レビュー:初号スーパーニッカ 復刻版 なめらかだが炎・・・

初号スーパーニッカ 復刻版(1st SUPER NIKKA WHISKY reprinted edition)を飲んだ。86点。

ボトルはもちろん手吹きのクリスタル・・・とまではいかないが、ニッカウィスキーがNNKドラマ『マッサン』ブームに応えていくつかリリースしている「復刻版」シリーズのひとつ。
日本にウィスキーをもたらした男、竹鶴政孝の足跡をたどる旅のようなものだ。この復刻版は毎度、当時の原酒を元にしていると聞くがその入手は容易くはないはずだ。そして、苦労して手に入れた原酒をおそらくほぼそのまま再現しているのではないかと思う。このウィスキーを味わって、当時のウィスキーを偲ぶことは可能だろう。

さて、少しタイムスリップした気分でどのような香味か味わってみよう。

初号スーパーニッカ復刻版
【評価】
グラスを揺らせば、甘い中の麦の主張。麦は少し焦げたのだろうか。平均律クラヴィーアのように滔々と溢れ出る。
口に含む。しっとり溶けて飲みやすい。強目の乳酸を感じる。日に焼けた本のページをめくる。
なめらかだが炎を感じる。

【Kawasaki Point】
86point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:初号スーパーニッカ 復刻版(1st SUPER NIKKA WHISKY reprinted edition)
地域:Japan 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

狛犬の向かい合うエンブレム

初号スーパーニッカ
思わずマッサンとリタの物語が浮かぶ

グラスはちょっと遊び心で

撫で肩のボトル

RARE OLD

ドウカウィスキーのロゴも良く出来ている

なめらかだが炎を感じる







レビュー:余市 1994 20年 SMWS 116.19 あまく弾ける・・・

余市 1994 20年熟成 Scotch Malt Whisky Society 116.19(Yoichi 1194 20yo SMWS 116.19)を飲んだ。89点。
SMWSは世界最大のウィスキー愛好家団体だ。世界の蒸溜所にはコード(No.)が付けられており、日本の北海道の余市蒸溜所は116番だ。これは、ウィスキー界隈では結構名誉なことで、2002年当時、余市蒸溜所がSMWSに「英国以外の蒸溜所で初の認定を受けた」ことは「快挙」と報じられたほどだ。
さて、SMWSから116番目の余市のボトルがリリースされるのはこれで19番目(だからコードは116.19となる)。今回のボトルは、どのような香味だろうか。

ソサエティの余市1994 20年熟成

【評価】
その香りは、スパイスの中にきらめく若さがある。新緑の香り。夜のくぬぎ。夜行性の虫や鳥の声。
ひとたび口に含めば、あまく弾けるパッション。カーマイン。酔いしれていたい。夜の潮騒。
ほかになにもいらない。

【Kawasaki Point】
89point

【基本データ】
銘柄:余市1994 20年熟成(Yoichi 1994 20yo)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:Scotch Malt Whisky Society, スコッチモルトウィスキーソサエティ

スコットランドのリースに本部を置くソサエティ

シンプルなボトルデザインは毎度おなじみ

116=余市、19=19番目のリリース。テイスティングノートを添えて。

ヴァージンオーク=新樽。余市の新樽は個性的だ。

新緑の香り。夜のくぬぎ。

夜行性の虫や鳥の声。

ほかになにもいらない。






レビュー:ラフロイグ 1999 14yo A.D Rattray 長い夜を・・・

Laphroaig 1999 14yo Cask CollectionA.D Rattray(ラフロイグ1999 14年熟成 デュワ・ラトレー社のカスクコレクションシリーズ)を飲んだ。89点。
小ぶりのグラスに注がれたラフロイグは、どのような香味で愉しませてくれるだろうか。

ラフロイグ1999年蒸留 14年熟成 デュワ・ラトレー

【評価】
グラスに鼻を近づければ、甘みの中の豊潤な煙。やわらかく鋭い。木苺。流木。波の音。
グラスを傾けそっと口に含む。舌の先が熱くあまくとろける。構造的な甘みの上にやわらかくふかふかのクッションが敷かれている。
長い夜を静かに明かす際にはこのウィスキーをお供にしたい。

【Kawasaki Point】
89point

【基本データ】
銘柄:Laphroaig 1999 14yo(ラフロイグ1999 14年熟成)
地域:Islay, アイラ島
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:A.D Rattray, デュワ・ラトレー社

