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レビュー:アードボッグ 香りの構成の妙

ARdbOG(アードボッグ)を飲んだ。83点。
決して誤植ではなく、アードベッグから出た「アードボッグ」だ。アイラ島のウィスキーはスモーキーな香りを出すためピート(泥炭)を焚くのだけれど、そのピートの採れる湿地(Peat Bog)と、Ardbegを掛けているジョークというか言葉遊び。責任者のビル・ラムズデン博士のセンスなのだろうか。

ARdbEGから出たARdbOG

【評価】
グラスから立ち上るのは、華やかな麦の香り、穏やかでありながら柑橘の効いたピート香、不思議な存在感がある。ジャーキーのスパイシーさ。
口に含めば、穏やかでしっかりなめした革(カーフ)を感じ、その奥に隠れた柑橘香が、この滑らかで個性的なテクスチャを支え、バランスしているかのよう。
この香りの構成の妙。まるで科学書を紐解いたような知的な刺激に溢れているウィスキー。

【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:ARdbOG(アードボッグ)
地域:ISLAY, アイラ島
樽:Oak, Burbon,  オーク、バーボン樽
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

キャップはやっぱりアードベッグ


eがoになっている。年数表示はない

ピート採掘のレトロな写真。
写真右側にはトレードマークの犬(名前:ショーティー)

穏やかでしっかりなめした革(カーフ)、奥に隠れた柑橘

ウィスキーの聖地のひとつ、アイラ島に位置するアードベッグ蒸留所をGoogle Mapで確かめてみて。

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レビュー:山崎12年 時の流れを感じ・・

山崎12年(YAMAZAKI 12yo)を飲んだ。83点。
日本で一番成功しているCMを生み出しているウィスキーでもある。
もしあなたがバーで「なにも足さない・・・」と口にすれば、誰かが「なにも引かない・・」と続けてくれるだろう。長年使用されてきた、「なにも足さない。なにも引かない。」という銘コピー。だれもが一度は耳にしたことがあるだろう。
最近のCMでは「ウィスキーが、わかってきた」とか、「そろそろ、ウィスキーをロックで」など、初心者にターゲットを絞ったコピーを生み出している。間違いなく、日本のウィスキー文化への貢献度No.1である銘柄だ。
(トリビアだが、初代山崎蒸留所工場長は、ニッカウィスキーの創始者である竹鶴政孝だ)

さてはてその香味はいかに。

ジャパニーズ・ウィスキーはこの一本なしに語れない。山崎12年



【評価】
グラスから立ち上る焦がした樽の香りと、木の板に擦り付けたハチミツ。雨上がりの草むら。うっとりする。杉。土器から出てくる柔らかい煙。
グラスを傾け口に含めば、スっと入ってくる、つるんとしたテクスチャ。余韻は静かにゆっくりと響く。少しスパイスが上がってくる。
時の流れを感じ、しずかな響きに身をゆだねるウィスキー。

【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:山崎12年(YAMAZAKI 12yo)
地域:山崎、大阪 YAMAZAKI, OSAKA
樽:OAK, MIZUNARA, オーク、ミズナラ
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

ウィスキーらしい骨格が形づくられる12年熟成

「響」という字がモチーフのロゴマーク

日本のウィスキー文化への貢献度No.1である銘柄

木の板に擦り付けたハチミツ。雨上がりの草むら。うっとりする。

時の流れを感じ、しずかな響きに身をゆだねるウィスキー

山崎蒸留所にぐっと寄りの地図。マイナスボタンを押して日本全体を確かめてみて。

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レビュー:ボウモア1987 25年 枯れてくたびれた・・

BERRY BROs & RUDD のBOWMORE 1987 25yo(ベリーブラザーズ&ラッドのボウモア25年)を飲んだ。1980年代の希少なボウモア。88点。
ボウモア1987 23年と同じシリーズで、さらに2年熟成させたものだ。23年は驚異の98点だったが・・。

1987年のボウモア。80年代の輝き。



【評価】
グラスに鼻をやれば、煙たく香るくたびれたシュガー。い草の爽やかさと酸味。その香りは、くぐもっているのに存在感を放つ。
口に流し込めば、なめらかで、生ぬるく入ってくる。海岸の岩、甘いシロップ、鉛色の空で海は割と穏やかな風景が浮かび、ほのかに香る金属、そして、枯れ草の後味。
枯れてくたびれ果てた、だが穏やかで個性的なボウモア。

【Kawasaki Point】
88point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:BOWMORE 25yo (ボウモア25年)
地域:Islay (アイラ)
樽: Oak  オーク
ボトル:BERRY BROs & RUDD, ベリーブラザーズ&ラッド

海岸の岩、甘いシロップ

ほのかに香る金属、そして、枯れ草の後味

枯れてくたびれ果てた、だが穏やかで個性的なボウモア



レビュー:イチローズモルト ポートパイプ 際どいバランスに遊ぶ

イチローズモルト 秩父 ポートパイプ(Ichiro's Malt Chichibu Port Pipe)を飲んだ。80点。
何かと話題になるイチローズの新作。ポートワインの樽でフィニッシュしたウィスキーだ。

