだ革の名刺ケース。柑橘と灰。舞い上がる砂煙。揺らぐロウソクの炎。絞った柑橘の汁が暗闇でぽたっと落ちるのを眺めている。チョコレート。
口に含めば、柔らかい上質なカーフ。木の板。若葉の萌えた枝。深い味わいというより幅広い味わい。
アンティークショップで見つけたアールヌーボーな木のコーヒーテーブルの様なウィスキー。こなれた装飾性と古い木。

【Kawasaki Point】
87point

【基本データ】
銘柄:Bowmore 1997 12yo (ボウモア 1997 12年熟成)
地域:Islay, アイラ
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:High Spirits(ハイスピリッツ社)



樽番号1893、1997年蒸留、2009年瓶詰め

柑橘と灰

手に馴染んだ革の名刺ケース

深い味わいというより幅広い味わい。


“ボウモア”は、イギリスのアイラ島という島の中の地名。ゲール語(現地の古い言葉)で“大いなる岩礁” Great Reef of Sea Rock という意味だ。海に面した蒸溜所だ。





レビュー:ブッカーズ 6yo バニラがオレンジの皮に・・・

BOOKER'S(ブッカーズ)を飲んだ。83点。
小ロットで作られているバーボンで、樽出しそのまんまのカスクストレングスだ。もちろん樽によって中身が違うため、あなたが出会うブッカーズと私が出会ったブッカーズは、違うブッカーズになるだろう。

ブッカーズ

【評価】
グラスから立ち上るの香りは、バニラがオレンジの皮に包まれている。朝のハニートースト。焦げた香りがリッチ。
口に含めば、夏草を踏みしめて、早朝の山を探検する。思い出のアルバムが羊皮紙で大切にくるまれているような。
リッチで深い味わいのウィスキー。

【Kawasaki Point】
83point

【基本データ】
銘柄: Booker's(ブッカーズ)
地域:American, アメリカン
樽: Oak  オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


6年2ヶ月、 バッチNO. C06-K-8 で熟成
アルコール度数は64.25%
この表記は樽によって違う。
あなたの出会うボトルはどうだろうか



朝のハニートースト。焦げた香りがリッチ。



レビュー:SMWS 春の試飲会 2014 ~13本のレビューを一挙掲載~

スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティの春の試飲会に行ってきた。(The Scotch Malt Whisky Society Spring Bottles Sampling)
シーズンごとに開催される、5,000円でウィスキーがたくさん飲める会だ。

この通称SMWS(または“ソサエティ”と呼ばれる)という団体は、ウィスキーが好きな人々の間では結構有名で、各地の樽を買い付けて、独特のボトルデザインで会員のみに販売している。会員でなくとも、ボトルが置いてあるバーなら飲むことはできる。

さて、前回私が参加した会は試飲方法が改悪されて不評を買っていたが、今回は改善されていた。最初から目の前に自分の分のグラスが全種類並んでいた。これなら自分のペースで好きな順に飲める。
普段はワインが好きだという女性客も複数名参加していた。ウィスキーはぜんぜん知らないけれど、「勉強のために参加してみたいと思った」そうだ。イベントって大切なのだなと思った。ウィスキーとの素敵な出会いでありますように。

シーズンごとに開催されるソサエティの試飲会

並ぶグラス。果たしてどのような出会いがあるのだろう


今回も、ランキング形式で13本のウィスキーのレビューを一挙掲載する。


第13位
127.38 PORTCHARLOTTE 2003 10yo (ポートシャーロット 2003 10年熟成)
【Kawasaki Point】
56point
【評価】
香りは、風と砂埃。
口に含めば、くゆらせたパイプタバコの煙。


第12位
17.36 SCAPA 2003 11yo (スキャパ 2003 11年熟成)
【Kawasaki Point】
76point
【評価】
グラスから立ち上る、穏やかでたおやかだが、厚めに重ねた甘さ。
目を閉じ飲み込めば、ハチミツの向こう側に透けて見えるボート。


第11位
4.182 HIGHLAND PARK 1999 13yo (ハイランドパーク 1999 13年熟成)
【Kawasaki Point】
78point
【評価】
グラスが放つ果汁そのままの甘さ。
舌の上をすぎさっていく甘さ。


同点7位
28.24 TULLIBARDINE 1990 23yo (タリバーディン 1990 23年熟成)
【Kawasaki Point】
83point
【評価】
鼻腔に感じる不思議な燻製感。心豊かになるふくよかさ。
この液体はまるで、焦がした樽を舐めているかのような。
アンティーク家具に囲まれて飲みたいウィスキー。


同点7位
46.22 GLENLOSSIE 1992 20yo (グレンロッシー 1992 20年熟成)
【Kawasaki Point】
83point
【評価】
グラスの放つ香気は、花の蜜と、古いテーブル。
その印象を頭に浮かべながら、あごを上げグラスから液体を流し込めば、華やかさを残したまま、木の個性と絡まり、美しさともいえるまとまりを見せる。


同点7位
72.35 MILTONDUFF 1984 28yo (ミルトンダフ 1984 28年熟成)
【Kawasaki Point】
83point
【評価】
この香りは、夏の果実、朝顔。桐の箪笥。
飲めば、煙い、甘みが少し深い。崩れないがドラマティックでもない。


