レビュー:オクトモア エディション8.3 もはやなにを・・・

Octomore Edition 8.3(オクトモア エディション8.3)を飲んだ。85点。
(「.3」はアイラバーレイ、「.2」は免税店「.1」はスコティッシュバーレイ)

オクトモアといえば、世界最高の「煙臭い」ウィスキーだ。何をもって世界最高の煙、といっているかといえば、ピート香を表すフェノールの値が、世界最高なのだ(化学的に計測できる)。
ただし、このフェノール値が2倍になれば2倍煙臭く感じるか、といえばそうでもない。嗅覚は、ほかの香りの要素とのバランスがもたらす相対的な感覚だからだ。ある一要素だけ強くても、感じ方がそれに比例するとは限らない。

とはいえ、まるでウサイン・ボルトのように自らの世界最高記録を自らが更新し続けるこのウィスキー。フェノール値は年々高騰していく。煙臭くなっていることは間違いない。

さて、どのような香味なのか。

オクトモア8.3 美しい白い瓶

【評価】
その香りは、底知れぬ谷。静かでなにもないようにすら感じる。ほのかに香る、灰といぐさ。鼻がピリピリする。
口に含むと、液体が煙になって、一気に唾液と一緒になる。飲み込んだはずなのに、口腔に残り続ける煙。血液に取り込まれていくだろう。
もはやなにを飲んでいるのか。煙と一体となるためのウィスキー。

【Kawasaki Point】
85point

【基本データ】
銘柄:Octomore 8.3(オクトモア 8.3)
地域:Islay(アイラ島)
樽: Bourbon(バーボン)
ボトル:Distillery Bottle(オフィシャル・ボトル)




ブルイックラディのロゴ

61.2%の高めの度数

 

煙と一体となるためのウィスキー






レビュー:ボウモア1990 27yo ゆったりとしたしかし必然性のある・・・

Bowmore 1990 27yo by Duncan Piper(ダンカンパイパーのボウモア1990 27年熟成)を飲んだ。89点。

ボウモアの長熟。世界的にウィスキー原酒不足と言われる中、20数年の有名銘柄はだいぶん見かけなくなってきた。・・・といっても、バーにあるウィスキーのボトルの数が減ってそうもないので、おそらく別のウィスキーを見かけるようになっているのだろう。

しかし長熟には長熟の良さ。
このボトルはどんな香味だろうか。

ボウモア 1990年蒸留 27年熟成

【評価】
グラスを少し揺らす。干し草を焼いている。バナナもついでに焼けている。マンゴーを切って、午後のティータイムの準備は整った。九月のある晴れた日。
液体を口に含む。バナナはナイフで切る。テラスのテーブルに風が吹いて、さきほどの焦げた草の香りが通り過ぎる。友達からの手紙を読む。
ゆったりとした、しかし必然性のある時のながれ。

【Kawasaki Point】
89point

【基本データ】
銘柄:Bowmore 1990 27yo (ボウモア 1990 27年熟成)
地域:Islay(アイラ島)
樽: Bourbon(バーボン)
ボトル:Duncan Piper(ダンカン・パイパー)

1990.4.24蒸留 2017.10カスクストレングスでボトリング

ラベルの意図は明確・シンプルでよい

干し草を焼いている。


ゆったりとした、しかし必然性のある時の流れ。


レビュー:グレントファーズ 1991 18yo  熱を連れてくる・・・

GLENTAUCHERS 1991 18yo by Gordon&Macphail(ゴードン&マクファイルからグレントファーズ1991 18年熟成)を飲んだ。83点。

グレントファーズ(グレントハース)は、有名なブレンデッド・ウィスキーのバランタインを構成するモルトのひとつだ(そのほかにはティーチャーズやBlack&White)。シングルモルトとしては、ボトラーズのゴードン&マクファイルから世に出てくることがあるようだ。

さて、このボトルはどんな香味だろうか。

G&M グレントファーズ 1991-2010 18年熟成

【評価】
グラスをそっと鼻に近づける。春の花畑に、小さな黒板、彼はチョークで何を計算しているのか。小さな蝶がひらひら舞って、ふと手を止める。案外、蝶は規則的な動き方をしているな、と思う。
口に含む。海から運ばれてくる風が、熱を連れてくる。温度差か気圧がこの動きをもたらすのか。海の想像をする。広げたシートの下の柔らかな土を両手で感じる。
ほのかな春の香り。いそがしい頭の中。

【Kawasaki Point】
83point

【基本データ】
銘柄:GLENTAUCHERS 1991 18yo(グレントファーズ 1991 19年熟成)
地域:Highland(ハイランド)
樽: Bourbon(バーボン)
ボトル:Gordon & Macphail(ゴードン & マクファイル)

ゴードン&マクファイルのボトリング グレントファーズ

春の花畑に、小さな黒板

海から運ばれてくる風が、熱を連れてくる

ほのかな春の香り



レビュー:アバフェルディ 1991 21yo 丸くて小さなテーブルに・・・

ABERFELDY 1991 21yo by Gordon & Macphail Series Connoisseurs Choice(ゴードンマ&クファイルのコニサーズチョイスシリーズから、アバフェルディ1991 21年熟成)を飲んだ。82点。

ブレンデッド・ウィスキーの「デュワーズ」のキーモルトとして知られるアバフェルディ。シングル・モルトとしてもときどきお目見えする。

さて、このボトルはどんな香味だろうか。

アバフェルディ 1991-2012 21年熟

【評価】
グラスから立ち上る香りは、秋が始まろうとしている湖畔の夕どき。風にそよぐ麦。水面は紅く光り輝く。鳥の声、静かな気持ち。
グラスを傾け液体を口に含む。小屋に入る。丸くて小さなテーブルに用意されたお菓子。杏のジャムのクッキー。あまりに甘い。
祖母と過ごす、安らぎの休暇。

【Kawasaki Point】
82point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Aberfeldy 1991(アバフェルディ 1991)
地域:Highland(ハイランド)
樽: Bourbon(バーボン)
ボトル:Gordon & Macphail(ゴードン & マクファイル)


秋が始まろうとしている湖畔の夕どき。

風にそよぐ麦。水面は紅く光り輝く。鳥の声、静かな気持ち。

丸くて小さなテーブルに用意されたお菓子。