ポートパイプで熟成させたイチローズ新作は、
濃いオレンジ色をしている。

【評価】
グラスを傾け鼻に近づければ、アルコールの強いブランデー、酸味の強いポートワイン、ジンジャー、テクスチャーはざらつき、スパイシーな樽香、香りの奥に渋み、ラムレーズンに生クリーム。
口に含めば、弾けるような強いアルコール、そのアルコールが燃える中に、潰したレーズン、樽の香りとレモン、海に近い河口でのボート遊び。この強気なスパイスで主張を押し通す、際どいバランス。なにかのきっかけでもろく崩れてしまいそうな。
休日のスパイスに、一杯遊びたいウィスキー。

【Kawasaki Point】
80point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:イチローズモルト 秩父 ポートパイプ(Ichiro's Malt Chichibu Port Pipe)
地域:Chichibu, Japan 日本、秩父
樽:Burbon, Port Pipe バーボン、ポートパイプ
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


今回はコルクにもこだわりがあるようで・・

ポートワインの樽がやってきた産地のコルクを使用しているとか・・・
そんなことは別にラベルに書かなきゃいいのに・・真面目・・。

休日のスパイスに一杯。

ベンチャーウィスキーとしても紹介される秩父蒸留所の位置をマップで確かめてみて。

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レビュー:ストラスアイラ 12年 初心者も飲みやすいウィスキー

STRATHISLA 12yo(ストラスアイラ 12年熟成)を飲んだ。80点。
ストラスアイラといえば、有名な「シーバスリーガル」に使用されている。シーバスリーガルのキー・モルトだ。「キー・モルト」とは、そのウィスキーを構成する“主要なウィスキー”のこと。野球でいえば4番だし、サッカーでいえばエースストライカー、チェスでいえばキングといったところだ。
このストラスアイラを「初心者の方にもおすすめできるシングル・モルト」という声もある。まるでリンゴのような華やかな香りと味がするからだ。

ストラスアイラはシーバスリーガルのキー・モルトだ。

【評価】
グラスから立ち上る香りは、リンゴの蜜と酸味、アルコール刺激、ハチミツを2~3滴。
グラスを傾け口に少量含めば、樽の木の香りが華やぐ。樽の上に乗せられたリンゴ。滑らかでオイリー。
生チョコが合うウィスキー。

やや加水すると・・・ (まったく初めて飲む方は少し水を足してアルコールの刺激を消すといい)
香りは、さらにリンゴ。かじりたてである。種類はサンフジ。
飲むと、シェリー樽の香り、穏やかに入ってくるが、ぼやっと広がりすぎず、味のコンセプトは絞ってあるのが分かる。

さらに加水すると・・・
香りは、リンゴ飴。スパイス、シナモン。
飲めば、落ち着いた木の香り。その木にはリンゴの蜜が擦り付けてある。

【Kawasaki Point】
80point

【基本データ】
銘柄:STRATHISLA 12yo(ストラスアイラ 12年熟成)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Sherry,  オーク、シェリー樽
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

リンゴの蜜と酸味、アルコール刺激、ハチミツを2~3滴

ストラスアイラ蒸留所は1786操業。かなり古い部類。

ストラスアイラは、「アイラ川の広い谷間」を意味する。よくある「グレン~」のグレンよりもストラスは広い谷という意味らしい。この酒がどこで生まれたか場所をぜひ地図でも確かめてみて。

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レビュー:グレンドロナック18年 スパイシーな装飾

GlenDronach Allardice 18yo (グレンドロナック 18年熟成 アラダイス )を飲んだ。83点。
アラダイスとは、グレンドロナック蒸留所の創始者のジェームス・アラダイスに由来。

【評価】
グラスに鼻を近づければ、シェリー樽の香り。線香の深さ。淵が焦げた木の板。消毒液と本。醤油の一升瓶。
口に含むと、飲み口は華やか。オイリーな木の香りだが、スパイシーな装飾が施されている。あれだけ主張したシェリー樽の香りはくどくなく、消える。スパイシーさだけを余韻として残し、コンパクトな重たさを最後に残す。
華やかで、うっとりしすぎないシェリー樽のウィスキー。

【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:GlenDronach Allardice 18yo (グレンドロナック 18年熟成 アラダイス )
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, Sherry, オーク、シェリー
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

シェリー樽の香り。線香の深さ。
口に含むと、飲み口は華やか。

華やかで、うっとりしすぎないシェリー樽のウィスキー。

イギリスは東ハイランドにある、グレンドロナック蒸留所の位置を地図で確かめてみて。

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レビュー:VAT69(特級) 意外な主張

VAT69(特級表示)を飲んだ。83点。
特級表示のあるウィスキーは1962~1989年に発売されたウィスキーだ。なにが特級かって、税率が特級だった。今は2,000円のスコッチ・ウィスキーが10,000円以上した時代だ。
ちなみにウィスキーの原料や製法は、微妙にではあるけど日々変わっているので、同じVATというウィスキーでも、昔のものと今のものとでは味わいが違う。


