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レビュー:リトルミル 1990 20年 WA & 3R ぬくもりのあるアニメーションのような

LITTLEMILL 1990 20yo The Whisky Agency & Three Rivers(リトルミル 1990 20年熟成 ウィスキー・エージェンシーとスリー・リバースの共同リリース)を飲んだ。83点。
リトルミルはイギリスのスコットランド、ローランド地方の蒸留所。でもすでに閉鎖している。もともと生産量も多くないが、今後ますます見ることが少なくなるだろう。

リトルミル1990 20年熟成

【評価】
グラスから立ち上るのは、穏やかで爽やかな草原を思わせる、うまみのある麦の香り。馬で駆け抜けるような躍動感。
口に含めば、鉛筆画の小品を見ているような印象。壮大ではないが、繊細さと素朴さを味わう。みずみずしいタッチで先ほどの馬に乗って駆け抜ける姿が浮かぶ。オイリーな木枠。
まるで線画を複数毎つなげ合わせた、原始的でぬくもりのあるアニメーションを見ているかのようなウィスキー。

【Kawasaki Point】
83point

【基本データ】
銘柄:LITTLEMILL 1990 20yo(リトルミル 1990 20年熟成)
地域:Lowland, ローランド
樽: Sherry, Oak, シェリー、オーク
ボトル:The Whisky Agency & Three Rivers ウィスキー・エージェンシーとスリー・リバースの共同リリース

リトルミル蒸留所が閉鎖される2年前の1990年蒸留

鉛筆画の小品を見ているような印象




レビュー:ブルイックラディ 20年 モリソン&マッカイ 奇跡的なバランス

Bruichladdich 1992 20yo MORRISON & MACKAY Seriese:WORLD WONDERS(モリソン&マッカイのワールド・ワンダーズ  ブルイックラディ 20年熟成)を飲んだ。88点。

ちなみにこのボトルのラベルに描かれたWorld Wonders(世界の七建造物)は、「マウソロス霊廟」で、ペルシャの方で紀元前3百年ごろの建物(古代ローマ時代)。大理石に、豪華な彫刻、美しい建物であった・・という伝説で、今はもう遺跡でその姿を想像するほかない。
いずれにせよ、このウィスキーと、ボトルの画との関連性は・・・・よくわからないが、雰囲気がいいから良しとしよう。

ワールド・ワンダーズ ブルイックラディ20年熟成

【評価】
グラスに鼻を近づければ、甘く香るのに、なんと端正な!麦、ハチミツ、睡蓮の雫、森の中に泉があって、空が開いている。薄い水色の空に夏雲が浮かぶ。小鳥がさえずる。森の香り。森の中で出会うピート。
口に含めば、口の中を程よくけむらせながら、倒木に腰掛け、昔話を聞かせるようにゆったりと、香りが広がる。レモン、赤い木の実、ローストされたハチミツ。
奇跡的なバランスのブルイックラディ。しかし儚い夢のようでもある。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄: Bruichladdich 1992 20yo(ブルイックラディ 1992 20年熟成)
地域:Islay (アイラ)
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:MORRISON & MACKAY, モリソン&マッカイ

1992年5月20日に仕込んで、2013年3月13に取り出した。

マウソロス霊廟の描かれた神秘的なボトル

倒木に腰掛け、
昔話を聞かせるようにゆったりと、
香りが広がる。

赤い木の実、ローストされたハチミツ

奇跡的なバランスのブルイックラディ。
しかし儚い夢のようでもある




レビュー:ローズバンク1990 21年 SMWS 25.63 横長の風景画

Rosebank 1990 21yo SMWS 25.63(スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティのローズバンク 1990 21年熟成 )を飲んだ。86点。
ローズバンクといえば、ローランド地域の今はもう閉鎖した蒸留所だ。このボトルは、世界一のウィスキー愛好家団体であるソサエティが所有している樽からのリリース。やがて、時が経てばストックも尽き、いつかは飲めなくなる酒だ。

尽きていくウィスキーもあれば、生まれてくるウィスキーもある。
今まさにこのときに飲める仕合せというものを、たまに感じることもある。


【評価】
グラスから立ち上る香りから想起する風景――黄金色の麦畑を撫でた風が、スパイスとイチゴを連れて来る。
口に含めば、舌触りはすこしだけざらつき、なめらか。木の甘みと旨み。麦とイチゴ。余韻はふくよかで、画角が横長の風景画を見ているかのようなゆったりとした気持ちになるウィスキー。