同点7位
23.73 BRUICHLADDICH 2002 11yo (ブルイックラディ 2002 11年熟成)
【Kawasaki Point】
83point
【評価】
グラスを揺らすと香りが立ち上る。それはシンナーのようであり、キリリと尖った個性。狂おしい情熱。
少量口に含んでみれば、おぉ、バシャバシャと夏の海で水遊びする子供たちよ。朽ちかけた桟橋と、太陽よ。


同点5位
29.145 LAPHROAIG 1990 22yo (ラフロイグ1990 22年熟成)
【Kawasaki Point】
85point
【評価】
鼻から息を吸い込むと、煤(すす)を嗅ぎながら、オイルサーディンを開けるようだ。わずかに柑橘。
そのまま口に含めば、ぬるっとした煙感。
このウィスキーは味覚が鈍る厳しい冬の海でもこの個性を感じられるだろう。


同点5位
121.63 ARRAN 1995 17yo (アラン 1995 17年熟成)
【Kawasaki Point】
85point
【評価】
この香りは!目の覚めるような陶酔感、夏の朝の水やり後のツタ。水滴がキラキラしている。
グラスを傾け口に流し込めば、さわやかに水をゴクゴクのんだ感じ。体の芯があたたかい。



同点2位
G4.5 CAMERONBRIDGE 1979 34yo (キャメロンブリッジ 1979 34年熟成)
【Kawasaki Point】
88point
【評価】
ケーキ。小麦感。
おいしいウィスキー。


同点2位
35.102 GLEN MORAY 1974 39yo (グレンマレイ 1974 39年熟成)
【Kawasaki Point】
88point
【評価】
鼻で感じるこのウィスキーは、上質な木の煙。パイプの名品の木のツヤ。吸い込むたびに魂が癒される。
口の中で転がせば、上品な気の渋みと塩み。
逸品。


いよいよ、今回の1位は?


第1位
3.124 BOWMORE 1995 18yo (ボウモア 1995 18年熟成)
【Kawasaki Point】
89point
【評価】
果実を蒸留したのかと思わせるほどの上品さ。銅の香り。
そっと口に含んでみれば、パウダーシュガー、お菓子のようなファンタジーを感じさせ、サーカスの夜に目を輝かせる子供のような気分。



午後5時からのサンプリング会が終わっても、街はまだ明るかった。これから徐々に暗くなるが、さほど寒くもない。ほろよいの気分で、さらに繰り出す者もいれば、しずかに家に帰る者もいるだろう。
それぞれが果たしたウィスキーとの出会いを胸に抱きながら、会は散り散りとなった。



レビュー:カリラ 1980 30年 ベリーブロス 暖炉の前で静かに過ごすなら・・・

BERRY BROs & RUDD の CAOL ILA 1980 30yo(ベリーブラザーズ&ラッドのカリラ1980 30年熟成)を飲んだ。89点。
通称BRRというボトラー。果たして、このウィスキーの香味やいかに。

BBRのカリラ1980 30年熟成

【評価】
グラスを傾け鼻を近づければ、すぅーっと香る甘い柑橘。樽の木の繊維の一本一本が良き思い出のように浮かび上がる。この煙の向こうに、何があるのか飲んでみたくなる。
グラスの縁を唇に付け、そっと口に含めば、柔らかな香りと裏腹におどろくほどの煙。熱く燃えている。塩味を味わわせながら、そのウィスキーは土に染み込んで行くように口の中で印象を消す。
寒い冬を、暖炉の前で静かに過ごすなら、このウィスキーをお供にしたい。

【Kawasaki Point】
89point

【基本データ】
銘柄: CAOL ILA 1980 30yo(カリラ 30年熟成)
地域:Islay, アイラ島
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:BERRY BROs & RUDD, ベリーブラザーズ&ラッド

すぅーっと香る甘い柑橘

1980年蒸留のカリラ





ウィスキーは土に染み込んで行くように


カリラ蒸溜所の場所はここ。アイラ島とジュラ島のはざま、ジュラ海峡に面している。



レビュー:ジョニーウォーカー ダブルブラック 鮮やかな満足感

Johnnie Walker Double Black(ジョニーウォーカー ダブルブラック)を飲んだ。83点。
もともとは免税店向けだったようだが、昨年から日本でも普通に流通している。

少しぼけちゃった。 ジョニー・ウォーカー ダブルブラック

【評価】
グラスに鼻を近づければ、すっきり透き通った香りの“高音”と、油絵具の“重低音”。時おり、きらきらしている。深く吸い込めば、リンゴと、リンゴの入っている木箱の香り。しとしと雨の降る柔らかさ。
口に含めば、ライトな爽やかさと、満足を与える重量感がある。リンゴの木箱が思い出され、その表面を指の腹で触ると、ざらざらとしている。バーナーで焼いた木片の印象もある。
深くはないが、鮮やかな満足感を与える一杯。

【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Johnnie Walker Double Black(ジョニーウォーカー ダブルブラック)
地域:Highland, Island, Islay, ハイランド、アイランド、アイラ
樽:oak, オーク
ボトル:JOHNNIE WALKER(ジョニー・ウォーカー)

ラベルの角度は決まって24°

すっきり透き通った香りの高音と、油絵具の重低音

ストライディングマン(闊歩する人)のシルエット




満足を与える重量感がある