【評価】
グラスを鼻に近づけると、甘くゆるい香り。白いユリの香り。木目の間の樹液。主張しすぎない腐葉土。
口に含めば、拡がる薄いヨード香。あっさりと薄く味わう。煙の音が聞こえる。鉄の煙突。
安価なブレンデッドウィスキーだと思い、何気なく飲むと意外な主張に驚き、すごくうまいウィスキー。

【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:VAT69(特級表示)
地域:Highland, ハイランド
樽:Oak, オーク
ボトル:Blended, ブレンデッド

甘くゆるい香り。白いユリの香り。

何気なく飲むと意外な主張に驚く

昔は素晴らしいものにはなんでも
「デラックス」と付いていたらしい

1882年、ウィリアム・サンダーソンさんが
100のVAT(調合具合を変えたバッチ)をつくり、
皆で飲んだところ69番目のVATが一番うまかったそうな。
それがVAT69の由来。
時代を偲ぶ特級表示

VAT69はイギリスはハイランド、ロイヤル・ロッホナガー蒸留所にて生産されている。

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レビュー:アラン1996 16年熟成 渋さの魅力

Arran 1996 16yo Single Cask(アラン1996 16年熟成 シングル・カスク)を飲んだ。81点。
アラン蒸留所は1995年に誕生。小さな蒸留器が2器で稼働中。
2013年現在では実質、この16年熟成のものが最長の熟成と言われている。

【評価】
グラスから立ち上るの香りは、温めたぶどうの実。それから酸味。麦の甘み。古い樽の木、しかしえぐみではない。クリアーな香りの構成で、弦楽四重奏のようなコンパクトさ、シンプルさを思わせる。
口に含めば、渋みの中に麦のコク。この渋みをうまみと感じるなら、渋いと言われる魅力を持った人物に違いない。芳ばしい麦が鼻から抜ける。
深みよりも、渋みとコクに特化したウィスキー。

【Kawasaki Point】
81point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:Arran 1996 16yo Single Cask(アラン1996 16年熟成 シングル・カスク)
地域:Islands, アイランズ
樽:Oak, オーク
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル

アラン蒸留所は1995年に誕生。
小さな蒸留器が2器で稼働中。


シングルカスクでカスク(樽)の番号は649番
同じ樽からは309本ボトリングしており、そのうちの50本目がこれ。



アランのボトルにはいつも鳥が舞っている。

芳ばしい麦が鼻から抜ける。

イギリスはクライド湾に浮かぶアラン島。アラン島の北に位置するアラン蒸留所。
地図で+ボタンを押して、ぐっと寄って確かめてみてほしい。

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レビュー:アードベッグ 9年 ~もうすぐ着く~

ARdbEG Almost There 9yo (アードベッグ9年熟成 オールモスト・ゼア)を飲んだ。83点。
「オールモスト・ゼア」つまり、「もうすぐ着く」。ボトルに書かれたなんとも詩的なタイトル。
どこに着くのか?アードベッグのオフィシャルボトルの中で一番若い「10年」に「もうすぐ着く」のだ。
アードベッグは1980年代に操業停止し、1997年に復活した蒸留所。復活を祝い、「アードベッグ10年への道」と題して、3つの詩的なボトルを発表した。

  • Very Young(とても若い)6年
  • Still Young(まだ若い)8年
  • Almost There(もうすぐ着く)9年

今回のボトルはアードベッグが復活してから10年を迎えようというまさにその直前の9年もの。
つくり手としては「約束の10年」にたどり着く、そこにあともう少しだ、という思いはいかほどだったであろうか。楽ではない道のりを1年1年積み重ねてきた。まだ10年ではない、まだ喜んではいけない、しかし気がつけば「もうすぐ着く」じゃないか。
ちなみに、2013年の今となっては、このシリーズはかなり希少。


【評価】
煙たさの奥の奥に柑橘のハーモニー。ピリッとした刺激の奥ゆかしい世界。古い木の廊下。バターの深み。
口に含めば、軟水のまろやかさのあとにすぐ刺激。オイルサーディンのオイル、ドライフラワー。
樽のうまみは充分に横たわっているウィスキー。主張の強さ、それから熟成のうまみ、この両方の要素を同時に味わう。調和しきっていない面白さがある。まさにオールモスト・ゼア。

【Kawasaki Point】
83point
※この点数の意味は?

【基本データ】
銘柄:ARdbEG Almost There 9yo (アードベッグ9年熟成 オールモスト・ゼア)
地域:Islay アイラ
樽:Oak, Bourbon, オーク、バーボン
ボトル:Distillery Bottle, オフィシャルボトル


歴史ある蒸留所だが操業停止しており、
1997年に復活した

ピリッとした刺激の奥ゆかしい世界

調和しきっていない面白さがある

オールモスト・ゼア、「もうすぐ着くから」と。


イギリスはアイラ島、南東に位置するアードベッグ蒸留所を地図で確かめてみて。

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