【Kawasaki Point】
86point

【基本データ】
銘柄:Rosebank 1990 21yo SMWS 25.63(スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティのローズバンク 1990 21年熟成)
地域:Lowlands, ローランド
樽: Refill Hogshead, Bourbon,  ホグスヘッド リフィル、バーボン
ボトル:Scotch Malt Wisky Society スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティ

SMWSのコードで25はローズバンク
63番目のリリースは
フランス語で「梨と胡椒」

21年熟成

リフィルバーボンホグスヘッド
ソサエティのボトルはいつも樽出しのままだ

黄金色の麦畑を撫でた風が、
スパイスとイチゴを連れて来る

舌触りはすこしだけざらつき、なめらか

横長の風景画を見ているかのような

今はなきローズバンク蒸留所の位置を地図で確かめてみて。

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レビュー:カリラ22年 ケイデンヘッド 石の寡黙さ

WILLIAM CADENHEADのCAOL ILA 22yo(ウィリアム・ケイデンヘッドのカリラ22年熟成)を飲んだ。87点。
ケイデンヘッドは老舗のボトラー。

アイラ島のカリラ、どのような表情を見せてくれるのか。

【評価】
グラスから立ち上る香りは、雨上がりのウッドデッキ、線香と灰。灰の向こうに複数の果物。ライトアップされた橋。暗闇の中で最低限のラインが浮かび上がっていて、海からの潮風が髪をそよぐ。
口に含んだ印象は、冷たい御影石の上に手をおいて、果物を眺めながら葉巻に火をつけようとしている。木の椅子に座っている。
フルーティな余韻を残しながら、石のような寡黙さ。花のようであり、石のようであるウィスキー。

【Kawasaki Point】
87point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄: CAOL ILA 22yo(カリラ22年熟成)
地域:Islay (アイラ)
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:WILLIAM CADENHEAD, ウィリアム・ケイデンヘッド

長熟(22年)のカリラはどこかフルーティ
ライトアップされた夜の橋のような、潮風を感じる香り
フルーティな余韻を残しながらも、
石のような寡黙さも持っている

カリラ蒸留所は海峡に位置している。「Caol Ila」とはゲール語で「アイラ海峡」のこと。

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レビュー:ブナハーブン 20年 ベリーブロス コントラバスの低音のような

BERRY BROs & RUDD の BUNNAHABHAIN 1991 20yo(ベリーブラザーズ&ラッドのブナハーブン 20年熟成)を飲んだ。88点。
ベリーブロス、通称BBRというボトラーズのボトルだ。(ボトラーズが何かということについてはこの記事を参考にしてほしい)

BBRのブナハーブン1991年蒸留の20年熟成


【評価】
グラスから立ち上る香りは、切り株の上におかれた花が風に揺れている。近くで焚き木をしていて、熱い灰の上にグレープフルーツジュースを数滴こぼす。森の向こうに海があるのだろう、波の音がする。
口に含めば、甘くい熱い煙を出しながら舌の上で溶けていく。うまみの背後に苦味を湛えながら、コントラバスの低音のバランスを聴かせる。

【Kawasaki Point】
88point

【基本データ】
銘柄: BUNNAHABHAIN 1991 20yo(ブナハーブン 1991 20年熟成)
地域:Islay (アイラ)
樽: Bourbon, Oak  バーボン、オーク
ボトル:BERRY BROs & RUDD, ベリーブラザーズ&ラッド

17世紀に設立されたベリーブラザーズ&ラッドのお届けする・・・

ネック

切り株の上におかれた花が風に揺れている

うまみの背後に苦味を湛えながら、コントラバスの低音のバランスを聴かせる


Google Mapにも名前が載ってないブナハーブン蒸留所はここ。四角い建物が複数並んでいる。
ブナハーブンベイはジュラ海峡をはさんで、ジュラ島に臨んでいる。

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レビュー:カリラ 1989 22年 SMWS 53.170 ジューシーさと大人の味わい

Caol lia 1989 22yo SMWS 53.170(スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティのカリラ 1989 22年熟成 )を飲んだ。83点。
スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティは通称「ソサエティ」と呼ばれている。世界最大のウィスキー愛好団体だ。ソサエティのボトルはすべて「樽出しそのまま」だ。(参考:ウィスキーの「シングルカスク」とは何か?