やわらかく鋭い。

Cask Collectionのシリーズは、カスクストレングス=樽出しそのまま、である。

14年の夢を見てきたラフロイグ

1999年蒸留 2013年ボトリング

長い夜を静かに明かす際には・・・










レビュー:イチローズモルト秩父✕KUSUDA 黒と黄色・・・

イチローズモルト秩父✕KUSUDA(Ichiro's Malt Chichibu × KUSUDA)を飲んだ。65点。
国産ウィスキーのイチローズモルトは、埼玉県は秩父に蒸溜所を設立して8年が経とうとしている。また、秩父出身の楠田氏がニュージーランドでワインをリリースし始めて13年が経とうとしている。
このボトルは、KUSUDAワインの樽でイチローズモルトをフィニッシュしたものだ。

さて、香味はどのようなものだろうか。

イチローズモルト × Kusuda Wine


【評価】
グラスから立ち上る香りは、黒と黄色の混じった蘭。元気の良いアルコールがブドウの渋みを運ぶ。
口に含めば、情熱的な夜のランニング。走り込みを重ねた後の充実の疲れ。
疲れた後に眠れない夜。

【Kawasaki Point】
65point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:イチローズモルト秩父✕KUSUDA(Ichiro's Malt Chichibu × KUSUDA)
地域:Chichibu, Japan 日本、秩父
樽:Kusuda Wine, クスダワインカスク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


ラベルに大きく「KUSUDA」の文字

元気の良いアルコールがブドウの渋みを運ぶ。


走り込みを重ねた後の充実の疲れ







レビュー:グレンユーリーロイヤル 20年 レアレスト・オブ・レア 最後はさらりと・・・

GLENURY ROYAL 20yo Duncan Taylor Rarest of Rare(ダンカンテイラー社のレアレスト・オブ・レア・シリーズのグレンユーリー・ロイヤル 20年熟成)を飲んだ。89点。
ボトラーのダンカンテイラー社の「レアレスト・オブ・レア」は、閉鎖した蒸留所のシリーズだ。レア=希少価値が高い、というニュアンスがあるが、ごく当たり前に存在するものよりかつて存在していたものにより美しさを見出すのは人の常なのだろうか。

さて、とはいえ今目の前に存在するこのボトルの香味はどのようなものだろか。

グレンユーリーロイヤル 20年熟成

【評価】
グラスから立ち上るのは、イチゴジュースとタネの弾けた瞬間の酸味。控えめだがゆったりとした水の流れを連想させる。
口に含む。スムーズだが、しっとりと濃い樽の重みを表し、最後はさらりと通り抜ける。ぷかぷかと水に浮かぶオレンジ。

【Kawasaki Point】
89point

【基本データ】
銘柄:GLENURY ROYAL 20yo (グレンユーリー・ロイヤル 20年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:Duncan Taylor, ダンカンテイラー


ダンカンテイラー レアレスト・オブ・レア

1984年蒸留 2004年ボトリング

イチゴジュースとタネの弾けた瞬間の酸味


ぷかぷかと水に浮かぶオレンジ









レビュー:グレンファークラス 40年 蝋燭の炎の揺らめき・・・

Glenfarclas 40yo(グレンファークラス 40年)を飲んだ。96点。
さて、今夜のウィスキーの香りはどのようなものだろう?

グレンファークラス 40年熟成

【評価】
そっとグラスを揺らす。完熟のオレンジの皮から抽出された香りがあたりに広がる。ごく上質の生チョコを溶かしているかのよう。ごろごろ転がる樽の映像が浮かぶ。古いがしっかりとしている樽の姿。錆びた鉄。
グラスをそのまま持ち上げ、口に少量含む。オレンジピールがスパイスとなって、ぴりぴりと弾ける。ダークブラウンのチョコがカカオの豆の香りをそのまま新鮮に伝える。蝋燭の炎の揺らめきに合わせて思い出が揺らめく。
旧友と思い出話を始めたくなる心温まるウィスキー。

【Kawasaki Point】
96point

【基本データ】
銘柄:Glenfarclas 40yo(グレンファークラス 40年)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Sherry, オーク、シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


1836年創業

ハイランド シングル・モルト スコッチ・ウィスキー

ごく上質の生チョコを溶かしているかのよう。

カカオの豆の香り


旧友と思い出話を始めたくなる心温まるウィスキー。




グレンファークラスは、ゲール語で『緑の草の生い茂る谷間』という意味。地図で場所を確認できる。