ラベルも質素で、パッと見はぜんぶ同じに見える。蒸留所は番号で示される。余計な先入観なしで愉しんでほしいという意味なのだろうか。

ソサエティのカリラ。53番はカリラを意味する。


【評価】
グラスから立ち上る香りは、知的にすら構えているのに、生き生きとしたカリラの香り、煙のシャープさ、グレープフルーツ。それらも大人の雰囲気が包み込む。
口に含めば、グレープフルーツジュースのうまみ、薄くスライスしたハム、釘、ドライレーズン。
ジューシーさと大人の味わいの同居したウィスキー。

【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Caol lia 1989 22yo SMWS 53.170(カリラ 1989 22年熟成 )
地域:Islay, アイラ
樽: Refill Hogshead, ホグスヘッド リフィル
ボトル:Scotch Malt Wisky Society スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティ

53(カリラ)の170番目のリリース。
ソサエティはこのウィスキーを「ハワイトースト」と表現。



ウィスキーはスコットランドのエディンバラはリースに、貯蔵されているようだ。

ボトルのくびれ

生き生きとしたカリラの香り、煙のシャープさ、グレープフルーツ。

ジューシーさと大人の味わいの同居したウィスキー




レビュー:余市1988 25年 シングル・カスク 海辺のキャンプ

余市1988 25年熟成  シングル・カスク(YOICHI 1988 25yo Single Cask)を飲んだ。86点。
シングルカスクなので、必然的に数量限定である。

余市はよくシングルカスクの商品を出す。当然、世界にひと樽しかないため、希少感を演出できるほか、ブレンドしない原酒の出来を「どうだ」と世に問うかのようでもある。
参考:ウィスキーの「シングルカスク」とは何か?

シングル・カスク 余市1988 25年熟成

【評価】
グラスを傾け、そっと鼻を近づければ、くぬぎの木の皮、ざらついたテクスチュア、若い木の蜜を見つけ、顔を近づけると、なんて甘いんだろう、と思う。夜の森の静けさを感じ、焚き木、有機溶剤、湧き水。風が吹いて木の葉が揺れて触れ合う音がする。
口に含めば、波の音が聴こえる。木の丸太に座って、焚き木を見つめる。潮の風が顔に当たる。赤いプラム(すもも)を木の枝にさして火に当て、表面を焦がしている。
夏の日の夜のこじんまりとした海辺のキャンプ。見上げれば綺麗な星々が見えるかのようなロマンティックさ。

【Kawasaki Point】
86point

【基本データ】
銘柄:余市1988 25年熟成  シングル・カスク(YOICHI 1988 25yo Single Cask)
地域:余市、北海道、Yoichi, Hokkaido
樽:Oak, オーク、新樽
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

樽番号100212
カスクストレングス、樽だし度数の62%
潮の風が顔に当たる。
赤いプラム(すもも)を木の枝にさして火に当て、表面を焦がしている。
見上げれば綺麗な星々が見えるかのようなロマンティックさ。

札幌から西へ、小樽から西へ、余市蒸留所はそこにある。

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レビュー:竹鶴21年 少し不思議な物語を・・・

竹鶴21年(TAKETSURU 21yo)を飲んだ。88点。
海外での受賞暦のわりに国内ではまだまだ知名度の低いウィスキーといえるだろう。

「ピュアモルト」の代名詞。竹鶴


【評価】
グラスに鼻を近づければ、その香りは強く主張しない。おだやかで上品な香りが横たわる。その香りに手を伸ばせば、感じられる酸味、い草の香り。オレンジの白皮、スモークしたイチジク。
口に含めば、おだやかでふくよか。森の洞窟に入り、見上げればかなり高い頭上の岩の間から、光が注いでいる。湿った空気の漂う洞窟内の、水滴の音に耳をすませる。足元をみると、なぜこんなところに木の舟が。かなりボロボロである。くたびれた木の香り。長く愉しめる余韻。舌の中心にほのかに甘みを残す。
おだやかで少し不思議な物語を飲んでいるかのよう。

【Kawasaki Point】
88point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:竹鶴21年(TAKETSURU 21yo)
地域:Japan, 日本
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


12年、17年、そして21年


い草の香り。オレンジの白皮、スモークしたイチジク。

おだやかで少し不思議な物語を飲んでいるかのよう



レビュー:ボウモア1987 25年 枯れてくたびれた・・

BERRY BROs & RUDD のBOWMORE 1987 25yo(ベリーブラザーズ&ラッドのボウモア25年)を飲んだ。1980年代の希少なボウモア。88点。
ボウモア1987 23年と同じシリーズで、さらに2年熟成させたものだ。23年は驚異の98点だったが・・。

1987年のボウモア。80年代の輝き。



【評価】
グラスに鼻をやれば、煙たく香るくたびれたシュガー。い草の爽やかさと酸味。その香りは、くぐもっているのに存在感を放つ。
口に流し込めば、なめらかで、生ぬるく入ってくる。海岸の岩、甘いシロップ、鉛色の空で海は割と穏やかな風景が浮かび、ほのかに香る金属、そして、枯れ草の後味。
枯れてくたびれ果てた、だが穏やかで個性的なボウモア。

【Kawasaki Point】
88point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:BOWMORE 25yo (ボウモア25年)
地域:Islay (アイラ)
樽: Oak  オーク
ボトル:BERRY BROs & RUDD, ベリーブラザーズ&ラッド

海岸の岩、甘いシロップ

ほのかに香る金属、そして、枯れ草の後味

枯れてくたびれ果てた、だが穏やかで個性的なボウモア



レビュー:SMWS 春の試飲会 ~12本のレビューを一挙掲載~

スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティの春の試飲会に行ってきた。(The Scotch Malt Whisky Society Spring Bottles Sampling)
分かりやすく言うと「5,000円で12種類のウィスキーが飲み放題」、という大変お得な会だ。まぁご想像の通り、アルコール度数の高いウィスキーをガバガバ呑めはしないのだけれども。春夏秋冬の季節ごと、全国で年4回開催されている、通称「おとなの飲み放題」だ。(開催情報はこちら

スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティは、ボトラーズ。いろんな蒸留所から樽を買って、いい感じの時に瓶詰めして販売する。このボトラーズの特徴は、会員しか買うことが出来ないという点だ。(実際には会員に買ってもらったものを譲り受けたりすれば、会員じゃなくても手に入れられるけど)また、このボトルを入れているバーもちらほらある。

SMWS 2013年 春のボトルサンプリング会


今回は2013年春に発表された12種類のボトルのテイスティング・レビューを掲載する。
12位から1位までを一挙公開。
(ウィスキーの名前の冒頭についている数字は、SMWS独自の蒸留所と樽コード)


12位

R 1.4 PORTMORRANT1991 21yo (ポートモーラント1991 21年熟成)

【Kawasaki Point】
53point
【評価】
香りは、ミントキャンディ。古い木の棚。口に含めば、まとまった味わいだが、紹興酒。
ソサエティから出るラムとしてはハッキリ言って期待はずれ。前回のラム(R5.2)は良かったのに・・。


11位

33.128 ARDBEG 2005 7yo (アードベッグ 2005 7年熟成)

【Kawasaki Point】
68yo
【評価】
グラスに鼻を近づければ、炭の香りが強く主張する、青々とした茎の太い草を感じる。
口に含めば、煙が上がってくるが、同時に青臭い。


10位

37.53 CRAGGANMORE 1985 27yo (クラガンモア 1985 27年熟成)

【Kawasaki Point】
68point
【評価】
香りは甘くスパイシー。スパイスの上に柑橘のピール(皮)が乗る。アルコール感は強め。
口に含めば、刺激が小さく弾ける。アルコールに乗ってバーボン樽。肉汁、コンソメ、ブラックペッパー。香りの奥行きを感じる。
早めの時間に一杯飲みたい。



9位

93.54 GLENSCOTIA 2002 10yo (グレンスコシア 2002 10年熟成)

【Kawasaki Point】
71yo
【評価】
漂う香りは、清涼感のある、冬の生きている獣の毛の香り。
グラスを傾け一口含めば、鹿の毛を口に入れたかのよう。トウガラシパウダー。


8位

85.25 GLEN ELGIN 1999 13yo (グレンエルギン 1999 13年熟成)

【Kawasaki Point】
78yo
【評価】
グラスから立ち上る香りは、さわやかなぶどうとパイナップル、マスカットのミックスジュース。
口に含めば、少し煙たいバーベキューのほとりでかじった木の板。


7位

73.54 AULTMORE 1992 20yo (オルトモア 1992 20年熟成)

【Kawasaki Point】
80yo
【評価】
香りは、スイカ。ホースの水。陽炎と、山の上で突如吹く風の清涼感。
口に含めば、ヒレ肉、バターガーリック。木のうまみ。焦がした金網。


6位

29.128 LAPHROAIG 1990 21yo (ラフロイグ 1990 21年熟成)

【Kawasaki Point】
85yo
【評価】
薫るのは、燻製と、正露丸。少しのペッパー。
口に含めば、燻製したシャケトバ。囲炉裏の鉄瓶に垂らした醤油。
山荘にこもって書き物をしたくなるウィスキー。


5位

41.55 DAILUAINE 2004 8yo (ダルユーイン 2004 8年熟成)

【Kawasaki Point】
86yo
【評価】
グラスから薫るのは、花々がトラックの荷台に揺れて、麦畑を進む風景。
口に含めば、ゆっくりと分解されていく麦の味。まとまりと主張を感じる。


4位

64.42 MANNOCHMORE 1990 22yo (マノックモア 1990 22年熟成)

【Kawasaki Point】
86yo
【評価】
香りは、オレンジとグレープフルーツのかご。ガラスの中の煙。
口に含めば、シェリーの緩やかな香り。ぎゅっと詰まってはいない味。オレンジピールの苦味。
主張は強くはないが、何気ない午後に本を読みながら飲みたい。


3位

44.56 CRAIGELLACHIE 1989 23yo (クレイゲラヒ 1989 23年熟成)

【Kawasaki Point】
86yo
【評価】
グラスに鼻を近づければ、うっとりする畳の間の香り。バターの枯れた草。優雅。
ところが口に含むと、一転してスパイシー。花々の香り。うすくゆっくり二つ隣の席のドライフルーツを感じる。
香りと味に裏切りがあり、微笑をもたらすウィスキー。


2位

27.100 SPRINGBANK 2000 12yo (スプリングバンク 2000 12年熟成)

【Kawasaki Point】
87yo
【評価】
香りは、水仙のような華やかさ。鉄。水。
口に含んで舌でころがせば、華やかさは水に溶けて穏やかに香る。水苔。花弁を乾燥させた感じ
後味が鉄なのに、激しさではない。味わいを感じる。


1位

7.81 LONGMORN 1992 20yo (ロングモーン 1992 20年熟成)

【Kawasaki Point】
88yo
【評価】
香りは、缶詰のパイナップルの汁。湿度を感じる(ドライではない)。ホワイトペッパー。
口に含めば、ゆっくり滑らかなのに鋭くうまみ。ただし果実感ではない。
爽やかな夏の朝に、風でレースカーテンが揺れ、ゆっくり時間が流れるかのようなウィスキー。



今回のサンプリング会には、スコットランドはエディンバラから参加した人もいた。SMWSの会員で、日本旅行中にインターネットでサンプリング会があると知り参加したという、筋金入りのウィスキー好きだ。彼のお気に入りはオルトモアとラフロイグだった。ちなみに、グレンスコシアのスコシア(scotia)は、スコットランド(scotland)の古い言い方だ、というプチ情報もくれた。
また、参加者の中には私が11位にしたクラガンモアを1位に挙げる人もいた。また、6位のラフロイグは、「長熟の割りに期待を裏切られた」という声もあった。1位にしたロングモーンはやはり概ね評価が高かったようだ。

とにもかくにも春の宴は、さまざまの幸せそうな声で包まれていた。



レビュー:余市1987 22年 シングル・カスク あたたかさと安らぎ

余市1987 22年 シングル・カスク(Yoichi 1987 22yo Single Cask)を飲んだ。87点。
「1987」といえば、ウィスキーのワールドカップと言えるWWA(ワールド・ウィスキー・アワード)で2008年に世界No.1を獲得したウィスキーが余市「1987」だった。世界に「ジャパニーズ・ウィスキーここにあり」と初めて存在感を示した伝説的なウィスキーだ。日本に本格的なウィスキーをもたらした竹鶴政孝が生きていたなら、どんな想いであっただろうか。彼はサントリー(当時:寿屋)で山崎蒸留所を立ち上げた後、どうしても北の大地に蒸留所を作り上げる理想を捨てられず、自分で会社を興し、余市蒸留所を立ち上げたのだ。
今回の余市は、WWAでNo.1を獲ったものと全く同じではないが、同じ仕込み年(1987)だったので、グラスを傾けながら上記のように思いを馳せてみた。先人達に感謝をしながら・・。


【評価】
華奢なグラスが鼻の奥まで、甘くメロウな香りを届ける。優しくそよ風が囁く。真綿で包まれた木。ドライフルーツ。静かに波音が聴こえ、樹液が染み出す。
目を閉じて琥珀色の液体を少量、口に流し込み舌全体で味わうと、清涼感のある甘みを感じる。味が広がり、暖炉にくべた木、白檀の高貴さを感じ、同時に丸太の無骨さのような主張を受け取る。飲み込めば、アルコールが身体を温める。
寒い冬の日にどうか一杯、あたたかさと安らぎを与えるためにください、と頼みたくなるウィスキー。

【Kawasaki Point】
87point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:余市1987 22年 シングル・カスク
地域:余市、北海道、Yoichi, Hokkaido
樽:Oak, Sherry, オーク、シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


熟成の歴史を感じる琥珀色

丸太の無骨さのような主張を受け取る

WWAで世界最高峰を達成した翌年にボトリングされている

札幌から北西へ約40km。厳しい寒さの余市蒸留所の場所をマップで確かめてほしい。

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